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植物性ミルク、健康志向や環境への配慮から人気上昇!使い方訴求で市場にも広がり

カテゴリーフォーカス

豆乳やアーモンドミルクといった植物性ミルクは、豊富に含まれる健康成分に加えて、自然由来の食品や環境への配慮から興味を持つ生活者も多い。トライアルの飲みきりサイズからファミリー用の大容量に移行するユーザーも増えている。

コロナ禍を背景に新規ユーザー取り込む

 健康志向の生活者から長年支持されている豆乳は、洋日配売場の定番商品となっている。インテージSRIによると、豆乳カテゴリーの2019年10月から20年9月の期間通算の市場規模は対前年同期比3.4%増の410億円となった【図表❶】。

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、生活者のライフスタイルおよび消費マインドが大きく変化するなか、さまざまなカテゴリーが影響を受けている。豆乳はロイヤルユーザーを多く抱えているカテゴリーだが、今回のコロナ禍で生活者の健康意識がより高まることで新規ユーザーを獲得。牛乳と比較し常温で保存できる点も魅力で、外出自粛に伴いまとめ買いをするユーザーもいたことから、数字が大きく伸びたと推測される。

 さらに好調なのが、近年、注目度の高いアーモンドミルクだ。【図表❷】のアーモンドミルクカテゴリーの19年10月から20年9月の期間通算の市場規模は、同17.3%増の53億円と、2ケタ増の伸長となった。とくに20年2、3月、および7、8月は前年比20%以上の大幅な伸びを示している。

 欧米諸国ではベジタリアンやヴィーガンの増加に加えて、安全や環境への配慮から牛乳等の動物性食品の摂取を減らしたいという意向が強く、アーモンドミルクも牛乳、豆乳に続く第3のミルクとして、すでに定着している。

 日本国内でもスターバックスが定番メニューにアーモンドミルクを導入したのをはじめ、カフェチェーンやレストランなど、アーモンドミルクを使用する飲食店が増えている。これまでは感度の高い女性向けというイメージが強かったアーモンドミルクだが、TVや雑誌など、多くのメディアでも取り上げられたことで認知度を高め、手に取る年代層の幅も広がってきている。

使い方やレシピ提案でトライアルを促進

 昨今の健康ニーズや菜食ブームから、大豆やアーモンドをはじめとした植物由来食品への関心は年々高まっている。とくに植物性ミルクは牛乳の代替として、毎日の生活に取り入れやすいため手に取る人も多い。

 植物性ミルクの最大の課題は、知っているけれど飲んだことはない「認知未購入者」へのトライアル訴求だ。一度飲めば味のよさがわかり続けて購入したり、ファミリーユースの商品に移行するといった動きも見られるだけに、まず、手に取ってもらうことが重要になる。

 とくにアーモンドミルクは豆乳に比べると認知度がまだ低いため、売場でも豊富なビタミンEやコレステロール0といった特徴を、POP等を使って紹介することも必要だろう。

 現状、植物性ミルクは通常の牛乳同様、そのまま飲むことがメーンとなっているが、コーヒーや紅茶に入れたり、シリアルにかけたり、料理に使ったりなど、使い方を広げることで使用頻度も向上するはずだ。

 売場でも栄養面での魅力をPOPやボードで紹介するほか、レシピと絡めて提案することで、植物性ミルクを手に取る機会を増やしていきたいところだ。

江崎グリコ、好調の「アーモンド効果」ホット訴求や鍋料理提案で用途を拡大

アーモンドミルクのトップブランド、江崎グリコの「アーモンド効果」は、今期、朝食やホットドリンク、鍋料理などのシーン提案により需要を喚起し、アーモンドミルク市場の拡大を図っていく。

植物性ミルク全体の市場拡大にも貢献

 江崎グリコの「アーモンド効果」はビタミンEや食物繊維、カルシウムが豊富に含まれた、牛乳・豆乳に続く次世代のミルクとして注目されているアーモンドミルクだ。同品は2014年の発売以降、順調に売上を伸ばし、アーモンドミルク市場はもちろん、国内の植物性ミルクの市場拡大にも大きく貢献している。

 現在、ラインアップとして、やさしい味わいの「オリジナル」のほか、「砂糖不使用」「香ばしコーヒー」「3種のナッツ」「薫るカカオ」「まろやかカフェ」の6種を200mlタイプで展開。また、「オリジナル」「砂糖不使用」「3種のナッツ」は1Lパックも展開している。

 「アーモンド効果」は常温でも保存が可能なロングライフ商品でもある。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、外出を自粛する生活者が増えるなか、一回の買物量が増える傾向にあり、とくに「アーモンド効果」は豊富な栄養素に加え、日持ちが長い点でも注目され、コアターゲットである30・40代女性だけでなく、幅広い年代に受け入れられている。

 アーモンドミルク市場は年々伸長を続け、直近の19年度は前年比116%で着地した。日本ではまだなじみの少ないアーモンドミルクだが、低カロリー、低糖質、コレステロールゼロという健康面に加えて、牛乳と比べて環境負荷が大きく抑えられるサスティナブルな飲料としても注目されており、欧米ではすでに定番化している。

 日本国内でも外食業でアーモンドミルクを使用する店舗が出てきたり、媒体での露出が増えるなど、認知度も向上。アーモンドミルクを目にする機会が増えたことで、飲用経験者も年々増加し、1Lサイズを常備するロイヤルユーザーも育ちつつある。

 次のステップとなるのがアーモンドミルクを知っているが、まだ購入したことがないという、認知未購入者へのアプローチだ。江崎グリコでは、アーモンドミルクの味・おいしさへの理解促進と、飲用シーンのさらなる拡大の2点をテーマに、新たな施策を打ち出す。

冬はホットでチョコと楽しむ鍋つゆとのコラボも実施

 秋の販促の軸となるのが朝食提案だ。「朝アーモンドが体にG o o d!G o o dAlmorning」をキャッチコピーとし、そのまま飲用するだけでなく、牛乳の代わりにグラノーラにかけたり、コーヒーに入れたり、パンと合わせるといった朝の飲用シーンを提案することで、トライアルや習慣化を強化する。

 また、敷島製パン(Pasco)とコラボレーションを行い、同社のファンクラブ会員向けに「アーモンド効果」の訴求を行うほか、Pascoの「バラエティブレッド」と「アーモンド効果」のコラボレシピを特設サイトで紹介。「アーモンド効果」は常温でも陳列が可能なため、店頭のパン売場でクロスMDを行うといったアウト展開もしやすい。

 冬の販促のメーンはホットドリンク企画だ。飲料というカテゴリーの特性上、数字が落ちやすい冬場に向け、江崎グリコではテレビCMから店頭まで一貫したホットドリンク提案を2017年から継続的に実施してきた。今期は菓子部門の「メンタルバランスチョコレートGABAフォースリープ<まろやかミルク>」や、「ポッキー贅沢仕立て」を、温めた「アーモンド効果」に溶かしながら飲む、冬期ならではの楽しみ方を提案している。11月にはミツカンの鍋つゆブランド「こなべっち®」とコラボレーションし「アーモンド効果鍋」を提案。オンパック企画や常温コーナーでの展開などを計画している。江崎グリコでは朝食提案や料理での利用など、「アーモンド効果」のさらなる飲用シーンと食シーンの拡大を図り、市場拡大をねらっていく考えだ。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ、豆乳ヨーグルトやアーモンドミルクなど植物性素材の価値を追求する

ポッカサッポロフード&ビバレッジでは、近年需要が拡大している植物性ミルク商品の開発に注力。豆乳を使った「SOYBIO(ソイビオ)」シリーズをはじめ、好調の「アーモンド・ブリーズ」の拡販にも力を入れていく

豆乳からアーモンドミルクまで幅広い商品ラインアップ

 ポッカサッポロフード&ビバレッジでは、2016年4月より豆乳飲料・豆乳ヨーグルトのマーケティングをスタート。以降、豆乳・豆乳加工品「ソヤファーム」ブランドや、「SOYBIO(ソイビオ)」シリーズを通じて植物性ミルクによる商品開発に力を入れてきた。同社は、今夏、組織変更で新たにレモン・プランツミルク事業部を立ち上げており、植物性素材の価値の追求をめざすとしている。

 「SOYBIO豆乳ヨーグルトプレーン無糖400gカップ」が好調の「SOYBIO」では新商品として「SOYBIO豆乳ヨーグルトストロベリー180gストロー付きカップ」を発売。豆乳ヨーグルトを手に取るきっかけづくりとして、サンリオの人気キャラクターであるハローキティとコラボレーションした「おいしさ体感! SOYBIO×HELLO KITTY豆乳ヨーグルトキャンペーン」を実施している。

 豆乳と並んで、同社が近年力を入れてきたのがアーモンドミルクカテゴリーだ。18年春発売の「アーモンド・ブリーズ」はアメリカのカリフォルニア州で110年以上にわたりアーモンドを生産し続けている、Blue DiamondGrowers社の契約農家で栽培・収穫されたアーモンドのみから作られたアーモンドペーストを加水して作られたアーモンドミルク。アーモンド本来のおいしさを生かすため、甘さや香りを控えめにした味わいの商品となっている。1Lサイズのホームユースタイプでは砂糖不使用とオリジナルの2アイテムを、200mlのパーソナルタイプでは同フレーバーに加えて、コーヒーテイストとアーモンド&ココナッツの4アイテムを展開している。

 また、8月には同ブランド初となるペットボトル入りの「アーモンド・ブリーズ アーモンドミルククリアテイスト500mlPET」を発売した。同品はアーモンドの香りを楽しみながら、すっきりとした味わいが楽しめ、リキャップできることから持ち運びしやすく、“ながら飲み”をしながら手軽に健康ケアや気分転換ができる商品となっている。

カルシウム量を強化「アーモンド・ブリーズ」

 毎年2ケタ増で推移する好調なアーモンドミルク市場をさらに拡大していくため、ポッカサッポロフード&ビバレッジでは今春「アーモンド・ブリーズ」のリニューアルを行った。

 最大の特長は「アーモンド・ブリーズ砂糖不使用」「アーモンド・ブリーズ オリジナル」のカルシウム量を強化し、一般的な牛乳と同程度まで高めた点。これによりそのまま飲用するだけでなく、コーヒーや紅茶に入れるといった牛乳と同じ用途で楽しめるようになった。

 また商品特徴をわかりやすく伝えるため、日本の生活者に響くようなデザインへと商品パッケージを刷新。さらに、価格面で継続が難しいと考えるユーザーの声に応え、1Lサイズの希望小売価格の見直しを行っている。

 同社ではリニューアルに合わせてカタリナクーポンによるキャンペーンを年末まで実施し、トライアルの促進と認知度向上につなげたい考えだ。

 アーモンドミルクは健康意識の高まりや菜食ブーム、アレルギーなどで乳飲料を飲めない人の代替飲料として定着し欧米で大きな市場を形成している。日本でも豊富なビタミンEやコレステロール0といった特徴が認知され、年々右肩上がりで成長を続け、昨今ではカフェやレストランなどの外食での取り扱いも増えつつある。同社では、「アーモンド・ブリーズ」を牛乳・豆乳に続く第三のミルクとして提案し、アーモンドミルクの認知向上をめざしていく。

マルサンアイ、市場を牽引する無調整豆乳に原料や濃厚さにこだわった新商品を投入

健康志向の高まりや料理用途などの利用の広がりで、2009年から10年連続で伸長を続けている豆乳市場。マルサンアイの豆乳商品も市場同様に好調に伸長を続けてきた。この秋は、多様化するニーズに対応した新商品を投入し、市場のすそ野拡大を図る。

「医師推奨マーク」を取得し店頭での訴求力を高める

 豆乳市場の中でも無調整豆乳は10年間で約5倍に伸長し、好調な豆乳市場を牽引している。原料や製法にこだわり、おいしい豆乳を提供し続けているマルサンアイの豆乳も市場同様に好調で、なかでも有機大豆を使用し、大豆本来のおいしさを追求した「有機豆乳無調整」が豆乳ファンから支持を集めている。そのまま飲むだけでなく、料理やお菓子づくりに利用されていることが需要拡大につながっている。

 ただ、大豆と水のみでできている無調整豆乳は、調製豆乳や豆乳飲料に比べて味の特徴の違いが出にくかったことから、商品の選択肢が少ない傾向にある。

 そこで同社では、ベーシックタイプだけでなく、味わいにこだわるヘビーユーザーに向けて、「濃厚10%国産大豆の無調整豆乳」を9月に新発売。国産大豆を100%使用し、大豆固形分10%の濃厚タイプとなっている。同商品は医師100名にサンプリングしアンケートを実施したところ、96%の医師が「大豆たんぱく質と大豆イソフラボンを摂れる食品として勧めたい」と回答。「医師推奨マーク」を付与して、パッケージでアピールしていく。

 さらにハイスペックなものを求める人に向けては、大豆固形分14%の無調整豆乳「特製濃厚14.0無調整豆乳125ml」を新発売。国産大豆だけを使用し、豆乳のエキスパートである同社の特別製法を採用することで、大豆のまろやかな甘みやコク、香りを引き出した。125mlでも良質な植物性たんぱく質が摂取できるので、200mlが飲みきれない人には最適だ。

 一方、おやつや小腹満たしなどに飲まれる傾向のある豆乳飲料だが、既存アイテムには「甘すぎる」という声があり、また最近では無糖タイプのコーヒーが人気となっていることから、「甘くない」をコンセプトにした「豆乳飲料 ちょっと贅沢なコーヒーキリマンジャロブレンド」を新発売。フルーティーで芳醇な香りのキリマンジャロをブレンドしたコーヒー豆を使用。すっきりとした甘くない豆乳飲料なので、仕事中にもぴったりだ。

アーモンドの含有量をアップしよりアーモンドが感じられる味わいに

 コレステロールゼロでヘルシーなアーモンドミルク。ビタミンEやオレイン酸が手軽に摂取できることから、牛乳・豆乳に続く「第三のミルク」として注目を集めている。マルサンアイでは2019年の春に「毎日おいしいローストアーモンドミルク」を投入。ローストアーモンドの香ばしい風味が支持され順調な拡大となっている。この秋はアーモンドの含有量を2.5%に増やし、アーモンドそのものの味を感じやすくした。また、人工甘味料不使用で、原材料を見直して、さらにおいしく仕上げた。同シリーズは、ターゲットである女性に向けてファッション誌で広告を投下していく。

 同社は、日テレ・東京ヴェルディベレーザとコーポレートパートナーとして契約しており、9月26日に「マルサン豆乳DAY」を開催し、豆乳飲料のサンプリングや勝利チーム賞授与などを行った。引き続き、魅力的な新商品の投入や話題となるプロモーションで、市場の底上げを図る。