2020年9月末に関西1号店をオープンするなど、破竹の勢いで出店を続けるロピア(神奈川県/高木勇輔代表)。総店舗数が50店舗を超えたこともあってか、直近の新店からはチェーンストアとして効率化をめざすような取り組みが随所で見られる。前編に続いて、関東の最新店「ロピア田無店」(東京都西東京市:以下、田無店)の売場をみていこう。
(調査日:9月20、25日、本文中の価格はすべて本体価格)
狭いスペースに売れ筋を詰め込む!
前回お届けした田無店のレポート前編では、青果・精肉・鮮魚売場を解説した。後編では、総菜・加工食品・日配などの売場をみていこう。
総菜売場は、壁面6尺の多段什器で、中原産業が製造する「上海厨房」コーナーを展開する。既存店でもおなじみの同コーナーでは、「チリソースチャーハン弁当」「中華彩り弁当」(各498円)、「青椒肉絲弁当」(398円)、「上海焼そば」「野菜焼ビーフン」(各298円)など、弁当や麺類、おかずなど中華総菜を幅広く品揃えする。
隣に配した6尺の多段什器では「助六セット」(500円)、「納豆巻」(198円)、「お母さんのポテトサラダ(大)」(398円)、「具だくさんのシーザーサラダ」(698円)、「北海道牛乳のぷるぷるミルクゼリー」(280円)、「飲むコーヒーゼリー」(200円)など関連会社である利恵産業(神奈川県)の商品を並べている。
6尺×20尺の平台では、「マルゲリータ」(600円)、「照焼チキンピザ」(680円)などオリジナル商品である特製ピザ6種を主通路側のエンドでアピールしている。試食販売を行っていたこともあって、多くのお客が購入しており、従業員は常に商品を補充していた。ピザの近くでは「ひれかつサンド」(200円)、「ナン3枚」(399円)なども販売。立体棚では、「自店製造バターロール5個」(250円)、「シナモンチコロス」(100円)、「塩バターパン3個」(250円)などベーカリーも充実させている。
立体棚には、「梅干」「明太子」(各78円)などおにぎり9種を揃えるほか、「メンチカツ2個」(198円)、「チキンカツ」(298円)など人気の揚げ物も並べている。弁当では、「豚ロースカツ丼」(398円)、「うなぎ姿寿司8切」(698円)のほか、「ファミリーサイズガーリックライスチキン」(998円)、「MEGAハンバーグ炒飯」(888円)など既存店で人気の「メガサイズ商品」も揃える。既存店と比べると売場のスペースは狭いものの、売場には売れ筋商品が詰めこまれおり、お客は選択に迷うことだろう。
冷凍食品では業務用商品を重視か
洋日配は主通路沿い、店舗入口からみて正面の壁面24尺がチーズなど乳製品コーナーを展開する。左サイドの壁面48尺は乳飲料・果汁飲料コーナーとなっており、スイーツコーナーに続く。スイーツコーナーでは「伝説のチーズケーキニューヨーク」(399円)、「バスク風チーズケーキ」(280円)、「なめらかプリン・クラッシック」(99円)など利恵産業が製造する商品を中心に15品目を揃える。同コーナーも、ロピア独自の売場として定番化している。
和日配も同様に主通路沿いに売場を入口から展開しており、入口から見て右側壁面30尺を、納豆・練物・豆腐などのコーナーとし、その対面48尺で豆・佃煮・水物・麺」・漬物などを販売する。全体に品揃えは絞られており、売れ筋商品をケース1段目に配置するオーソドックスな売場だ。調査日は、売れ筋の「タカノフーズ・極小粒3P」を1パック50円の超目玉価格で提供していた。
田無店では、冷凍食品・アイスクリームコーナーを重点売場と位置づけているようで、「半額セール」「6割セール」と記された大きなPOPを天井から吊るすなど、安さを強く訴求している。
既存店舗から変化が見られたのが冷凍食品だ。田無店では、入口から見て手前側の冷凍ケース両面28尺でアイスクリーム(個食タイプ)と家庭用冷凍食品を販売する。中華総菜・唐揚げなど17SKU、弁当類23SKU、米飯・お好み焼きなどで13SKU、中華麺、パスタなど20SKUの合計73SKUと、品揃えは売れ筋に絞り込んでいるようだ。
入口から見て奥側に配置した冷凍ケース両面24尺は、業務用冷凍食品コーナーとしており64SKUで餃子・コロッケ・メンチカツ・焼鳥・たいやきなど64SKUを販売する。家庭用商品を売れ筋に絞り、業務用商品が充実させるこの対応はほかの店舗ではあまりみられない試みであり、利益確保と作業効率を考えたうえでの判断だと思われる。
ロピアの強さを支える「商品開発スピード」
加工食品・菓子・酒類売場は、「売れ筋商品」、「こだわり商品」、「オリジナル商品」をそれぞれカテゴリー別にメリハリを付けながら配置している。加工食品は品揃えを絞り込んでいるようだ。たとえば「即席麺」の扱いは3尺5段1本の売場に、「日清食品・日清ラ王」、「東洋水産・マルちゃん正麺」など14SKUのみ。「カップ麺」も同様に3尺6段3本に42SKUの扱いしかない。
調味料では、関連会社である丸越醸造が製造した商品を強く訴求している。丸越醸造の大正5年(1916年)創業の老舗メーカーで、「酢」「ポン酢」「味噌」「醤油」「ソース」「ケチャップ」「たれ」「つゆ」「ドレッシング」など商品カテゴリーは多岐にわたる。既存店舗でも、何らかの試食販売を行っており、商品拡販に力を入れているのが窺える。
乾物では「武井商店」の屋号で、ロピアオリジナルの商品を販売する。乾物は利益率が高く、地域性を打ち出すこともでき、可能性のある商品である。田無店の粉物関連売場では、「そのままでも旨いたこやき粉500g」(199円)、「お好み焼粉500g」(199円)を販売している。コロナ禍によって販売が大きく伸びた粉物を、即座にオリジナル商品として発売できる商品開発力は、ほかのチェーンが一朝一夕で真似できるものではない。国内外にメーカー・商社機能を持つロピアの強みと言える。
酒売場ではワインに力を入れている。ゴンドラ上段は「1300円以上」、中段は「900~1300円」、下段は「900円以下」と価格帯別に商品を陳列。3尺4段2本のスペースでは、「WINE×MEAT」と記したパネルを掲げ、関連会社の輸入商社ユーラスが直輸入したワイン19SKU揃える。
ロピアの「コロナ対応」とは
筆者は今期(2020年2月期)にオープンしたロピアの新店4店舗を訪ねてきた。その中で気がついたのが、商品構成が変化しつつあるという点だ。青果、精肉、鮮魚売場の基本スタイルは変わらないものの、総菜に変化が見られている。
約10年前にロピアの店舗を初めて拝見した時は、「298円弁当」や大ぶりの肉団子、揚げ物類に圧倒されたが、今日ではそれらの商品よりも、箱入りのホールピザや巨大なナン、デザート、ベーカリーの存在感が大きくなっているように見える。ロピアの総菜は店内加工を基本としているものの、最近は利恵産業が製造するアウトパック総菜も増えている。中原産業が運営する中華総菜コーナーを導入する店舗も多い。
冷凍食品も5割~6割引の家庭用商品の扱いが減り、業務用商品の扱いが増えた。加工食品は品揃えを売れ筋に絞り込み、こだわり商品やオリジナル商品が増えた。
ロピアのこれらの変化は、何を意味しているのか。筆者はコロナショックが影響を与えているのではないかと考える。外食する機会が減り、仕事帰りに総菜を買うよりも食材を買って自宅で調理する機会が増えた。所得が減ったことにより、お客の購買行動が変化している可能性も考えられる。
こうした背景を踏まえ、ロピアでは、総菜や冷凍食品の売場を変化させ、コロナ対応としているのかもしれない。また、これらの取り組みには、チェーンとして利益志向を強めてきたいという意識も垣間見える。総店舗数50店舗を突破し、関西進出も果たしたロピアが、さらなる成長に向けアクセルを踏み込んだ様子が窺える。
所在地 東京都西東京市西原町4-2-8
開店日 2020年9月18日
売場面積 約470坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 385台