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外食・中食市場動向を調査! 回復に向かう外食、伸び率鈍化する中食

外食市場の調査・研究を行う「ホットペッパーグルメ外食総研」は9月14日、メディア向けオンラインセミナーを開催した。2022年のテーマは「コロナ禍3年目を迎えた外食市場と消費者動向の変化、『 外食産業モデルの進化 』 を実現する DX の本質とは」。カスタマー動向、調査分析が専門の稲垣昌宏研究員が2021年度の外食&中食市場概況現状および今後の外食意向について調査結果を発表した。

monzenmachi/iStock

飲酒機会が減り、週末の家族との外食が回復基調に

 外食市場調査は夕方以降の外食および中食の市場規模把握を目的として2012年10月から毎月首都圏、関東圏、東海圏に居住する20~69歳の男女約1万人の消費者を対象に実施している経年調査である。

 2021年4月から22年の3月の外食市場における基準人口は、前年度比0.7%減、外食実施率は同2.2ポイント増の54.2%、外食頻度は前年度比0.08回減の3.44回/月、外食単価は前年度比1.1%減の2,387円であった。3圏域の市場規模は2兆1645億と推計され、前年度と比べ0.1%増でほぼ横ばいの結果となった。

 性年代別で見ると前年度比で最も外食市場規模が伸びたのは30代女性で106.2%。19年度比で最も回復した性年代は、20代男性の64.9%であった。

 業態(大分類)別では、前年の103.8%で食事主体の業態が少し伸びた。次に飲酒主体の業態で87.1%となった。コロナ禍2年目は1年目から13%ほど減少。緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置がコロナ禍1年目に比べて長期間におよび、飲食店の営業制限が多くかかっていたことが関係しているとみられる。

 業態(小分類)別では、コロナ前は回数シェアで居酒屋がトップだったが、前年度からファミリーレストラン、回転ずしが15%と伸び、シェアが最大となった。居酒屋は9.9%でコロナ前の水準まで回復していない。

 飲酒率・予約率は、「飲酒あり」は20年度が同7.5%減、21年度が同7.2%減と、2年間で大幅な減少となった。一方、予約ありの外食率は、21年度は増減なしで下げ止まっている。

 外食の相手は、19年度比で職場・学校仲間が5.9%と約半減。知人・友人は前年度より若干回復したものの、14.8%と19年度の18%には届いていない。外食する曜日は金曜日が減り、土日が増加した。職場相手との飲食が減り、家族との外食が増えた結果とみられる。

 外食する場所については、テレワークの普及なども影響し、地元で外食した割合が19年度比で3%ほど上がったが、21年度は地元以外での外食が少しずつ回復傾向にある。

中食市場は伸び率が鈍化

 続いて中食の動向について。21年度の中食市場は基準人口が前年度比0.7%減、実施率は同1.5ポイント増の70.8%、頻度は同0.02回増の5.11回/月、単価は同1.6%増の867円となった。市場規模は1兆5225億円と推定され、同3.5%増となった。

 22年4~7月の合計を見ると、外食市場規模は対前年同期比68.5%増と大きく回復。コロナ禍前19年の73.1%まで回復した。一方で、中食市場は今年に入り4.8%減に転じている。ただし、19年と比較すると19.8%増となっている。

 7月25~26日、感染第7波と思われるタイミングで行われた最新調査では、全国47都道府県の20~69歳の男女から合計1035件の回答を得た。

 「当分は様子を見て外食は控える」という回答は21.0%で過去2番目に低い数字であった。21年11月に緊急事態宣言も解除され、いわゆる平時だった時が21.5%とほぼ同じであった。「変わらない頻度で行くつもりだ/行っている」が24.3%でコロナ禍前と変わらない飲食行動をしている方が過去一番多かった。

 外食意向が変化した理由としては、「感染しないか不安だから」が62.5%、「まだ自粛すべきだと思うから」が31%、「自分が安全と考えていても同行者に迷惑をかけたくないから」が23.5%と、いずれも今年2月より落ち着いた状況になっている。特に「周りの目がきになるから」という回答は直近4度の調査と比較し、どんどん下がっている。

 職場関係、企業・団体で何かしらの行動制限指示を受けている方は55.2%いるが前回と比べ10ポイントほど下がっており、徐々に制約はなくなる傾向にあると見受けられる。

 そのほか、感染状況以外で外食市場の増減に影響を及ぼす因子として反動消費、リベンジ消費と言われる「上向き圧力」と昨今の物価高に対応した節約志向である「下向き圧力」に注目。どちらの影響が大きいかを調べたところ、反動消費を「している」が14.7%、物価高に対応し「消費を控えている」という回答が35.2%で人数ベースでは下方向の圧力(節約志向)が強くかかっていることが推測される。

 コロナ禍で増えた食べ方・食料の買い方で一番利用が増えたのは冷凍食品で26.2%、テイクアウトが25.0%、SMが24.3%という順であった。デリバリー・宅配は11%でり、利用が減った人が12.8%いたことから、デリバリー・宅配は特定の人が数多く頻度高く使ったと思われる。

 加えて、今後は「地方からのお取り寄せグルメ」は増え続けるだろうと回答された方が多く、「通販(インターネット、テレビ等)」と「ディスカウントストア・ドラッグストア」が続いた。ディスカウントストア・ドラッグストアで食料品を買うケースが増えているが、その傾向は今後も続くと思われる。デリバリーや宅配はこちらでも下位にあり、今後競争が激化すると予想される。

 「コロナが始まり最初の2年は外食市場の上下が新規感染者数の上下に大きな影響を受けて波ができたが、昨今はその波が少しずつ小さくなってきている。その分、物価高などほかのさまざまな要素が組み合わさってきている」と稲垣氏は締めくくった。