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西友・大久保恒夫新社長独占インタビュー ウォルマート流と細かな地域対応を両立させる術とは

相関図大

2021年3月1日、ウォルマート(Walmart)は西友(東京都)株式の15%を残し、65%を米投資会社のKKRに、20%を楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)子会社の楽天DXソリューションに譲渡した。西友は同日付けで就任した大久保恒夫CEOのもと、「ローカル・バリュー・リテーラー」としてさらなる飛躍をめざす。同氏に西友の現状と今後の戦略について尋ねた。

トップランナーとして復活の可能性は十分

──スーパーマーケット(SM)業界の動向をどのようにみていますか。

おおくぼ・つねお●1979年、イトーヨーカ堂に入社。89年、プライスウォーターハウスコンサルティングに入社。その後、流通経済研究所の研究員を経て、90年にリテイルサイエンスを設立し社長に就任。「ユニクロ」「無印良品」の業務改革、「ドラッグイレブン」の再生を手掛ける。2007年、成城石井社長に就任。11年セブン&アイ・フードシステムズ社長、13年セブン&アイ・ホールディングス常務執行役員を経て、18年からリテイルサイエンス代表取締役社長に復帰。21年3月、西友社長兼CEOに就任(現任)

大久保 SM業界では、人口減少、少子高齢化といった人口構造の変化や、コンビニエンスストア(CVS)、ドラッグストア(DgS)など異業態の台頭により、新型コロナウイルスの感染拡大前は厳しい状況が続いていました。女性の就業率の上昇や単身世帯の増加など、消費者のライフスタイルが多様に変化するなか、本来SMが果たすべき食へのニーズに十分対応しきれていなかった面もあります。

 一方、コロナ禍では内食の需要が高まり、消費者の食生活を支えるライフラインとしてSMが再評価されるようになりました。20年度は多くのSMで売上高や営業利益が伸長しています。この“特需”を一過性のものとせず、今後も消費者の食へのニーズにきちんと対応できれば、SMはさらなる発展が期待できる業態です。

──SMが対応すべき食へのニーズとしては、どのようなものがありますか。

大久保 利便性の高い簡便商材や即食へのニーズが高まっています。食の健康志向もますます強くなってきました。

 コロナ禍では、日常生活を上質で豊かにする要素として内食が見直されている一方、毎日のメニューを考えて準備することは大変ですし、調理の経験やスキルが十分でない人も少なくありません。家庭で簡単に調理でき、手づくりのおいしさを楽しめるような料理提案も求められています。単にチラシをまく、価格政策を強化するというような販促施策のみで集客するのではなく、こうしたニーズへの対応を丁寧に実行する企業が今後は生き残っていくと思います。

──そうした事業環境のなか、これまでの西友をどのように評価していますか。

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