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イオン、ドンキと駅前で激突! 「ロピア半田店」の売場を徹底解説

ロピア(神奈川県/髙木勇輔社長)は愛知県半田市に開業したあさひまちモール内に「ロピア半田店」(以下、半田店)を6月20日に開いた。前編では生鮮4部門の売場をレポートしたが、後編は日配・加工食品などの売場についてお伝えしよう。
調査日=2024年7月7、8、9日 ※本文中の価格はすべて本体価格

日配売場は定番商品で利益を取る

 日配売場は和日配を重視し、正面壁面の88尺で展開する。キムチ、たくあん、梅干しとカテゴリー別に陳列し、最後は岐阜県山県市で総菜パンなどを製造する「リッチバーガー」のサンドイッチを配置する。

 右壁面は洋日配。乳製品は24尺、チルド飲料、ヨーグルト、スイーツを78尺、常温の豆乳、プチ飲料、コーヒーを21尺で展開する。冷凍食品・アイスクリームは10レーンで、パンの2レーンとつなげている。冷凍食品・アイスクリームの什器は平台であるため、売場が広く見える。

 和日配では「高麗食品」の「大阪鶴橋 黄さんの手造りキムチ」(白菜、キュウリ、オクラなど)7品目を各1399円、よりどり31111円で販売していた。近頃の新店がこの販売スタイルが標準となりつつあるようだ。

 豆腐、揚げ、納豆、麺、練り物などは商品と価格はほぼ固定化されている。管理体制が重要になるが、生鮮ゾーンと比較するとほぼ落ち着いていて、補充体制もできていた。

 洋日配では「無調整牛乳1ℓ」は「東海乳業」の「酪農牛乳」(1197円、2380円)を販売。乳製品のバターでは、新たに「北海道乳業」の「北海道バター180g」(399円、2777円)を導入し、売場に変化を与えた。

 卵はメイン通路で展開し、「白玉ミックス」(1パック159円、2パック300円)を展開し、よく売れていた。和菓子は地元・名古屋市の青木商店を取り扱う。

 パンはオリジナルの「7/7」(シューナナ)のほか、「巽製粉」「サンミール」「コガネパン」といった中京地区のメーカー製品、「敷島製パン・Pasco超熟」の扱いもあり、ロピアならではのパン売場がつくられている。

 冷凍食品では弁当食材は見当たらず、麺類、米飯、デザートの扱いが目立った。主なカテゴリー別の展開は麺類(62品目)、米飯(36品目)、野菜・フルーツ(46品目)、中華・ギョーザ(26品目)、デザート(25品目)。麺類の中でも中華麺の品揃えが充実していた。

 日配売場は堅実な対応で、無理な価格訴求はしていない。基本は定番商品であり、バンドル販売、爆買いの販促をしていた。

加工食品はみそやみりんなどを充実

 加工食品・酒・菓子売場のスペース構成比は38%となっており、ロピアとしてはほぼ標準の比率だ。催事場はメイン通路に設け、理想的な配置をしている。

 加工食品の商品構成は既存店の標準モデルに近いが、カテゴリーごとの比率は多少のメリハリを付けている。販促で力を入れている商品は、中京地区の特色である赤みそ、みりんのほか、ロピア独自商品であるふりかけ、焼き肉のたれ、アウトドアスパイス。みりんは36品目を扱い、「角谷文次郎商店・有機三河味醂1800ml」(3199円)や「杉浦味醂・古式三河仕込 愛桜純米本みりん(3年熟成)1800ml」(3999円)など地元ならではの扱いがある。

 ふりかけは15尺。なじみの売れ筋商品である「澤田食品・フワッと国産紅ズワイの香ばし焼がに味ふりかけ」、「トーノー・カリカリ梅しそむすび31g」(359円)などこだわり商品にもラインアップに幅を持たせている。

 酒類は、左端に3レーンを展開。販促の軸はビール系飲料と缶チューハイでケース買いを推奨していた。焼酎と酒はパックと銘酒を扱い、通常のスーパーとほぼ同じだ。

 販促商品としては、スコッチウイスキーをベースとした6つのボックス什器を展開。スコッチウイスキーは39品目、台湾4品目、米国5品目、豪州1品目で構成する。そのほかボックスの1つで「森伊蔵」「魔王」「百年の孤独」などの銘柄焼酎と「余市」「宮城峡」「知多」など人気ウイスキーを陳列する。そのほか、売れ筋の国産ウイスキーと輸入ウイスキーも展開していた。

 菓子は左側に8列を確保し、菓子大袋は前方の30尺で70品目を単品で販売する。ロッテ「チョコパイ9個」(250円)、「不二家・カントリーマアムバニラ&ココア18個」(199円)、「明治・ベストスリー135g」(259円)、「正栄・サク山チョコ次郎96g」(199円)、「ブルボン・アルフォートFS168g」(179円)と価格にばらつきがあるが、売れ筋商品はほぼ網羅している。

 一方で、駄菓子は後方に配置。「やおきん・うまい棒たこ焼味30本」(299円)、「大和製菓・ジャンボ味カレー30袋」(899円)などの大袋を揃えるほか、グミは9尺と控えめな展開で、キャンディーを15尺と大きく展開する。

生鮮売場の混乱は開店時間が影響?

 半田店は日曜日は開店時間から混雑し、駐車場はほぼ満車。店舗周辺は待機のクルマであふれていた。月曜日も開店時からクルマが増え、10時頃はほぼ満車状態であった。駐車していた100台のナンバーを調べると、18台が三河ナンバーで占められ、中には豊田ナンバーもあった。お客に聞くと、高速道路を利用すれば2030分で来店できるという。

 お客の約2割弱が三河地区(碧南市、刈谷市、高浜市など)から来店するという状況は、ロピアも想定外だったかもしれない。改めてロピアの商圏の広さを感じた。

 週末も平日も満車になると周辺の道路は駐車場空き待ちのクルマであふれる。駐車場近くの壁には近隣のDCM半田店に配慮した「DCM駐車場禁止」の張り紙が多く見られた。開店時とはいえ、132台分の駐車スペースでは足りないようだ。

 ただ三河地区の「ロピア岡崎インター店」が726日に開店し、96日にも岡崎市2店目の「ロピア岡崎エルエルタウン店」の開店が予定されていることから、新店の開店が多少は駐車場の緩和につながるだろう。改めてロピアのパワーを感じる。

 半田店は「東成岩」駅前の「ドン・キホーテ半田店」と「イオン半田店」に挟まれた位置にあり、いずれも半田店の店前から看板が見えるほど近接している。とくに、売場面積約700坪(直営部分の歩測)と半田店より大型の「イオン半田店」とは競合が予想される。

 イオン半田店では競合店対策として、野菜は「レタス」(78円)、「キャベツ」(98円)、「スイカ1個」(980円)、「モヤシ200g」(38円)、「キュウリ1本」(38円)、「トマト1個」(78円)、「長ナス1個」(68円)など、単品商品で対応する。日配でも麺、納豆、豆腐、牛乳などで対抗価格を打ち出していた。

 一方、加工食品・アイスクリームはロピアのほうが安く、特別な対応はしていない。ドン・キホーテには生鮮品の扱いはなく、飲料、菓子、酒などを独自のスタイルで対応していた。

 半田店の開店時間は9時だが、これはロピアでは珍しい。競合するイオン半田店が8時(1階)、ドン・キホーテ半田店が9時のため、開店時間を早めたのであろう。ただ、開店時間の9時までに必要作業をこなすことは生鮮ゾーンにとっては厳しい制約となる。そして、そうしたハンディキャップは開店時にあらわれる。

 前編のレポートで述べたような、青果売場や総菜売場などでの品揃え不足は、十分な態勢が整っていなかったのだと思われる。開店直後の売場では、作業に追われている空気を感じた。この状況をどう乗り越えるかが課題でもある。

(店舗概要)
所在地 愛知県半田市旭町4-8
開店日 2024年6月20日
売場面積 約560坪(歩測)
営業時間 9:00~19:00
駐車台数 132台
アクセス JR武豊線東成岩駅徒歩約5
競合店 ドン・キホーテ半田店、イオン半田店