欧州でも屈指の物価高を記録した英国だが、状況はやや落ち着いてきた。英国国家統計局(ONS)の発表では、2023年10月の消費者物価は前年同月と比較して4.6%増加した。同年1月~3月は2桁の上昇率であったことからすると、かなり緩やかになった印象だ。
そんななか、英国の食品・日用消耗品市場の企業別マーケットシェアに動きがみられ始めている。市場調査のカンター・ワールドパネルによると、23年11月26日までの12週間のシェアは、テスコ(Tesco)が27.5%で同年7月9日までの12週間と比べると0.5ポイント(pt)増、セインズベリー(Sainsbury’s)は15.6%で同0.7pt増に拡大した。
一方でアズダ(Asda)は同0.2pt減、モリソンズ(Morrisons)は±0ptだった。また、物価高を追い風にシェアを伸ばしてきたアルディ(Aldi)は10.2%から9.6%にシェアを落とし、リドル(Lidl)はなんとか同0.1pt増と踏みとどまった。
以上のように、テスコとセインズベリーのシェアに回復傾向がみられるのだ。とくにセインズベリーについては、これだけのシェア増加は10年ぶりとカンター・ワールドパネルもコメントしているほどだ。同社はアルディやリドルからもシェアを奪還しつつあるが、それはこれまでで初めてといえる画期的な出来事である。
インフレ下で、セインズベリーが力を入れてきたのが食品だ。購買頻度の高い商品ができる限り手頃な価格で購入できるように、さまざまな取り組みを行ってきた。その結果、
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