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ローソン初の一般向け無人決済店舗 そのシステムの特徴は?

ローソン(東京都/竹増貞信社長)、東急(東京都/堀江正博社長)、東急ストア(東京都/大堀左千夫社長)は10月18日、東急電鉄「二子玉川」駅の構内に無人決済店舗「ローソンS Lawson Go +toks 二子玉川店」(以下、二子玉川店)をオープンした。同店は2024年10月18日~2025年3月14日までの期間限定営業となる。

駅構内に一般客向け無人決済店舗を初出店

 ローソンは、これまで、オフィス内従業員専用の無人決済店舗として、20202月に「富士通新川崎TS1レジレス店」(神奈川県川崎市)、202210月に「Lawson Go MS GARDEN店」(東京都文京区)を展開してきた。二子玉川店は、初めて一般客に向けて無人決済システムを導入した店舗となる。

 同店が出店するのは、「二子玉川」駅構内、定期券売場の跡地。総面積は42.26㎡だが、その中で店の骨組みをつくるため、売場面積は16.99㎡となる。

 売場ではおにぎり、パン、菓子、飲料など、食品を中心に約380SKUを揃え、ATM、各種収納代行、Loppi、ゆうパックなどのサービスは行われない。「二子玉川」駅は通勤・通学で幅広い年齢層の利用客が多いため、ローソンは、今回の期間限定営業で、利用する客層や購入する商品を検証する。

二子玉川店が入る「二子玉川」駅の定期券売場跡。今回は「Catch&Go®パッケージ」としては中間サイズの「BASE」を採用した

「Catch&Go®パッケージ」を新開発

 ローソンは、二子玉川店の出店にあたり、NTTデータ(東京都/佐々木裕社長)のデジタル店舗出店サービス「Catch&Go®」を初めて導入した。

 このサービスはNTTデータと店舗DXソリューションを手掛ける海外スタートアップ、「Cloudpick(クラウドピック)」(東京都/李悦韡代表取締役)が協働で開発したもの。

 二子玉川店は、店舗の大きさや什器配置を標準化した、新規開発の「Catch&Go®パッケージ」店舗となる。このパッケージは、「MINIパッケージ」、「BASEパッケージ」、「PROパッケージ」の3サイズで展開しており、二子玉川店では「BASEパッケージ」を採用した。

図表 「Catch&Go®パッケージ」サイズ一覧
プラン MINI BASE PRO
売場面積 3坪 5坪 7坪
最大SKU数 約200SKU 約400SKU 約600SKU
「Catch&Go®パッケージ」、は規格を統一することでシステム導入費用を抑え、かつ1~2週間程度の短い施工期間で出店することを可能にする

 既存2店舗の従業員向け無人店舗では、専用アプリ「Lawson Go」をインストールする必要があり、新規のお客が利用する上での障壁となっていた。

 しかし、「Catch&Go®」では、コミュニケーションアプリ「LINE」上で動作するシステムを新規に開発したことで、利用時に必須だった専用決済アプリのインストールを不要にした。

 「LINE」で取得したQRコードをかざして入店し、商品を手に持って店外に出ると、事前に設定したクレジットカード情報で、自動的に決済ができる仕組みだ。

 従来のLawson Goは専用アプリのダウンロードとクレジットカード登録がネックになり、利用者数が伸び悩んだ。今回、国内での利用率が90%を超える『LINE』(2023年総務省調査)のミニアプリ上で動作するシステムを新規に開発したことで、顧客利便性を向上させる。

店舗の骨組み、センサー、カメラはすべて「Catch&Go®パッケージ」としてNTTデータが提供し、商品のみローソンが管理する

カメラとセンサーでAIが客を判別

 「Catch&Go®」のAIは、店内に設置した15台のカメラでお客の動きを判別し、商品が置かれた棚の重量センサーと合わせることで、「誰」が「どの」商品を「いくつ」手にとったのかを識別する。

 同時入店の最大人数は6人で、最大人数に達するとQRコードをスキャンして入店しようとしてもゲートが開かない仕組みだ。商品補充、緊急要件などが発生した場合は、最寄りの「LAWSONtoks 二子玉川店」が対応する。

退店時は何も触れることなくゲートが開く。購入した商品はすぐ履歴に反映される

 ローソンのインキュベーションカンパニー、オープン・イノベーションセンターマネージャーの佐久間大輔氏は「二子玉川店は、システムが想定した通りに動き、お客さまに支持されるのか、従業員のオペレーションがうまくいくのかを実証実験する店舗となる。最短三カ月の検証を考えていた中で、約半年の期間を確保できた。今後の出店を考える上で参考にしていきたい」と話す。