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商圏人口150万人! クラフトビールも楽しめる「無印良品 板橋南町22」の食品戦略

「無印良品」を展開する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は20221117日、東京都板橋区に「無印良品 板橋南町22」(以下、板橋南町22店)をオープンした。日常生活の基本を支える「ふだん専門店」を標榜する同店はどのような売場づくりを行っているのか。本稿では、2階の食品売場にフォーカスして解説する。

無印良品 板橋南町22

日常の使用シーンを想起させる売場づくり

 板橋南町22店は、東京メトロ副都心線「要町」駅から徒歩約8分の場所に位置する。建物は4層構造で、売場面積は3924.36㎡。1階はエントランス、2階は食品やキッチン用品、3階は衣料品や日用品、4階は家具・インテリアの売場となっている。規模としては、「無印良品 東京有明」(東京都江東区)、「無印良品 銀座」(同中央区)に次ぐ、関東最大級の広さを誇る。すぐ隣には、229月に開業したばかりの食品スーパー(SM)「マルエツ板橋南町店」がある。

 板橋南町22店がめざすのは「ふだん専門店」。無印良品のほぼすべてのアイテムを取り扱い、なかでも食品やキッチン用品、トイレットペーパーなど日常生活で使用する商品群を強化している。生活シーンや食シーンを想起させる売場づくりを行っているのが特徴だ。店舗のある板橋区とも連携しながら、地域住民の生活を支えつつ、地域活性化のための取り組みを進めていく。

使用シーンを想起させる売場づくりを実施している

 また、同店は都市型立地で駐車場を有する路面店であることから、商圏を約150万人が居住する半径5km圏内に設定。平日は徒歩や自転車での利用が中心となると想定しつつ、週末は広範囲からクルマでの来店を見込んでいる。「新しいチャレンジだが、ふだん使いしていただくため、SM並みの週2~3回の来店頻度という高い目標を掲げている」(成松宏晃店長)。従来の主要顧客層である3040代女性だけでなく、すべての世代に商品が提案できるように顧客層を広げていきたい考えだ。

2店舗目の「MUJI Kitchen

  2階の食品売場では、レトルトカレーや冷凍食品など無印良品の食品をほぼすべて展開するほか、地域の農家から仕入れた野菜や生花なども取り扱う。オープン時には、さつまいもの詰め放題サービスも実施する。

2階の食品売場では、都内の生産者から仕入れた野菜を展開する

 また、板橋南町22店では、「MUJIcom 東池袋」(東京都豊島区:以下、東池袋店)に続いて、店内調理した総菜や弁当を提供するサービス「MUJI Kitchen」を導入した。弁当は1種類、量り売りの総菜は12種類と、東池袋店と比較するとやや少ないが、「オペレーションの状況やお客さまの声を踏まえて順次商品を増やしていきたい」(食品担当者)とのことだ。

店内調理の総菜や弁当が楽しめる「MUJI Kitchen」

 「MUJI Kitchen」では、同店限定の「手ごねハンバーグ」や、これを使った「てりやきハンバーガー」(780円:以下、税込)、「手ごねハンバーグ弁当」(850円)を販売するほか、地元で仕出しや弁当販売を行う「アホウドリ」が監修した「東京バタ天」(100g当たり250円)も展開。また、「板橋22エール」(265Sサイズ600円)などのクラフトビールやスパークリングワインも取り扱う。これらの商品は、2階外に設けたテラスのイートインスペースで楽しむことが可能だ。テラスそばでは、食品残渣を肥料化する「コンポスト」の取り組みも実施している。

こだわりの「手ごねハンバーグ弁当」

地元で親しまれている食品も販売

 また、地域住民に親しまれている食品を板橋区が認定した「板橋のいっぴん」コーナーも展開。地元のかりんとうやクッキーなどを購入することができる。

「板橋のいっぴん」コーナー

 そのほか、無印良品初の試みとして、「アイススタンド」を導入。マンゴーやいちごなど8種類のフレーバーを、「シングル」(150円)、「ダブル」(290円)など、自分の好きなように組み合わせて楽しめるサービスだ。

無印良品初の「アイススタンド」

 板橋南町22店には、「3Dプリンタ工房」やセルフサービスでの洗剤の量り売りサービスなど、食品以外の無印良品初の取り組みも多くみられるほか、一部の既存店でも導入している「くらしなんでも相談所」も展開する。以前から「地域の役に立つ」ことをテーマに据えてさまざまな試みに取り組む良品計画の店づくりからは、人と地域がつながる“地域コミュニティセンター”の実現にまっすぐに向き合う姿勢が見て取れる。