メニュー

ホームセンター敷地内の小型単独店! 「ロピア橿原店」の売場を解説

ロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)は2024年6月24日、奈良県橿原市に「ロピア橿原店」(以下、橿原店)をオープンした。同店はホームセンターの敷地内にオープンした食品スーパーの路面店である。ここではどのような売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2024年8月7~9日 ※本文中の価格はすべて本体価格

標準店より小型でも生鮮売場は広い

 橿原市は奈良県の中央部に位置し、人口は約12万人。奈良市に次ぐ第2の都市で、丸山古墳や藤原宮跡など古代史跡の宝庫でもある。

 橿原店は、JR桜井線「金橋」駅より徒歩約10分、国道165号線沿いにある「スーパービバホーム橿原店」の敷地内にオープンした。他店との共用となっているものの駐車台数は942台を確保。近隣には、ニトリやイオンモール橿原などの商業施設がある。

 店舗は平屋建てで、売場面積は約470坪(歩測)と小ぶりで、ロピアにとってはチャレンジングな店であると言える。

 ロピアの多くはショッピングセンター(SC)に出店し、売場面積約550600坪以上の大型店が多い。しかし、20245月に開いた茨木東太田店(大阪府茨木市)は、食品スーパーを核にドラッグストアなどを配置する小商圏型の店舗で、こちらも売場面積は500坪を切っている。

 橿原店はロピアとしては少し珍しい食品スーパーの単独店となるが、同社は首都圏で単独店をいくつか運営しており、ノウハウはある。橿原店でもロピアのコンセプトを実現できると判断したのだろう。

 作業場を確保するため、標準型の550600坪よりやや狭くなったが、売場をどうアレンジするかがロピアの力の見せ所だ。左壁面と正面壁面で生鮮専門ゾーンを編成した。生鮮売場は約200坪(歩測)と標準店よりやや広めスペースを確保し、ロピアの基本コンセプトを生かしている。

青果は商品の演出より「実」を取る

 生鮮の並びは青果、精肉、鮮魚、総菜と標準スタイルとは異なる。注目は精肉の位置取りである。売場スペース構成比は鮮魚32%、精肉30%、青果27%で3部門のスペースがほぼ同じである。

 部門別に売場を見てみよう。青果売場の平台は果物、両壁面には野菜を陳列している。平台は縦6尺×横16尺で前方は梨と桃、背面にスイカとキウイを展開する。2台目の平台にはブドウとメロン、アメリカンチェリーを配置している。

 この週は日替わりで大分産「幸水梨1パック」(999円)、福島産「桃(あかつき)4個入り」(999円)、福岡産「シャインマスカット1パック」(999円)を販売していた。スイカでは神奈川県と山形県産の「大スイカ」(1399円)、北海道産「ゴジラのたまご」(9999円)も販売。これらは担当者のこだわり商品だろう。

 野菜は左壁面30尺で売れ筋の「トマト8個」(399円)、「キュウリ」(3199円、169円)、「レタス1個」(139円)、「キャベツ」(99円)を販売する。また、作業場に沿って39尺でゴーヤ、オクラ、トウモロコシ、アスパラ、ナスを展開。作業場入口を挟んだ売場では、26尺でニンニク、シイタケ、大根、ニンジン、ジャガイモ、タマネギを展開していた。

 平場壁面では54尺でブロッコリー、サニーレタス、モヤシ、シメジ、マイタケ、エノキなどの野菜を並べる。続く30尺でスイカ、リンゴ、パイナップル、オレンジ、8尺でバナナ、ドリアンを展開していた。

 橿原店は、ワンウェイ方式でカートを押しながら野菜や果物を選べる。そして、量感よりも質感を重視している印象だ。「売れたら補充する」という販売体制で売場に流動性を持たせており、お客の動向を考慮した配置になっている。これこそが売場担当者の仕事であり、自己完結できている。

精肉は変則型、回遊性に課題?

 青果の次は精肉になっており、ロピアでは珍しい並びだ。入口から見て左壁面の約54尺は牛肉。焼き肉用、ステーキ、ブロック、しゃぶしゃぶとメニュー別の配置となっている。

 調査した週はお盆期間だったこともあり、牛肉ベースの日替わり特売を実施していた。黒毛和牛「薄切りシルキー焼き肉用」、みなもと牛「モモブロック」(100g当たり399円)、黒毛和牛「ステーキ用切り落とし」(同550円)、同「シルキー焼き肉用」(同450円)、同「ステーキ用切り落とし」(同599円)などを販売していた。

 正面壁面の左端の36尺は豚肉で、高槻精肉センター(大阪府高槻市)からの納品だ。しゃぶしゃぶ、スライス、ロース切り身、ブロック、ひき肉、ギョーザの皮を展開している。調査日は日替わり特売でスペイン産「豚バラ切り落とししゃぶしゃぶ用メガパック」(100g当たり99円)、「ロピア三元豚切り落とし」(同79円)などを訴求していた。

 平場には平台を3台配置し、1台目はエンドと入口から見て左側16尺が牛肉で、右側はオリジナル「えびす鶏」の希少部位を中心に販売する。中央の平台はエンドと左側は鶏肉で、「えびす鶏ムネ肉」(100g当たり49円)、「えびす鶏モモ肉」(同69円)を日替わり特売。右側は冷凍肉で、焼き鳥、シーフードチキン、ホルモン、馬刺しを並べていた。

 3台目の平台のエンドは豚肉。左側はプルコギ、韓国焼き肉の味付け肉などを展開する。右は催事で、メガ盛りの豚肉と牛肉、北京ダックを販売していた。全体にコンパクトにまとめたが、従来の正方形の売場ではなく、変則的であり、回遊性に多少の問題があるように感じた。

精肉売場では「韓国焼き肉」のくくりで販売されていた「牛中落ちカルビ焼き肉用」を販売。米国のアンガスビーフを使用している

鮮魚売場を売場の「核」に

 鮮魚売場は正面壁面に位置取りし、合計約44尺で“準主役”の扱いだ。売場では、マグロ、サーモン、ハマチ、ブリ、真鯛、タコなどを24尺、米飯を20尺で展開する。

 調査した週の日替わり商品は刺し身類で「焼きカツオたたき」(100g当たり150円)、「適サシサーモンブロック刺し身用(養殖)」(同365円)、「蒸しタコ刺し身用」(同270円)などを販売していた。

 米飯は12尺で握り寿司をメインに打ち出す。「握り寿司大漁70貫」(12000円)から「宴48貫」(8900円)、「40貫」(5900円)、「柊30貫」(3900円)、「茜18貫」(2390円)と幅がある品揃えだ。商圏内には大家族が多いのかもしれない。

 そのほか、「たっぷりチラシ」(大1390円、同1/2サイズ790円)、「とことんホタテ丼」(1290円)、「大穴子バッテラ」(1390円)、「ほぼ海鮮巻き」(990円)、「海宝巻き8切れ」(890円)とバラエティに富んだ売場になっている。

鮮魚売場の「ほぼ海鮮巻き」。ゆぶブリをたっぷり使って、ほぼ具ばかりのように見える

 隣接した8尺では「超うな玉丼」(1500円)、「海鮮はみだし巻き(マグロとサーモン)」(1890円)、「本マグロステーキ丼」(1390円)など多様な商品を提供している。刺し身と米飯は単価も張ることから、販促に力を入れている。

 平台は3台。1台目のエンドは定番の「適サシサーモンブロック刺し身用」、左側は16尺で殻付きホタテ、真ダコ、ホタテ貝柱、右側は特大ブラックタイガーに加え、真ダイ、真サバ、銀鮭、ブリ、塩紅鮭などの切り身を展開する。

ロシア産の紅鮭をじっくりと熟成させた「塩紅鮭」は2切れで400円

 続く2台目の平台エンドでは、季節食材として「特大ウナギ長焼き」(11190円、33000円)を販売。

 左側はサザエ、アワビ、ハマグリ、剣先イカのほか、宮城産「真サバ1尾」(490円)、北海道産のズワイガニ、福岡産のハマチ、ハモ、金目ダイなど、丸物を展開する。これらは関西では欠かせない商品群である。右側には宮崎産「ウナギ長焼き1尾」(1900円)、中国産「ウナギ長焼き」(11590円、22900円)のほか、珍味、スジコ、イクラ、明太子も揃える。

 3台目はエンドでホタテ片貝、ボイルホタテ、左側は冷凍魚で塩銀鮭、カラスカレイ、ホッケ、アジ開き、サバ文化干し、アジフライなど塩干と加工品を配置。右側も冷凍魚でボイルイカ、イカ串、ズワイガニ、ブラックタイガーを置いている。

 鮮魚売場は正面壁面とその付近に位置し、売場の核になっている。そして、関西地区独自のスタイルがある鮮魚を中核に配置できるロピアの発想に驚く。精肉、鮮魚の並びはリズム感が異なり、売場配置、商品構成もロピアならではの独自性を感じる。

 後編では総菜と日配・加工食品などの売場を見ていきたい。

 

(店舗概要)
所在地  奈良県橿原市曽我町26-1(スーパービバホーム橿原敷地内)
開店日  2024年6月24日
売場面積 約470坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約940台
競合店 イオンスタイル橿原