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スーパーバリューが世田谷の閑静な住宅街に出店 初の地下売場が差別化になる理由とは!?

首都圏でホームセンター事業、食品スーパー事業を展開するスーパーバリュー(埼玉県/岸本圭司社長)は、2019711日、「スーパーバリュー世田谷松原店」(以下、世田谷松原店)をオープンした。ディスカウント型の食品スーパーとして知られる同社だが、世田谷松原店では店舗周辺に高所得者層が多いことから、精肉売場で一部高質の商品を取り入れるなど、商圏に合わせた品揃えにも挑戦している。 

スーパーバリュー世田谷松原店

駐車場確保のため、売場を地下に展開

 世田谷松原店は、京王線「明大前」駅から徒歩約8分、甲州街道沿いの交差点の一角にある。同店の出店で、スーパーバリューの東京都内の店舗数は12となった。売場面積は約370坪と既存の標準店よりもやや小ぶりだが、通常店舗とほぼ同等の7600アイテムを揃えている。

 基本商圏の半径1km圏内には、約3万世帯/52000人が住んでおり、足元の人口は多い。世帯別構成比率では単身世帯が約6割と多く、世代別人口構成比率では3040代が33%となっている。また、東京都の平均よりも所得が高いことも特徴だ。なお、同社はすでに杉並区下高井戸や世田谷区等々力にも店舗を構えており、23区内住宅街立地での出店経験を持つ。

 競合店は1㎞圏内に「miniピアゴ松原1丁目店」や「まいばすけっと松原2丁目店」などの小型店や「西友下高井戸店」があるほか、2km圏内には「オオゼキ松原店」がある。

 世田谷松原店で注目したいのが、建物の構造だ。近隣の食品スーパーは小型店が多く、駐車場がない店舗がほとんどである。そこで世田谷松原店では限られた敷地面積の中で駐車場を確保するため、売場と生鮮3部門の作業場を地下1階に配置し、1階は駐輪場と事務所、総菜・ベーカリーの作業場、2階と屋上は合計59台が収容可能な駐車場として利用する。スーパーバリューが運営するホームセンター食品スーパーを複合させたスーパーセンターでは地下売場を有する店舗もあるが、食品スーパーのみの業態で売場を地下に配置するのは世田谷松原店が初となる。

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精肉売場では銘柄牛を中心に展開

精肉売場では銘柄牛を中心に展開

 売場を見ていこう。青果売場では、商品1つ当たりのフェースを多くとり、目玉商品を大量に陳列することで、お客にお買い得商品が明確に分かるようにしている。また、一度に多くの商品を並べることによって補充回数を少なくし、オペレーション面での効率化にも取り組む。壁面には産地直送野菜を展開し、鮮度のよさを訴求した。

産地直送のレタス

 鮮魚売場では、丸魚を中心に展開し、切身や刺身の盛り合わせも品揃えした。また、コンパクトな売場ながら、対面販売のスペースを確保。お客の要望に沿って骨取りなどの加工に応じる。

鮮魚の対面販売

 精肉売場では、商圏内に高所得者層が多いことから、品質の高い国産の銘柄牛を中心に展開した。世田谷松原店で初導入した山形県尾花沢産の霜降り和牛は、雪国の厳しい環境下での育て方にこだわっており、出産を経験していない雌牛のやわらかい肉質が特長だ。

育て方にこだわった山形県尾花沢産の霜降り和牛

 総菜売場は店舗の最も奥に展開した。揚げ物や弁当、おにぎり、巻寿司など幅広い商品を取り揃えている。とくに揚げ物では、健康に配慮してコレステロール0のキャノーラ油を使用した。

コレステロール0のキャノーラ油を使用した揚げ物

 レジそばのベーカリー売場では、約20種類のパンを単一価格で提供することによって買いやすくしている。オープン時の価格は93円(以下税抜)だった。そのほか、世田谷松原店限定で「くまのもっちり食パン」(198円)も販売する。

世田谷松原店限定「くまのもっちり食パン」(198円)

 世田谷松原店では、今後お客の反応を分析しながら品揃えを変えていく考えだ。「グロサリーは所得の高いお客さまに向けて、高品質商品の割合を高めたい」(広報担当者)。

 上記のような取り組みにより、スーパーバリュー世田谷松原店は年商25億円を目標としている。192月期の決算では約6億円の営業損失を計上するなど業績面で苦戦する同社だが、世田谷松原店の出店で業績回復への一歩を踏み出せるか。客層に合わせた品揃えを展開することで、お客の支持を得られるかが重要になるだろう。

 

店舗概要
店舗名称 スーパーバリュー世田谷松原店
開店日 2019711
所在地 東京都世田谷区松原2-35-15
営業時間 10002100
売場面積 約370
駐車台数 59
駐輪台数 200
従業員数 社員15人、アルバイト55