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ロボティクス技術×物流ビジネスが人と社会にもたらす新たな価値

ロボティクス技術の開発や導入を行う業界や企業は年々増加し、物流業界もその活動が活発です。物流ビジネスにおけるロボティクス技術活用の機会の増加は、既存の輸送業務の効率を高めることに加え、より良い社会と未来に向かって新しい価値を提供できる可能性を持っているのです。

ロボティクス技術は人々の生活の質を向上させる鍵となっていく。

ロボティクス技術で社会の課題に挑戦

ロボットが直接お客様に接して物流サービスを提供するようになるには、さらに時間が必要でしょう。さてそれが現実となったとき、我々はどのようなイノベーションを起こすことができるでしょうか。新しい価値を提供する一つのアイデアとして、人々や地域を支えるための業界を超えたコラボレーションによる、配送ネットワークが考えられます。

ロボティクス技術はそこで、地域の配送ロボットとして活躍します。ショッピングモールや商店街などの店舗が集まる場所に、配送ロボットの拠点を置き、各店舗は購入された品物をそこに持ち込み、それらをまとめて、配送が必要な近隣住人に届けるのです。ここでは、配送ロボットとその拠点を地域の多様な事業者が利用できるようにすることがポイントです。多様な店舗と物流サービスのコラボレーションによる新しいサービスは、地域の生活者により多くの選択肢と高い利便性を提供します。このようなサービスは、日本の高齢化社会問題に対する解決策の一つになるのではないでしょうか。

人をサポートするロボティクス技術

物流業界が近年抱える人手不足の問題でも、ロボティクス技術の活用が解決方法となりえます。例えば、ロボットが単純作業を代替することで、人間はより高度な知識や経験を求められる仕事に従事できるようになります。それらの仕事の中には、ロボティクス技術を開発し、活用するために管理するという、高い専門性が求められる新しい仕事も含まれるようになるでしょう。こうした変化は物流業界の労働環境の改善や、従業員の仕事に対する満足度の向上に貢献し、経営資源の最適化によるサービス品質や顧客体験の向上をも可能にします。
e-commerceの拡大などで、物流サービスが人々により密接に関わる現代では、これらの変化は、人々の生活と社会により大きな影響力を持つのです。

フェデックスは創業以来イノベーションを重要視し、最新技術を積極的に取り入れてきました。米国のフェデックスではすでに、輸送施設やオフィスにおいて複数のロボットを活用しています。2018年から、大型で仕分けシステムのベルトコンベアに乗せられない荷物は、自律走行の運搬台車で移動させています。この台車は施設のレイアウトを理解しており、内蔵されたセンサーによって複雑な通路を安全かつ効率的に移動することができるロボットです。また一方で、小型の物品を運んで従業員をサポートしている例もあります。携帯電話の修理サービス事業を行う米国のフェデックス・オフィスでは、Samと名付けられたロボットが、お客様と接する受付の従業員と別の部屋で待機する修理担当者を繋ぐ役割を果たしています。受付でお客様の携帯電話を預かったSamはオフィス内を自動で移動し、エレベーターも自動でコントロールして乗り込み、ビルの別の階にある修理担当部署まで届けています。修理が終われば、Samはまた同じように携帯電話を運んで受付まで戻ってくることで、従業員の業務効率化に貢献しているのです。

ラストマイル配送の未来

物流業界共通の課題の一つに、多様化する顧客の要望により業務が複雑になる傾向があるラストマイル配送が挙げられます。フェデックスではこのラストマイル配送の一部である、店舗から近隣住宅等へのオンデマンド輸送の効率化に、自動配送ロボットを導入して解決を目指し取り組みを始めています。米国では2019年初頭より、フェデックスの自動配送ロボットRoxoを活用して実証実験を行っています。ピザハットやTarget、Walmartのような米国内の主要な小売業と連携し、Roxoを使って比較的小さな荷物(ピザのような食品や医薬品等)を当日中に自動配送するのです。

Roxoは、セグウェイを開発したDEKA社の、階段も登ることができる電動車椅子iBOTの技術を応用したもので、屋外では歩道を移動して配送します。坂道や歩道に障害物があってもスムーズに移動できるRoxoは、様々な場所での利用が期待できますが、それには各国や地域特有のオンデマンド配送への要望に合うオペレーションができるよう、Roxoの機能を調整する必要があります。日本でもそのための実証実験に向けて調整中で、まずは屋内や研究施設の敷地内等での走行実験を行うことを想定しています。

Roxoは坂道や歩道に障害物があってもスムーズに移動できる自動配送ロボット。

社会に受け入れられるロボティクス技術への進化

ロボティクス技術を開発するのも、それをサービスに組み込んで活用するのも、そのサービスを受けるのも人であり、我々はロボットが人や社会に受け入れられることが何より重要だと考えています。自動配送ロボットは全く新しい技術とツールです。人によっては、日常生活でロボットに触れることへの不安や安全性への懸念を抱く方もいるでしょう。我々はロボティクス技術の発展の段階からその存在と働きを多くの人に知ってもらうことで、親しみを持ってもらうよう努力しなければなりません。そして、ロボティクス技術が広く受け入れられるためには、様々な企業による多岐にわたるロボット活用の提案があるべきで、その目的は事業の効率化のみならず、ロボットによるサービスを受ける人の生活の質を向上させ、さらには社会全体を豊かにすることであるべきだと、我々は考えています。

 

Roxoについてさらに詳しくお知りになりたい方は、下記リンクより走行時の様子も動画でお楽しみいただけます。

さらに詳しく知りたい方はこちら

 

氏家 正道(うじいえ まさみち)
フェデックス エクスプレス
北太平洋地区担当副社長
2005年10月に現職に就任。東京に拠点を置き、北太平洋地区(日本、韓国、台湾、香港、グアム、サイパン)を統括。
1992年にフェデックスに入社。サービスエンジニアとしてキャリアを始め、2002年よりマネージング・ディレクターとして日本およびグアム、サイパンのグランド・アンド・サプライチェーン・ロジスティクス・オペレーションを統括した。現在は北太平洋地区担当副社長とアジア太平洋地区サプライチェーン担当副社長を兼任。また、Conference of Asia Pacific Express Carriers (CAPEC) Japanの創立会員および現会長として主要なステークホルダーと協議し、政策方針について改革に取り組む。同時に、日本経済団体連合会および関西経済団体連合会で評議員を務める。
1967年、北海道生まれ。ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院および香港科技大学でMBAを取得。