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ごま市場、おいしさや健康価値をあらためて訴求し、若年層の喫食率アップを図る

原料高騰や物流費、包装資材などのコスト高による価格改定の影響で、ごま市場は厳しい状況となっている。店頭での適正価格化に加え、高付加価値商品の提案で、市場を活性化していきたいところ。また、ごまを使用したレシピ提案で、喫食機会を広げていくことが重要だ。

価格改定の影響で、金額・数量PIともに前年割れ

 KSP-POSによると、ごまの期間通算(2022年7月~23年6月)の金額PIは1071円で対前年同期比2.6%減、数量PIは7.3で同6.2%減。月別金額PIでは11月以外はすべての月で前年割れとなった。食品全般で値上げが行われるなか、ごまも段階的な価格改定を行ったことで、買い控えが起きていることが予想される。ごまは60gで店頭価格100円弱がボリュームゾーン。この価格をキープするために容量を減らす、という選択肢もあるがごま市場の活性化のためにも適正価格化を図っていくことが大切といえそうだ。

食品全般で値上げが行われるなか、ごまも段階的な価格改定を行ったことで、買い控えが起きていることが予想される

 ごまは、焙煎して粒を残した「いりごま」が中心になるが、ここ数年いりごまの粒をすり上げた香ばしい「すりごま」が手軽さから人気。また濃厚なごまの風味が楽しめる「ねりごま」も好調だ。ドレッシングやあえもの、たれとして活用できるだけでなく、アイスやパンにかけるなど、さまざまな使い方が広がっている。パウチタイプが登場したことで、より使いやすくなり、使用機会が増えている。

 栄養価が高く、香ばしい風味のごまは、さまざまな料理に使いやすい汎用性の高い食品だが、あえものとして利用されることが多く、野菜の相場に左右されるカテゴリー。とくにあえものの定番、ほうれん草の旬である秋冬に需要が上がり、春夏よりも金額PIが高くなる傾向となっている。

健康を基軸とした、付加価値商品を提案

 脂質、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富で、近年はごま特有の栄養成分であるセサミンの抗酸化作用に注目が集まっている。ふりかけるだけで不足しがちな栄養素を手軽に取り入れることができることから、中高年だけでなく美容や健康に関心の高い若年女性からも人気となっている。

 真誠では、血圧が高めの方の血圧を下げる機能があるGABAを配合した機能性表示食品の「だし香るごまあえの素」を提案しており、毎日の食卓に手軽に取り入れられることからリピート率が高まっている。また今年の春には、BMIが高めの方の体についた脂肪を減らす機能があることが報告されているローズヒップ由来ティリロサイドを配合した機能性表示食品の「黒ごまアーモンドきなこ」を新発売。ヨーグルトや牛乳に入れるだけでおいしく体脂肪を減らすことができる商品だ。

 ごまの健康を基軸とした付加価値商品を提案することで新規ユーザーを獲得し、市場の底上げを図りたいところだ。全国胡麻加工組合では、11月5日を「ごまの日」と制定し、サンプリングや店頭でのPOPを使った販促活動で、ごまの健康価値やおいしさを訴求。とくにごまの使用率の低い若年層へのごまの健康価値の啓発活動を中心に行っている。

 また、真誠では新しい食べ方を提案する「利久胡麻 わさびごま」を発売。香ばしい香りの白ごまとさわやかな香りと辛みの本わさびを組み合わせた調理ごまで、刺身や寿司、蕎麦、ステーキなどにふりかける、これまでとは違った食べ方を提案している。ごまはどんな食材とも相性がよいため、乾麺エンドなどでごまの露出を図り、需要拡大につなげたいところだ。