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ニューヨークに商品本部新設!グローバルトレンドで世界に勝負するジーユーの戦略とは

ジーユー(東京都/柚木治社長)は、23年秋冬のシーズンについて、グローバル視点を重視した商品開発に力を入れていくと発表した。世界に通用するファッションブランドを目指し、クリエイティブデザインを刷新するほか、海外での出店も強化する予定という。

2023年秋冬方針説明会に出席した柚木治社長

国内外で出店続き売上も好調に推移

コロナ禍が収束を見せ、街中で訪日外国人客(インバウンド)の姿を見かけることが増えてきた。国内外を問わず、消費者の購買行動は、再び活発になりつつある。そんな中、ジーユーは9月4日に開催された秋冬商品の説明会で「GO GLOBAL」を方針として打ち出した。

23年5月末時点で、同社の店舗数は464、うち海外の店舗は34を占める。22年10月には、米国ニューヨークにポップアップストア「ジーユー ソーホー ニューヨーク店」(以下、ニューヨーク店)が開店した。米国への出店は同社初となる。23年9月にはニューヨークに商品本部を新設し、MD(マーチャンダイジング)やR&D(研究開発)の担当者ら約10名で、世界のトレンドや顧客動向について分析を行ってきた。

並行して国内出店にも力を入れ、22年度「マロニエゲート銀座店」や「天王寺MIO店」など、都心部や主要都市に合計47店舗を出店した。
国内外でのこれらの取り組みによって、売上は好調に推移している。23年8月期第3四半期の売上収益は2297億円で、前年同期から19.7%増。営業利益は258億円で、同2ケタ増収増益を遂げている。

秋冬シーズンで販売するパラシュートカーゴパンツ。モデルが着用する上着は、同じく秋冬の新作であるパフィータッチニット

ニューヨーク店で特に人気を集めたのが、グローバルなトレンドを捉えつつも、低価格でデザイン性にこだわった商品だ。特に「スーパーワイドパンツ」「マルチウェイニット」「ヘビーウェイトスウェット」などは、他店舗でも好調な売れ行きを見せた。
こうしたことから、23年秋冬ではシーズンテーマとして「URBAN EXPLORER」を掲げ、「テック素材」「ユーティリティ」など、グローバルトレンドであり、かつ機能性や実用性を重視した商品を発売する。

「パラシュートカーゴパンツ」(税抜2990円)は、ウエストと膝にタック(ひだ)を入れて、シルエットで立体感を表現した。秋冬の新作として7月のシーズン立ち上げ時から販売を始めているが、コーディネート次第では年間を通しての着用も可能という。

「パフィータッチニット」(同1990~2990円)は起毛した糸を使い、柔らかく、肌ざわりの良い着心地にこだわった。カーディガン(ショートサイズ、オーバーサイズ)やポロセーターなど全7種類を展開しており、上下で様々な着こなしの組み合わせができる。

また、今シーズンからクリエイティブデザインに迎えたのが、デザインスタジオの「YAR」。アートディレクターやグラフィックデザイナーの集団で、アイナ・ジ・エンド、RADWIMPS、AJICOなど名だたるアーティストのアートディレクションや映像制作を手がけてきた。ジーユーの販促物やオンラインストアなどに、世界地図をモチーフとしたオリジナルのデザインを提供する。

イメージキャストの茅島みずき氏(中央)、大平修蔵氏(右)

イメージキャストも7年ぶりに刷新した。起用したのはティーンエージャー向けのファッション誌「Seventeen」で専属モデルを務め、「東京ガールズコレクション」に出演する茅島みずき氏と、TikTokで700万人以上のフォロワーを誇り、22年、Forbes JAPAN 30 UNDER 30 2022日本発「世界を変える30歳未満」に選出された大平修蔵氏の2名だ。店頭やオンラインサイトで広告・販促物を中心に出演予定という。

今後は中国・台湾・香港など既に店舗があるアジア圏での出店を増やす予定で、さらに現在はポップストアを展開するニューヨークにおいても、正式出店を検討中だ。
グローバルに事業を展開する上での自社の強みについて、柚木社長は「トレンド、品質、価格の3つを常に世界一のレベルで目指している。どの商品も組み合わせがしやすく、日常的に気軽に楽しめるファッションブランドでありたい」と語った。