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あのドン・キホーテも諦めた! コーナンはなぜ、ドイトを買収したのか?

11月29日、コーナン商事(大阪府/疋田直太郎社長)は、「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/吉田直樹社長:以下、PPIH)傘下のホームセンター(HC)ドイト(埼玉県/渡辺英樹社長)のHC事業とリフォーム事業を承継すると発表した。どのようなねらいがあるのか。

コーナン商事はドイトのHC事業、リフォーム事業をPPIHから承継する

ドンキからコーナンへ
取得価格は68億円

 近年、M&A(合併・買収)攻勢を強めているコーナン商事がまた動いた。首都圏を中心に16店舗の小型HCを運営しているドイトのHC事業とリフォーム事業をPPIHから取得することを発表した。取得価格は682000万円で、20202月にコーナン商事に承継される。

 ドイトは197212月に埼玉県与野市(現:さいたま市)に日本で初のHCを開業した。専門性を重視した店舗戦略で競合企業との差別化を図ってきたが、競合激化のあおりを受け、業績は低迷。20071月にドン・キホーテの傘下で再建する道を選んだ。

 ドンキ流の再建プロジェクトを経て、再スタートを切ったドイト。業績はどう変わったか。

 ドンキ傘下に入る前の063月期の業績は、売上高が329億円、営業利益が21200万円、経常利益は19700億円の赤字、当期純利益は151400万円の赤字だった。

 それに対して、10年後の176月期業績は売上高が167億円、営業利益が41800万円、経常利益が48000万円、当期純利益が28500万円。店舗数が減少しているため、売上高は半減したが、収益性は大幅改善している。純資産も06年に20億円だったのに対し、17年には194億円と、約10倍に増やしている。

 ただ、直近2年間は減益に歯止めをかけることができなかった。PPIHはグループ内の経営資源の選択と集中を行う過程で、ドイトを手放すことに決めた。今春あたりからコーナン商事と本格的に交渉を始め、最終的には入札で決まった。

  06年3月期 17年6月期 18年6月期 19年6月期
売上高 32,975 16,708 16,820 15,872
営業利益 212 418 173 122
経常利益 ▲ 197 480 238 194
当期純利益 ▲ 1,514 285 3 1
純資産 2,001 19,433 19,342 19,341

売上高5000億円へ
M&Aを加速

 HC業界では、DCMホールディングス(東京都/久田宗弘社長)とケーヨー(千葉県/醍醐茂夫社長)の資本業務提携や、バローホールディングス(岐阜県/田代正美社長)とアレンザホールディングス(福島県/浅倉俊一社長)の経営統合など、業界再編が活発化している。

 ここ2~4年、コーナン商事も主要プレーヤーとして業界の勢力図を塗り替えてきた。

 最近では、175月に神奈川県を中心に10店舗のHCとプロ専門店を構えているビーバートザン(榊枝守社長)を完全子会社化。18年4月には、九州を地盤とするホームインプルーブメントひろせ(大分県/中澤孝志社長)と資本業務提携を締結。さらに、19年6月にはLIXIL系の建材卸の建デポ(東京都/竹内栄吾社長)を240億円で買収した。

 直近3年間で、コーナン商事が首都圏に展開するHCを買収するのはこれで3件目となる。このことからもわかるように、同社は首都圏の店舗網拡大を重点施策のうちの1つに掲げている。コーナン商事は11月末現在、首都圏に41店舗を構えている。これに買収した3社の店舗網を加えると、100店舗を超えることになる。

 同社は「長期ビジョン~New Stage 2025」を今年5月に発表し、2025年に「売上高5000億円超」という数値目標を掲げた。192月期の売上高は3195億円。あと5年で2000億円近くの売上を積み上げるには、新規出店だけでは追いつかない。今後もM&Aに積極的に乗り出してくるだろう。

年月 企業 形態 店舗数 展開エリア
2017年5月 ビーバートザン 小田急電鉄から買収
完全子会社化
10 神奈川県中心
2018年4月 ホームインプルーブメントひろせ 持分法適用会社化
10%の株式を取得
32 九州北部中心
2019年6月 建デポ LIXIL、投資ファンドより240億円で買収 66 北海道から九州
うち、関東圏約40店舗
2020年2月 ドイト PPIHから68億円で買収 16 首都圏