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競争激化の東京・豊洲で確かな存在感! 静岡ローカル「フードストアあおき」の実力

高層マンションが次々と建設され、人口増加が著しい東京・豊洲。昨今はマンション価格が高騰していることもあって、同エリアでは、所得の高いアッパー層のファミリーがマーケットの中心となっている。本稿では、同エリアにおいてひときわ大きな存在感を放つ、「フードストアあおき東京豊洲店」(東京都江東区:以下、東京豊洲店)の品揃え、売場づくりをみていきたい。
※本文中の価格はすべて本体価格

激戦区・豊洲で確かな存在感

 今回、調査対象とした東京豊洲店は、東京メトロ・ゆりかもめ「豊洲」駅から直線距離で約250mの場所にある。豊洲エリアは2000年代から大きな再開発が継続的に行われており、レジャー施設や商業施設のほか、高層マンションも続々と建設されている。

 豊かなマーケットということもあって競争も激しく、駅周辺には「スーパーサカガミ」「文化堂」など東京ローカルのほか、2022年には「ダイエー」「ライフ」と大手も進出。食をめぐる競争は激しさを増している。東京豊洲店のオープンは2006年。東京湾岸エリアでは最大級となる商業施設「アーバンドック ららぽーと豊洲」の食を担うテナントとして、同施設の開業にあわせてオープンした。

 改めて、運営企業のあおき(静岡県/田村篤己社長)について確認しておこう。同社の創業は1946年。静岡県沼津市に本部を置き、静岡県東部を中心に店舗展開しており、東京豊洲店は唯一の東京都内の店舗となる。総店舗数は9店舗と出店ペースは非常に緩やかではあるものの、地域では絶大な存在感を誇る。

商品の「見せ方」に工夫

 東京豊洲店の売場を見ていこう。売場面積は1650㎡(500坪)で、通路幅がしっかりと確保されており、店内はゆったりとした印象だ。入口のそばには自動演奏のピアノが配置されており、落ち着いた雰囲気を演出している。

 レイアウトは青果から日配、鮮魚、精肉、総菜と続き、青果と日配、総菜はワンウェイではなく、部門内の回遊性をねらったクロス型のレイアウトとなっている。購買頻度の高い青果と日配で買い上げ点数を稼ぎながら、店奥の鮮魚と精肉、最終コーナーの総菜で客単価の増加をねらうという導線づくりがなされている。

入口手前の特設売場ではブロッコリーを立体的な陳列で展開

 青果は入口手前が特設売場となっており、特売品や注力商品の訴求を行っている。地元・静岡県産のほうれん草は99円と価格訴求力が強い商品も見られたが、そのほかは、カリフラワーのホワイトとオレンジの併売、ブロッコリーの立体陳列など、商品の見せ方で視認性を高めているのが特徴だ。とくにブロッコリーは198円という価格設定でありながらも、マグネットとしての機能を発揮し、客溜まりの起点となっていた。

他店には真似できない品揃えに注目

 青果だけでなく、フードストアあおき全体の商品化や陳列で共通しているのが「見た目のインパクト」と「上質感」だ。商品の一つひとつが丁寧に扱われているのが売場全体から伝わってくる。

 そうした“丁寧さ”を補足しているのがPOPだ。重点商品については細かい説明が行われ、容易に比較購買ができるようにしている。一方で、見た目のインパクトがある商品については、キーワードのみとするなど、言葉を絞り込んで訴求している。このようなメリハリのある店内告知が売場のポイントとなり、マグネット機能に貢献しているのである。

 また、目的買いや差別化につながるカテゴリーについては、品揃えの“深掘り”がなされている。たとえば青果では、トマトが30SKU、バナナが15SKU、静岡産のいちごが7SKUなど、品揃えの豊富さによって専門性を高め、売場の魅力向上につなげている。水耕栽培の葉物野菜もコーナー化され、銘水の地としても知られている地元静岡の柿田川の名前を冠した水耕栽培野菜が20SKU以上あった。このような他店では真似ができない品揃えがあおきの強さを支えている。

トマトコーナーでは宮崎県産のフルーツトマトを販売
地元静岡の「柿田川」の名前を冠した水耕栽培野菜

 そのほか、欧州では高級キノコとして知られている「コプリーヌ」や、樹上で完熟させた蜜入りりんごである青森産の「こみつ」などの売り込みを行い、一品単価の増大をねらっていた。

欧州では高級キノコとして知られている「コプリーヌ」、樹上で完熟させた蜜入りりんごである青森産の「こみつ」

 日配は、青果からつながる壁面の豆腐コーナーが大きなマグネットになっている。オープン当初は店内製造の豆腐を中心に販売していたが、現在は仕入れ商品のみで構成されているようだ。定番の絹や木綿に加え、「堅豆腐」「山芋豆腐」など豆腐だけで30SKU以上あり、中には700円近いアイテムも差し込みまれているなど価格幅が広い。多様なメーカーから仕入れを行っており、定期的に仕入れ元を変更し、商品バリエーションの鮮度を常に意識しながら、売場づくりを行っているとみられる。対面の納豆も同様で、こちらは価格幅はそれほど広くないものの、多くのメーカー商品が並び、コーナーとして存在感を高めている。

日配でも品揃えの“深掘り”が目を引く

 

 後編では、鮮魚、精肉、総菜の売場を見ていこう。

(店舗概要)
所在地 東京都江東区豊洲2-1-14
開店日 2006年10月
営業時間 10:00~22:00
アクセス 「豊洲」駅から徒歩約3分