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ごま市場、健康価値やレシピ提案で、喫食率アップをめざす

栄養価が高く、香ばしい風味のごまは料理に欠かせない食材で、コロナ禍の内食需要の拡大で需要は拡大している。今後さらにごま市場を拡大するためには、ごまを使用したメニューを増やし、喫食率を拡大していくことが大切だ。

コロナ特需一巡後も、ごまの需要は堅調に推移

 KSP-POSによると、ごまの期間通算(2021年7月~22年6月)の金額PIは1086円で対前年同期比2.8%減、数量PIは7.66で同3.2%減となった。月別金額PIでは10月以外は前年割れ。コロナ特需の反動で前年を下回ったが、大きな落ち込みではない。ごまは季節的な要因は少なく、あえものとして使用されることが多いことから、野菜の相場に左右されるカテゴリー。とくにあえものの定番、ほうれん草の旬である秋冬に需要がアップするようだ。

ごまは健康によいというイメージに加え、さまざまな料理に使いやすい汎用性の高さが人気の要因。コロナ禍による内食生活が定着したことでごまを使った料理の食卓登場頻度が高まった。(i-stock/Andrei Naumenka)

 ごまは健康によいというイメージに加え、さまざまな料理に使いやすい汎用性の高さが人気の要因。コロナ禍による内食生活が定着したことでごまを使った料理の食卓登場頻度が高まった。コロナ特需が一巡した後も堅調に推移している。

 ごまは、焙煎して粒を残した「いりごま」が中心になるが、ここ数年いりごまの粒をすり上げた香ばしい「すりごま」が手軽さから人気が高くなっている。また濃厚なごまの風味が楽しめる「ねりごま」も好調だ。ドレッシングやあえもの、たれとして活用できるだけでなく、アイスにかけるなど、さまざまな使い方が広がっている。ごま製品は中高年世代が中心だったが、健康や美容への意識の高い女性からも人気を集めている。ごま製品のトップメーカーである真誠では、2019年秋にごまとアーモンドの2つの栄養を摂取できる「クラッシュアーモンドすりごま」を発売。クラッシュアーモンドのザクザクした食感が楽しめ、さまざまな料理やスイーツにも活用できることから、新たに若い女性を取り込むことに成功している。

ふりかけるだけで手軽にごまの栄養を摂取

 近年は、ごま特有の栄養成分であるセサミンの抗酸化作用に注目が集まっている。そのほかにも油分、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富な素材。ふりかけるだけで不足しがちな栄養素を手軽に取り入れることができる。真誠では、血圧が高めの人の血圧を下げる機能があるGABAを配合した機能性表示食品の「だし香るごまあえの素」を展開。毎日の食卓に手軽に取り入れられることからリピート率が高まっている。

 この春はアーモンドを30%配合した食感と風味が楽しめる「カラダうれしいアーモンドあえの素」を新発売。たまり醤油と枕崎産かつおだし、隠し味に白みそを加えた。肉や野菜をあえるだけで、おいしいあえものをつくることができる。栄養価の高い人気素材のアーモンドとごまが手軽に取り入れられる新商品の投入で、さらに市場拡大を図っていく。

 ごまの健康を基軸とした付加価値を広げるため、ごま業界全体で、ごまの啓発活動を行っている。全国胡麻加工組合では、11月5日を「ごまの日」と制定し、サンプリングや店頭でのPOPを使った販促活動で、ごまの価値を訴求。とくにごまの使用率の低い若年層へのごまの健康価値の啓発活動を中心に行っている。また、手軽で取り入れやすいごまを使用したレシピ提案を強化。1日3食ごまを使用したメニュー提案で、喫食率を増やしていく。ごまの健康感だけでなく、ごまを加えることで旨味が付与され、料理が一段アップすることを発信し、さらなる需要アップを図る。