植物性ミルクはプラントベースへの関心が高まる環境下において注目度の高いカテゴリーだ。
定番の豆乳に加えアーモンドミルクやオーツミルクなど他原材料の植物性ミルクも増えてきたことで、毎日の生活に取り入れやすくなっている。
健康志向を背景に豆乳は堅調に推移
インテージSRI+によると、豆乳カテゴリーの2024年1月から12月の期間通算の市場規模は対前年比2.5%増の440億円となった【図表1】(次ページ)。
植物性ミルクカテゴリー内で売上シェアの8割以上を占めているのがこの豆乳だ。豆乳は自然な味わいの無調整タイプをはじめ、フレーバー付きの飲みきりタイプ、ファミリーユースの大容量品まで商品のバリエーションも多く、味の好みや用途で選ぶ楽しみがある点も魅力となっている。

月別の動きを見ると24年5月と7月を除き、前年同月に対してプラスで推移しており、安定した売上を確保していることが分かる。
一方、アーモンドミルクカテゴリーの24年1月から12月の期間通算の市場規模は同16.0%減の77億円となった【図表2】(次ページ)。
この大幅な落ち込みは同カテゴリーを代表する江崎グリコ「アーモンド効果」が、社内のシステムトラブルによって長期間出荷を停止していたことが影響している。
月別の推移を見ると、1月から3月は前年同月に対しプラスで推移していたが、出荷停止が発表された4月以降、9月まで前年割れが続き、なかでも5・6月は前年同月実績の50%を切る厳しい状況となった。7月以降少しずつ回復し、10・11月には前年並みまで戻ってきている。
試飲販売も仕掛けてトライアルを喚起
植物性ミルクはコロナ禍以降の健康意識の高まりもあり、幅広い年代が手に取るようになった。消費者からの関心も高いカテゴリーであることから、メーカー各社もさまざまな施策を打ち出している。
カゴメは「アーモンドブリーズ」をリニューアル。アーモンドの素材感がしっかりと感じられる飲みごたえのあるコクと、スッキリとした後味を両立している。
明治は24年春に発売した「明治まるごとオーツ オーツミルク」が好調に推移。今期は「明治まるごとオーツ オーツミルクコーヒー」をラインアップに加えた。
キッコーマンソイフーズは新商品として北海道産大豆を100%使用し、大豆と水だけでつくった無調整豆乳「キッコーマン 豆乳一丁」を発売。マルサンアイはレギュラー豆乳シリーズおよびカロリーオフ豆乳シリーズのパッケージデザインを10年ぶりに全面リニューアルした。
市場の拡大が期待される植物性ミルクだが、健康意識の高い人が飲むイメージが強く、知っているが飲んだことはない「認知未購入者」のトライアルが課題となっている。
植物性ミルクは人によっては独特のクセを感じるため、そのまま飲むだけでなくコーヒーや紅茶に入れたり、シリアルにかけたり、料理に使ったりなど、使い方を広げることで使用頻度も向上するだろう。
売場でも栄養素や牛乳との違い、味の特徴など植物性ミルクの特色をPOPやボードで紹介するほか、試飲販売での訴求やレシピと絡めた提案で興味関心を引き、トライアルに結び付けていきたい。