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「バイヤー必見!今行くべき専門店」第6回 今消費者に選ばれるスイーツとは?

コンビニエンスストアや食品スーパーをはじめとした量販店において、スイーツの売上が伸長しています。スイーツは嗜好性が高いとともに、他のカテゴリーの商品よりも差別化が図りやすく、来店動機を生み出せる商品とも言えます。そこで今回は食品スーパーのスイーツ開発のヒントにつながりそうなメニューを提供する飲食店を紹介します。

低価格でおいしいスイーツが身近な時代

 昨今のスイーツに関する話題はタピオカに一点集中だったことは記憶に新しいでしょう。こちらはブームが沈静化し、定着フェーズに入ったといえます。

 スイーツはかつて、ケーキ店や和菓子店など専門店で購入するものでした。しかし現在ではコンビニエンスストア各社が開発に力を入れ、身近な場所で、24時間365日、専門店も顔負けのスイーツが手に入る時代になっています。

 このようなか、幾多あるスイーツのなかから「これが食べたい!」と選んでもらえる商品とはどのようなものか。スイーツ開発の参考になる、話題の専門店を紹介します。

①「学び」「ストーリー性」が消費を生む
「ca ca o鎌倉小町本店」(神奈川県鎌倉市)

神奈川県鎌倉市にある「ca ca o 鎌倉小町本店」。そのほか鎌倉市内に3店、東京都新宿区に1店展開している

 スイーツのなかでも人気の高いチョコレートは、どこでも手に入る身近なもののゆえ、差別化の難しい商品です。

 そうしたなか、原料であるカカオ豆の仕入れから製造まで自社で一貫して行う「BEAN TO BAR」と呼ばれるチョコレートが話題になっています。この店はそのなかでも人気を集めている専門店の1つです。

 支持される理由は、商品に生産者や製造者の想いが乗った「ストーリー性」があるからでしょう。豆の選定や、製造段階でのこだわりを開示することでチョコレートについての「学び」も提供しています。それらを知ってから、口にすることで味わいが増し、さらに、別の商品も試してみたくなるのです。

 同店の運営企業はコロンビアに自社農場まで所有し、さらにカカオの楽しみ方はチョコレートだけではないと、カカオを使った食事や、コスメなど、新たなプロダクトを生み続けています。

 今後は原料の品種や産地、製造方法などにこだわるワインのように、チョコレート深く追求する消費者が増えてくるのではないでしょうか。

「生ガトーショコラ」(税込2700円)は、19年に行われた天皇陛下の即位の礼で各国元首への手土産にも選ばれた商品

所在地   神奈川県鎌倉市小町2-9-7
営業時間   10:00~18:00

 

② 賞味期限はたった20分!
「店でしか味わえない」が来店動機に
「SONNA BANANA」(東京都中央区)

東京・八丁堀で営業する「SONNA BANANA」

 昨今、専門店が続々と登場しているドリンクの1つがバナナジュースです。タピオカに続くブームになる“ネクストタピオカ”とも言われています。

 こちらの専門店では、徹底的な温度管理により、甘み、うま味を最大限に引き出したバナナを素材に使い、そのほかの原材料はごく少量の牛乳のみ。まるで生クリームを飲んでいるかのような、スイーツ好きにはたまらない1杯です。あくまで果物のバナナが主な原材料のため、ダイエット中でも楽しめます。

 ある程度の肺活量がなければ吸い込めないほど(!)ぽってり濃厚なこのバナナジュースがさらに特徴的なのが、賞味期限がたったの20分という点です。まさに「瞬間グルメ」と言えます。店に行かなければ楽しめない1杯であることが同店が選ばれる大きな要因ではないでしょうか。

原材料はバナナとごく少量の牛乳のみ。素材にこだわったバナナの甘み、うま味が楽しめる

所在地   東京都中央区八丁堀2-15-5
営業時間  朝8:00~9:15、昼11:30~19:00
(土日祝は11:00~19:00)

 

③新たな食シーンを創出!
夜パフェ専門店「パフェテリアベル」
(東京都渋谷区)

〆のメニューとして甘いパフェを食べる「夜パフェ」の専門店として、東京・渋谷で営業する「パフェテリアベル」

 食事の最後を締めくくる「〆グルメ」。ご当地ならではのメニューが注目されていますが、北海道・札幌ではそれが「パフェ」であることをご存じですか。

 市内の専門店の場所を地図に記した「〆パフェMAP」なるものも登場し、店数も増えています。同店は、〆パフェのブームをけん引したといっても過言ではないお店で、ここで挙げているのは東京で出店した店舗です。

 長い歴史を持つパフェがあらためてブレイクした要因はシーンの設定にあります。夜お酒を飲んだ後に、〆のメニューとして、あえて甘いスイーツのパフェを食べる。この意外とも言えるシーンが消費者の心を掴んだのではないでしょうか。

 “SNS映え”するかわいい見た目も人気の理由の1つ。この新たな食シーンは、食後にBARでカクテルを飲む感覚に近く、お酒をさほど飲まない消費者の「2軒目マーケット」を獲得したともいえます。

“SNS映え”するかわいい見た目も人気の理由の1つ

所在地   東京都渋谷区道玄坂1丁目7-10
      新大宗ソシアルビル3F
営業時間  平日17:00〜24:00(金・祝前日は25:00まで)
      土日15:00~24:00(土曜日は25時まで)

 

「ホットペッパーグルメ外食総研」上席研究員
有木 真理(ありき・まり)

リクルートライフスタイル沖縄の代表を務めると共に、ホットペッパーグルメ外食総研の上席研究員として、食のトレンドや食文化の発信により、外食文化の醸成や更なる外食機会の創出を目指す。自身の年間外食回数300日以上。ジャンルは立ち飲み~高級店まで多岐にわたる。趣味はトライアスロン。胃腸の強さがうりで1日5食くらいは平気で食べることができる。「ホットペッパーグルメ外食総研」https://www.hotpepper.jp/ggs/