価格改定の影響で金額ベースでは伸長している食用油市場だが、価格高騰が続くオリーブオイルが物量ベースで大きく落ち込んでおり、物量ベース全体では前年割れとなっている。
一方、クッキングオイルとして定着しているこめ油やごま油は好調をキープしており、メディア露出効果によりアマニ油も好調だ。
クッキングオイル全体では前年維持
こめ油やプレミアムオイルが好調
2024年4月~12月の食用油市場は、金額ベースで対前年同期比1%増、物量ベースで同3%減となった。価格改定による単価上昇で金額ベースでは微増となったが、物量ベースでは前年割れ。価格高騰が続くオリーブオイルの買い控えが原因と見られる。
カテゴリー別にみると、キャノーラ油は金額ベースで同11%減、物量ベースで同1%増、レギュラーは金額ベースで同3%増、物量ベースで同26%増。汎用油の価格上昇が止まったことからキャノーラ油は金額で前年割れとなった。

クッキングオイルで需要を伸ばしているのがこめ油で、金額ベースで同8%増、物量ベースで9%増と堅調に推移。ヘルシーなイメージや使いやすさなどが浸透し拡大を続けており、クッキングオイル内での容量構成比は13%にまで高まっている。
汎用油の店頭価格が高まったことで、“ちょっといい油”を求める層がこめ油にシフトしたことが予想される。そのほか、プレミアムクッキングオイルも堅調で、日清オイリオグループの「日清ヘルシーオフ」や、昨年春に発売した酸化を防ぎ、開封後も鮮度が長持ちする「日清ヘルシークリア」など、付加価値型のクッキングオイルにキャノーラ油からシフトし、販売単価上昇に貢献している。
クッキングオイル価格を重視する層と、おいしさ、風味、機能といった価値を求める層の多様化が進むことが予想される。
2年連続不作のスペイン産オリーブ
25年の生産量は回復の見込み
家庭に必須な調味料として定着しているごま油は金額ベースで同7%増、物量ベースで同2%減となった。そのうち純正ごま油は金額ベースで同4%増、物量ベースで同5%減、手頃な価格の調合ごま油は金額ベースで同14%増、物量ベースで同4%増と好調に推移した。
ごま油は家庭での保有率も高く、料理に欠かせない油だが、値上げの影響で純正ごま油から調合ごま油へシフトしたようだ。
オリーブオイルは、金額ベースで同9%増、物量ベースで同27%減となった。主要原産国であるスペインでの2年連続の不作によりオリーブが高騰し、各社では22年から複数回、値上げを行った。25年はスペインの生産量が回復する見込みで、今後は店頭価格にも反映されそうだ。
一方、イタリアは裏年にあたるため不作で、相場の下落は限定的なので、今年のオリーブオイルは産地によって価格差が生まれることが予想される。価格だけでなく、産地による風味や味わいのちがいなどもオリーブオイルの魅力となっているため、価格一辺倒にならずユーザーニーズに対応した品揃えが求められる。
しそ・えごま油やアマニ油、MCTオイルなどのサプリ的オイルは金額ベースで同15%増、物量ベースで同12%増。そのなかで伸びているのがアマニ油で、金額ベースで同44%増、物量ベースで同42%増となった。
昨年5月にテレビの情報番組でアマニ油の健康効果が取り上げられたことで需要が一気に高まり、一時は店頭から商品が消えるほどの人気となった。その後も大きく落とすことなく堅調に推移している。今回で3度目のブームとなるアマニ油は、今後の市場定着が期待されている。