ダイヤモンド・チェーンストア誌調査※によると、2023年度の食品スーパー(SM)の市場規模は19兆4296億円と推計され、前年度から3.2%増加した。「食」をめぐる業態を超えた熾烈な競争や、人口減少による市場縮小といった従前からの経営課題に、原材料や人件費などの高騰が追い打ちをかけるかたちで経営環境は厳しさを増している。そうしたなか、大手を軸とした再編がさらに進み、勢力図には大きな変化が生じている。
※ダイヤモンド・チェーンストア誌2024年9月15日号特集「日本の小売業1000社ランキング」にSM企業としてランクインした計297社の合計売上高と、イオン北海道およびイオン九州の「SM・DS事業」の売上高を合算したもの
イオングループのシェアは20%弱に
まずは国内流通市場の2大勢力であるイオン(千葉県)とセブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)の状況から見ていこう。
流通国内最大手イオンの24年2月期のSM事業売上高(注:算出方法については図表の注記を参照)は、対前年度比9.6%増の3兆6238億円だった。マーケットシェアも約1.1ポイント(pt)伸ばして約18.6%に上り、2位以降に圧倒的な差をつけている。
イオンは18年に「スーパーマーケット改革」を打ち出し、各エリアのSMや総合スーパー(GMS)の事業会社の大規模再編に踏み切った。
なかでも大きな動きを見せたのが中国・四国エリアだ。18年10月に同エリアを地盤とするフジ(愛媛県)と資本業務提携を締結した後、19年3月にマックスバリュ西日本がマルナカと山陽マルナカの2社を完全子会社化して経営統合。22年3月には株式交換によりフジがマックスバリュ西日本とフジ・リテイリングを束ねる持ち株会社に移行し、これら3社が経営統合するかたちで24年3月、新生フジ(事業会社に再度移行)が誕生した。
フジの24年2月期の売上高は8010億円。イオングループのSM企業としてはもちろん、SM業界全体で見ても、ライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)に次いで2番目の売上高を誇る規模となっており、業界全体に占めるシェアも4%を超えている。
イオンではこのほか、カスミ(茨城県)、マルエツ(東京都)、マックスバリュ関東(東京都)を束ねるユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都:以下、U.S.M.H)の存在感が大きい。同社の24年2月期の売上高は7066億円、マーケットシェアも約3.6%に上る。
U.S.M.Hをめぐっては、イオンが掲げる「関東における1兆円SM構想」のもと、24年11月にいなげや(東京都)との経営統合を控える。両社の売上高を単純合算すると9000億円を超える見通しで、ライフを上回って業界最大手となる公算が大きい。
一方のセブン&アイは、ヨークベニマル(福島県)を筆頭に、シェルガーデン(東京都)、ダイイチ(北海道)などのSM企業をグループ内に擁する。これらの企業の23年度の売上高を合算すると
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