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にごり酒市場、ロイヤルユーザーを抱える注目カテゴリー、飲み方提案で新規ユーザーを獲得

米のしっかりとした味わいが楽しめるにごり酒は、通常の清酒以上に秋冬期に強いカテゴリーだ。同カテゴリーはこれまで中高年層に支えられてきたが、炭酸割りなどの飲み方提案により、近年は女性や若年層のユーザーも増えつつある。

米のうま味が感じられる
しっかりした味わいが人気

 白濁した色味と濃厚でどっしりとしたうま味が特長のにごり酒。米本来の芳醇な香りと味わいが楽しめることからコアな日本酒ユーザーから支持されているカテゴリーだ。

 にごり酒はメーカー・銘柄により通年販売品と季節限定品があるが、気温が下がり鍋物などの食卓出現率が高くなる秋冬に需要が高まる傾向にある。

白濁した色味と濃厚でどっしりとしたうま味が特長のにごり酒。米本来の芳醇な香りと味わいが楽しめることからコアな日本酒ユーザーから支持されているカテゴリーだ。(i-stock/Shaiith)

 KSP-POSデータによると、需要期である2022年10月から23年3月のにごり酒カテゴリーの期間通算金額PIは前年同期比1.2%増の221円。ここ数年は横ばい傾向にあり、月別で見ると他の日本酒同様、年末年始に売上が伸びる傾向にある。

 続いて同期間内における販売金額構成比のランキングを見ると、1位は三輪酒造「白川郷 純米にごり酒」の720ml、2位に菊水酒造「菊水 五郎八 にごり酒」720ml、3位に北鹿「北鹿 北あきた にごり酒」1.8Lとなった【図表】。

 ランキング上位に入ったどの銘柄も、サイズ違いで複数のアイテムがランクインしているが、にごり酒はヘビーユーザーも多いことから、小容量帯よりも720ml瓶または1.8L瓶が上位に来る傾向にあるようだ。

 中でも「菊水 五郎八 にごり酒」は2位の720ml瓶のほか、1.8L瓶が5位、飲みきりサイズの180m lが12位、小容量の300ml瓶が14位と全SKUがランク内に入っており、存在感を示している。

小容量の展開や飲み方提案で、トライアルを促進する

 にごり酒はすっきりした飲み口の日本酒に比べて、豊潤で濃厚な口当たりが特長であり、秋冬シーズンに大きく動く商品だ。他の酒類と比べ新商品は少ないものの、それぞれのブランドが多くのロイヤルユーザーを抱えている。

 にごり酒はしっかりした飲み口で、主に中高年層の支持を集めてきたカテゴリーだが、今後、市場を拡大していくためには若年層をはじめ、ビールやRTDなど他の酒類ユーザーにトライアルを促すことが重要となる。初めて手に取る人向けに小容量や飲みきりサイズを訴求することもチャンスにつながるだろう。

 菊水酒造では今期「菊水 五郎八 にごり酒」のパッケージデザインをリニューアル。またソーダ割りやミルク割りといった和のカクテル提案をSNSで発信するなど、若い世代を取り込む施策にも挑戦している。

 にごり酒はアイテム数が限られていることもあって他の酒類に比べて売場提案が少ない。需要期である秋冬期に合わせて味わいの特長や割り材との組み合わせ、料理とのマリアージュなど、にごり酒ならではの楽しみ方を提案し、需要を拡大していきたい。