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「キシリクリスタル」が大成功を収めたパッケージ刷新の裏側にあった危機感

 キシリトールの結晶化に成功し、3層キャンディとして2001年に発売を開始した「キシリクリスタル」。

 キシリトールのひんやりとキャンディのすっきりした甘さが絶妙で、24年春のパッケージリニューアルにより、とくにフルーツアソートは新規ユーザー獲得に加え、店頭配荷率と回転数がアップした。

パッケージリニューアルで売上が加速

キシリクリスタル商品3種
キシリトールのひんやりとキャンディの甘さが絶妙な「キシリクリスタル」

 コロナによって一時落ち込んだものの2021年以降好調なキャンディ市場。そのなかで市場を牽引しているのがのど飴だ。

 空気が乾燥する冬をはじめ、のどケアを目的としてのど飴は利用されており、同じ飴でも食べるなら機能を求める層が増えていることものど飴が好調な要因だ。

 特許技術でつくられたキシリトール層をキャンディでサンドした3層構造の「キシリクリスタル」も好調に推移。昨年春のパッケージリニューアルにより、売上が加速している。

 従来のパッケージでは「キシリクリスタル」の持つ情緒価値を訴求してきたが、昨年春からは店頭で「のど飴」であることが一目で伝わるパッケージデザインに変更。

 それにより、とくに、巨峰、青りんご、白桃の3種類の味が入った〈フルーツアソートのど飴〉が店頭配荷率と回転数ともにアップ、新規ユーザーも獲得し、大きく伸長した。

 「キシリクリスタル」は、発売当初から不動の人気の〈ミルクミントのど飴〉と〈フルーツアソートのど飴〉が定番で、半期ごとに季節のフレーバーを展開してきたが、昨年秋発売の〈ハニーアソートのど飴〉が好評で、今後は3品を定番商品として展開していく。

コンビニ限定の新しい商品も

キシリクリスタル(2枚組み合わせ)
「キシリクリスタル」にミントポリフェノールとビタミンC を配合した「キシリクリスタル のど飴プラス」2品

 さらに1 月20 日から、「キシリクリスタル」にプラスの成分を配合した「キシリクリスタル のど飴プラス」を一部コンビニエンスストア限定で新発売。

 1粒にレモン2個分以上のビタミンCを配合した商品と、ミントポリフェノールを配合した商品の2品となっている。流通の反応もよく順調な配荷だ。機能感を高めた商品の発売で、新たな層の獲得をめざす。

資産であるサウンドロゴを活用、夏には新たな提案も

 「キシリクリスタル」の認知率は7割と非常に高く、のど飴としてだけでなく、おいしいキャンディとしても支持されている。ただロングセラーブランドではありながらも、過去購買者が休止している傾向にあり、商品価値の理解も不足していることに危機感を抱いていた。

 そこでこの春からは、歌手のクリスタル ケイさんを起用したWEB CMを配信。過去にテレビCMで使用されていたサウンドロゴにクリスタル ケイさんの名前をかけたキャッチーなフレーズで思い出し喚起を図り、さわやかな映像とともに耳に残るメロディと歌詞で商品特徴を訴求した。

 また、のど飴は空気が乾燥する冬が最需要期で夏場には需要は大きく落ち込む。23年11月~24年2月と24年6~9月の金額規模を比較したところ、のど飴カテゴリーは1/3程度落ち込むが、キシリクリスタルはひんやりとした特徴があるからか、カテゴリーの3割程度の落ち幅となっている(図表)。

 同社ではさらに夏の需要アップに向けて、新たな提案を行うとのこと。来年26年はブランド誕生25周年を迎えるキシリクリスタル。周年をきっかけにさらにブランディングを強化し盛り上げていく考えだ。

春日井製菓マーケティング部 カテゴリー2課 原口 桃佳氏