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売場の演出力が光る! 「ロピア橿原店」売場レポート

ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は、奈良県橿原市に「ロピア橿原店」(以下、橿原店)を2024年6月24日にオープンした。標準店よりも小型の路面店であり、その売場づくりについて、前編では生鮮3品の売場を解説した。後編は総菜と日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=24年8月7~9日 ※本文中の価格はすべて本体価格

橿原店はロピアとしては少し珍しい食品スーパー単独店のかたちで出店。それでもロピアのコンセプトを実現できると判断したのだと思われる

総菜売場は売れ筋に絞り、デザートが充実

 総菜は鮮魚の並びで売場を展開する。シンプルな配置であり、壁面24尺のうち米飯系を16尺で展開。「ロコモコ丼」(600円)、「若鶏モモ照り焼き丼」「自社製タルタルチキン南蛮丼」「ソースヒレカツ丼」(各528円)、「コク旨ミートグラタン」(780円)、「エビグラタン」(888円)、「つくねチーズ巻き6個」(777円)などを販売している。いずれもロピアの売れ筋商品だが、米飯が528円というのは安い。

 また、隣接して作業場と一体となったピザ売場は8尺で展開する。「コンポテベーコンピザ」「マルゲリータ」など、6品目をそれぞれ580円と値ごろ感のある価格を打ち出し、2枚なら1100円、4枚は2000円という爆買い価格で提供していた。この価格帯なら販促効果は高いだろう。

 平台は2ゾーンで、壁際では「げんこつ角煮酢豚」「牛カルビキンパ」「ヤンニョムチキン」「プルコギキンパ」「ウナギ姿寿司」「ウナ玉丼」「シューマイ」「エビマヨ」「焼き鳥三昧」「ロピチキ」「アップルパイ」といったロピア定番商品を展開しており、堅実な構成である。

橿原店限定で販売していた「げんこつ角煮酢豚」。100g当たり250円で提供

 その後方では冷蔵ケース12尺で「アサリビーフン」「チーズタッカルビ」「メンマのおつまみ」「超シュリンプカクテルサラダ」「ブロッコリーの卵サラダ」「ローストビーフサラダ」など外注による加工総菜を配置している。

 もう一方の平台では、「ミルフィーユローラー」「シュークリーム」「ごほうびプリン」、「プルプルミルクゼリー」などロピアの売れ筋商品を並べている。その後方ではデザートを並べ、冷凍の「純白ケーキ」「チョコレートケーキ」などを1980円、21800円で販売していた。

日配売場は堅実、価格訴求もさりげなく

 日配売場のスペース構成比は23%で、加工食品よりもスペースを割いている。商品構成はほぼ固定化され、右壁面では28尺で乳製品を展開。和日配は、44尺で漬物、練り物、麺を用意し、搬入口を挟んだ20尺でサラダ素材、中華総菜、ヨーグルトを販売する。レジ横の壁面40尺ではヨーグルト、カップドリンク、スイーツを配置している。

 平場ではレジに近いエンドで卵、その右側28尺で豆乳、果汁飲料、コーヒー、牛乳を陳列し、続いて後方右側36尺で水物、豆腐、揚げ、納豆を配置している。

 アイスクリームは前方にある2レーン(50尺)にまとめ、冷凍食品は後方も含めた4レーン(118尺)で、パンは平場の4列(60尺)で展開していた。

 和日配は標準型に比べて売場を縮小したが、扱いアイテム数はあまり変化していない。

 豆腐は下段で3パックタイプをまとめ、「マルツネ・国産ミニとうふ 150g×3P」(111円)、「山食・昔ながらのミニもめん 150g×3」(89円)、「京豆苑・北海道産大豆100% 絹とうふ3段」(59円)など、価格訴求を絡めた構成となっている。

 麺は「アイランド・新銘店伝説」シリーズ30品目を3袋555円で販売。そのほか、「名城食品・2食ごまだれ冷し中華」(199円)、「菊水・サッポロ冷し中華 ごまだれ2人前 320g」(179円、2パック300円)、「東洋水産・マルちゃん焼そば 3人前」(111円)など超目玉価格も販売していた。

 洋日配のプレーンヨーグルトでは「明治・ブルガリアヨーグルトLB81プレーン 400g」(149円)、「森永乳業・ビヒダスプレーンヨーグルト」、「雪印メグミルク・ナチュレ恵」などを扱っていた。無調整牛乳は「東海乳業・酪農牛乳 1 ℓ」(1198円、2380円、3555円)を販売。パンはレジの近くに分離してゴンドラ配置をしており、60尺のスペースで食パンを軸に、菓子パンも展開していた。

 アイスクリームは「ハーゲンダッツジャパン・ミニカップ」(219円)、「ロッテ・レディーボーデン パイント バニラ」(299円)、「弘乳舎・バニラアイスクリーム 2000mℓ」(999円)などが目立った。

 冷凍食品は全体に絞っていた。弁当食材31品目、ギョーザ15品目、米飯17品目、冷凍野菜14品目、麺類18品目などを扱っている。「味の素冷凍食品・ギョーザ12個」(222円)、「イートアンドホールディングス・大阪王将 羽根つき餃子 12個入」(199円)を展開。

 弁当食材は179229円の価格帯で、「オーマイ・Big ナポリタン」(199円)、「ニチレイ・本格炒め炒飯」(299円)などを販売していた。全体にはグループ企業のユーラスが製造するオリジナル商品が売場の主役となっていた。

加工食品売場は定番重視で地場商品も

 加工食品売場は、調味料をベースに、平場の中央から左側で展開している。そのほか、力を入れているのはふりかけ、ぽん酢、たれ、ドレッシングだ。アウトドアスパイスは棚223品目の扱いと以前よりも縮小している。

 また、「地元愛」と銘打って、「三輪そうめん」や大阪鶴橋で創業したコーヒー専門店「高尾珈琲」の商品などを扱っている。

 また、米不足の中で、米は奈良県産「ヒノヒカリ10kg」(3999円、同27777円)を販売。飲食店を経営するお客が大量に購入するシーンを多く見掛けた。

 飲料は大容量、小容量、機能性、缶飲料を展開し、売れ筋の「伊藤園・お~いお茶 緑茶 PET 2L」(159円)、「サントリー・緑茶伊右衛門 2ℓペット」(139円)、「コカ・コーラ1500ml」(179円)を販売していた。

 酒類売場のスペース構成比は6%。245月に開いた茨木東太田店の5%よりも1ポイント高い。生鮮ゾーン側は、前方にビール系飲料、後方に焼酎、日本酒、ワインを展開する。平場側ではノンアルコール、缶チューハイ、リキュール、スピリッツ、ウイスキーなどを配置していた。

 日本酒は「奈良は日本酒発祥の土地」と銘打って「春鹿」「談山」「嬉長」「梅乃宿」など8品目を扱う。鍵付きボックスは「宮城峡」「知多」「富士」などスコッチウイスキー5品目を陳列。酒売場はめりはりのある構成で、売れ筋商品をベースにした堅実な品揃えである。

 菓子売場のスペース構成比は、茨木東太田店の7%よりも1ポイント高い8%。中央寄りの5レーンとレジ前、催事でこなしている。商品構成はほぼ基本モデルであり、新たな試みはなかった。

 菓子大袋は21尺で約100品目を扱う。売れ筋の「ロッテ・チョコパイ9個」(249円)、「不二家・18枚カントリーマアム バニラ&ココア」(279円)、「正栄デリシィ・サク山チョコ次郎 ファミリーパック」(209円)、「明治・チョコレート効果 カカオ72%大袋 225g」(559円)を販売。

 そのほか、グループ会社の「ユーラス」が製造するオリジナル商品「湘南バニラビスケット129g」(199円)などを扱っていた。

小型の店でも店舗の演出力がさえる

 橿原店は標準店よりも小型だが、ロピアの基本コンセプトである「専門店が集まったスーパーマーケット」を前面に打ち出していた。それぞれ専門店屋号で独立した演出が行われ、独自の売場演出がなされている。その組み合わせが日本の伝統を踏まえ、いかにも歴史を刻んできた老舗のような雰囲気を醸し出し、売場演出で専門店であることを強調している。この演出力もロピアのすごみである。

 ロピアの新店を見るときの楽しみの一つは壁面の絵画やPOP、生鮮ゾーンの演出などに新たな発見があることだ。橿原店は吉野や明日香村に近いため、右壁面の絵画は桜を描いた明るい色彩。郷土料理の柿の葉寿司も描かれていて、地域特性を生かした演出ができている。

 さらに驚いたのは加工食品、菓子、飲料、酒の各カテゴリー別で定番ゴンドラの棚に商品イメージを描いた帯を導入していることだ。他のチェーンでは見掛けない光景である。売場演出は多くのチェーンでは外注でこなしているが、ロピアは専任のコーディネーターを置いているという。この売場演出の多様化、柔軟性、創造性もロピアの戦力であるのは間違いない。

(店舗概要)
所在地  奈良県橿原市曽我町26-1(スーパービバホーム橿原敷地内)
開店日  2024年6月24日
売場面積 約470坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 942台
競合店  イオンスタイル橿原