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GMS復活へ イオンリテールアパレル改革「専門店モデル」の全貌

総合スーパー(GMS)各社にとって、衣料品売場の改革は長年の課題となっている。直営売場を縮小、撤退する動きも見られるなか、イオンリテール(千葉県/井出武美社長)では、これまでにない新たな衣料品売場のモデルを確立することで改革を実現しようしている。イオンリテール衣料品改革のカギを握る、「専門店モデル」とはどのような売場なのか。

GMSの「平場」を6つの専門店に再構築

 イオンリテールは2023年10月20日、埼玉県さいたま市にあるGMS「イオン浦和美園店」(以下、浦和美園店)の2階衣料品フロアを改装し、リニューアルオープンした。大型ショッピングモール「イオンモール浦和美園」の核店舗で、モール内には同店のほか約170のテナントが入る。衣料品フロアの売場面積は約6257㎡(約1900坪)となっている。

 浦和美園店のリニューアルから遡ること約半年、イオンリテールでは23年4月に「イオン船橋店」(千葉県船橋市:以下、船橋店)の衣料品売場を改装し、新しい売場とオペレーションの実証実験を行ってきた。船橋店の改装で一定の成果が見られたことから、そのモデルを「専門店モデル」と名付け、浦和美園店に導入したかたちだ。

 専門店モデルとはどのような売場なのか。最大の特徴は、年齢別・シーン別に「専門店」として売場を編集している点だ。

イオンリテールは衣料品の新たな一手として、平場の売場を6つの専門店として再構成する「専門店モデル」の導入を進める。写真は、30~40代のファミリー向けの実用衣料を揃える専門店「デイリーカジュアル」に入る「トップバリュコレクション」

 カジュアルウエアやインナーを揃えたファミリー向けの「デイリーカジュアル」、ビジネス・フォーマルのシーンに対応する「オケージョン」、シニア向けカジュアル衣料・雑貨の「セカンドライフ」、Z世代などの若年層向けファッションの「ネクストエイジ」、スポーツ関連のウエアやシューズを揃える「スポーツライフ」、雑貨・靴・トラベルの「雑貨」と、売場を6つの専門店として再構築(レイアウト図参照)。各売場はそれぞれ高さのある什器で仕切りを設け、独立した専門店のような売場としている。

「イオン浦和美園店」2階衣料品フロア

 イオンリテール衣料本部事業改革プロジェクトチームリーダーの森脇夏樹氏は「従来型のGMSの衣料品売場は、売場全体がシニア化しており、若いお客さまに買っていただける売場になっていなかった。お客さまが『衣料品を購入したい』と考えたときにイオンを想起してもらえないのがいちばんの課題だった」と話す。

イオンリテール衣料 本部事業改革プロジェクトチームリーダーの森脇夏樹氏

 従来型のGMSの衣料品売場は、いわゆる「平場」と呼ばれる平面の売場に多くの商品を並べており、ワンストップでさまざまな商品を購入できるという利便性がある一方で、ターゲットが曖昧になるという課題があった。「現在は、専門店で衣料品を買うのが当たり前の時代になっている。そうした状況を勘案し、現場のメンバーも巻き込みながら売場の“くくり方”を

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