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飲食店立ち上げを支援! スーパー隣接型7店舗目「無印良品 東武動物公園駅前」の3つの新機能とは

「無印良品」を運営する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は2021916日、埼玉県南埼玉郡に「無印良品 東武動物公園駅前」をオープンした。同日開業の食品スーパー(SM)「東武ストア東武動物公園駅前店」に隣接するかたちでの出店だ。地域活性化のための飲食店の立ち上げ支援や、地域住民の憩いの場となる広場の運営など、新たな取り組みにチャレンジした店舗となる。

無印良品 東武動物公園駅前

飲食店運営のための設備を店内に設置

 今回の無印良品と東武ストアの出店は、東武ストアの親会社である東武鉄道の駅前開発の一環だ。地域住民の利便性向上と、「東武動物公園」などへ訪れる来街者との交流を促進する商業施設をめざし、2社が誘致された。

 「無印良品 東武動物公園駅前」のコンセプトは「地域と何かを生み出す場所」。自治体の企業支援活動により、このエリアには自分の好きなことや得意なことを商売にする人が多くいることから、新たな事業立ち上げや地域経済の循環のサポートへの取り組みを通して、街の魅力を伝え交流を促す「地域のコミュニティセンター」をめざす。松崎隼人店長は「自然豊かで住民同士の顔の見える関係性が魅力である一方、世代間の交流の希薄化や新たな産業・個人の創業の土壌が整っておらず、地域の循環を促せていない点が課題だった」と話す。

みんなの台所

 上記の目標を達成するため、「無印良品 東武動物公園駅前」では主に3つの取り組みを実施する。1つめは、飲食店などの立ち上げを支援するシェアキッチン「みんなの台所」だ。飲食スペースがあるほか、パントリーと2つの厨房を備えており、飲食店営業・菓子製造の許可申請が可能な設備が揃っている。飲食店は1週間単位、菓子製造は1日単位で利用料金を支払うことで借りることができる。

 

飼育員がデザインしたスタンプコーナーも

地域の事業者の取り組みを紹介する「Open MUJI 学び舎」

 2つめは「Open MUJI 学び舎」だ。国内では25店舗目の導入で、地域の情報発信やイベントの場として活用する。コロナ禍のため、当面はフリースペースとして開放するが、11月をめどに近隣の大学の学生による展示や、東武動物公園の飼育員による子供向けのワークショップなどを実施し、地域の活性化に貢献したい考えだ。

東武動物公園の飼育員がデザインしたスタンプ

 3つめは「まちの案内所」だ。店舗周辺のマップを「TOBUKO to GO」として掲載し、東武動物公園のほか、かつて宿場町だったこのエリアの観光スポットを紹介するなど、街の情報発信の拠点をめざす。地域のリーフレットを設置するほか、東武動物公園の飼育員がデザインした動物のスタンプコーナーなども備える。

 

広場ではマルシェなどのイベントを実施可能

 そのほか、店の目の前にある約1200㎡の「みんなの広場」を活用した地域交流の活性化にも取り組む。東武鉄道からこの広場の活用事業を受託し、ラジオ体操や清掃活動の拠点にするほか、マルシェなどイベント運営のサポートを行うことなどを想定しているという。

マルシェなどのイベントも実施可能な「みんなの広場」

 商品面では、周辺の既存店では取り扱いがなかった冷凍食品を導入するなど、日々の買物の利便性を高めた商品構成となっている。SMに隣接していることから、一部店舗で取り扱っている青果は今回は導入しておらず、生鮮食品の提供は東武ストアに任せている格好だ。

 今年だけをみても、先日同時リニューアルした新宿の「MUJI新宿」「無印良品 新宿」や、高質SMのクイーンズ伊勢丹と食品売場を共同運営する「無印良品 港南台バーズ」など、各店舗の売場づくりや取り組みは全く異なり、それぞれの地域の課題解決に取り組む良品計画の「個店経営」が体現されているといえる。また、SM隣接店舗は今回で国内7店舗目となり、ほかの既存店では来店頻度が向上しているなど、売上にプラスの効果をもたらしているという。こうした無印良品の取り組みは、まだまだ大きな可能性を秘めているようだ。