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「マックスバリュおゆみ野店」がリニューアル!MV関東が描く「買物体験型スーパー」の全貌

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長:以下U.S.M.H)傘下のマックスバリュ関東(東京都/手塚大輔社長)は10月16日、「マックスバリュおゆみ野店」(千葉県千葉市)をリニューアルオープンした。同店は、マックスバリュ関東が目下めざす「買物体験型スーパーマーケット」への転換第1号店となる。年商40億円をめざす同店の売場には、どのような工夫が施されているのだろうか。

「イオンタウンおゆみ野」内の核店舗である「マックスバリュおゆみ野店」の外観写真。

“生鮮重視”のスーパーマーケットへ

 マックスバリュおゆみ野店は、もともと2008年5月に「イオンタウンおゆみ野」内の核店舗として開店した。イオンタウンおゆみ野は、千葉市中心部から北東へ約12km、京成千原線「おゆみ野」駅から徒歩15分程度の場所にある。おゆみ野はニュータウンとして開発された地域で、店舗から1km以内の1次商圏には5852世帯が、1~2kmの2次商圏には2万2692世帯が暮らし、3~4人のファミリー世帯が多い。また、来店客の76.2%は車で来店する。幹線道路沿いに位置し、イオンタウンおゆみ野の広大な駐車場(1549台)を利用することのできるアクセスのよさは、集客面で強みを発揮しそうだ。
 改装後の売場面積は3006㎡(約909坪)で改装前と変わらない。広々とした店内では生鮮4部門1957SKU、デイリー2690SKU、グロサリー6765SKUなど、計1万5653SKUを取り扱う。改装前の2万1292SKUから5639SKU減っているが、これは生鮮の売上構成比を38%から45%に引き上げ、売場を割いたためだ。来店頻度を高めるためには生鮮の充実が不可欠との考えによるもので、こうした“生鮮重視”は、今回の大型活性化でめざす「買物体験型スーパーマーケット」のコンセプトのひとつでもある。
 「買物体験型スーパーマーケット」とは、マックスバリュ関東が今後展開する、新しい店舗のスタイルだ。来店客へ「滞在時間を楽しむスーパーマーケット」「五感を刺激するスーパーマーケット」「自分好みのスーパーマーケット」「買い物以外の目的のあるスーパーマーケット」という4つの価値提供を行う。“生鮮重視”は「滞在時間を楽しむ」ことと「五感を刺激する」ことに大きく関わっている。

広々とした青果売場。入ってすぐの場所には、旬の果物や野菜が陳列されている。

「買物体験型スーパーマーケット」へのリニューアル

 「滞在時間を楽しむスーパーマーケット」とは、買物に費やす時間そのものを楽しんでもらうものだ。たとえば対面売場を充実させ、従業員が来店客と積極的にコミュニケーションをとって生鮮食品の特徴や調理法を伝えたりする。こういった取り組みは、“生鮮重視”による鮮度の高い、充実した、その日その日で変化のある商品の充実あってこそだ。狙いは、短い時間で必要なものだけを購入する、いわゆるショートタイムショッピングの真逆で、ゆっくりと店内を回遊・滞在してもらうことにある。そのため鮮魚売場は、壁面をすべてガラス張りの対面販売スペースにした。また改装前は、店内を壁面沿いに回るような昔ながらのレイアウトだったが、リニューアル後はゴンドラを主通路の壁面に対して斜めに配置することで回遊性を高める工夫も行った。

鮮魚売場の広々とした対面販売スペース。従来通りの店内調理(下ろし・捌き)に加え、旬や特徴に合わせた調理法なども聞くことができる。

 「五感を刺激するスーパーマーケット」では、デリカに力を入れた。従来の総菜に加え、生鮮部門で取り扱っている商品の中から特にその日おすすめのものを選んで調理し、「きまぐれシリーズ」として出来立てを販売する。これもやはり、“生鮮重視”でなければ行えない。また、調理の様子も来店客から見えるようになっており、ライブ感を演出している。さらに見て選ぶ楽しみとして、同じイオングループ傘下のオリジン東秀(東京都/沢村弘也社長)が提供する総菜の量り売りコーナー「オリジンデリカ」の導入を行った。実際においしさを確かめてもらうため、感染防止策を徹底したうえで試食サービスにも注力。試食できる場所を1ヶ所に集約して有人で対応し、飛沫防止のため来店客へはインカムを通じて呼びかける。

生鮮部門で取り扱う、その日おすすめの素材を使って店内調理する「きまぐれシリーズ」。他にも、「きまぐれ野菜のチーズ焼き」や、シャインマスカットを使った「きまぐれパイ」などが並んでいた。

 「自分好みのスーパーマーケット」は、買物の仕方を来店客が自由に選べる店づくりを意味する。滞在重視の店舗とはいえ、来店客には素早く買物を済ませて帰りたい日もある。その日その日のニーズに答えることができるよう、買物をしながらスマホアプリを用いて商品をスキャン、レジに並ぶことなく会計ができる「Scan&Go(スキャンアンドゴー)」を導入。同サービスはU.S.M.Hのアプリを介したもので、カスミ(茨城県/山本慎一郎社長)の一部店舗で先行スタートしており、マックスバリュ関東では今回が初めての導入となる。また、11月6日からは「オンラインデリバリー」もスタートする。Scan&Go同様、U.S.M.Hのアプリを介して利用するサービスで、店舗で取り扱っている商品をアプリから注文、配達もしくは店頭で受け取ることができるものだ。こちらもカスミが先行導入し、マックスバリュ関東としては初の導入。

 「買物以外の目的のあるスーパーマーケット」では、「楽しい」「居心地の良い」店舗をめざす。オープンエアのカフェスペースや、イートインスペースを充実させ、ゆっくり過ごしてもらえることを重視した。

マックスバリュ関東が描く今後の展望

今回の大型活性化について手塚社長は、「昨年会社設立から10周年を迎え、次の10年でどう成長していくかを考えたときに重要だと思われた取り組みをすべて(おゆみ野店のリニューアルで)やろうとなった」と話す。

 おゆみ野店は、もともと年間33億円を売り上げるマックスバリュ関東の一番店だが、リニューアルによってさらに20%増の年商40億円をめざす。コロナ禍で“対面重視”を掲げたリニューアルには難しさもあったが、「『コロナだから何でもダメ』にしているとつまらない店舗になっていく。対策をしっかり行った上で、新常態の生活をいかに楽しんでもらえるかが大切」と手塚社長は語った。おゆみ野店の推移をみながら、他の既存店・新店にも新フォーマットを拡大していく方針だ。