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客単価アップにつながる接客術をマスターしよう!

こんにちは、成田直人です。本連載では具体的なスタッフトレーニングのやり方について、5つのSTEPを紹介した上で、STEP1担当商品知識向上勉強会、STEP2店内全商品の把握、STEP3他部門の知識向上、STEP4関連商品を結びつける方法について解説してきました。今回はいよいよSTEP5として客単価アップにつながる接客術をお教えします。

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高い成約率を獲得できる“見立て販売”

 さあ、いよいよSTEP5客単価アップにつながる接客術について紹介しましょう。

 STEP4では、お客様に関連商品を提案する癖付けが目的でした。ただしこれは、短絡的なおすすめになりがちの面もありますので、バリエーションが欲しいところ。そこで、もうワンランク上でかつ高い成約率を作り出す手法をここでは紹介します。それが「見立てて売る」です。

 前回紹介した家具店では、ソファを買いに来たら家全体の情報を聞き取り家全体のプロデュースをするように指導をしています。せっかく新しいソファを買うのですから、お部屋に置いたときに明らかに1つだけ新品感が出てしまうと、「あれもこれも変えれば良かったかな……」と思うのも、消費者としては嫌なものですよね。

 だから、接客の段階で「今後もお客様の理想的なライフスタイルをサポートしたいので、ご自宅の現況を教えて頂けますか?」と質問をしてみましょう。そこでOKをだしてくれたお客様に対して、現状を聞き取りながら理想的な部屋作りを描いていきます。それにより、ソファ+ダイニングテーブル+照明+センターテーブルとアドオン(追加販売)形式になるのではなく、全部の商品で一つの商品という見立てをすることができます。そうすることでお客さまは全体で一つの商品にお金を払っているので、アドオン形式よりも格段に購買のハードルが下がります。

 具体的には、質問をすることで見立てる力を養っていきます。私は業種関係なくクライアントには「現状把握」の質問と「潜在ニーズの掘り起こし」の質問を駆使していきましょう、という話をしています。

 例えば先に挙げたソファであれば「お客様は今どんなソファを使っていますか?」「買い換えの理由は何ですか?」「小さなお子様はいますか?」など現状を確認します。そして、お子様がいれば「座面が高いと怖くないですか?万が一落ちてしまうリスクもありますよね。」と販売員がお客様に提案をすれば「たしかに……」と同意することでしょう。

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質問力を高めることが、まず重要

スタッフ同士で ロールプレイングする

 このリアクションこそが潜在ニーズが掘り起こされた瞬間です。これはお客様では気づかない、プロ販売員だからこそ気づけることです。ここに付加価値があるのです。

 現状をしっかりと把握することで「もしかしたらこんなリスクがあるな」「○○の商品もあると劇的に日常生活が楽になるな」とどんどんアイデアが生まれてきます。お客様の現状を理解することで、まるで自分の買い物であるかのような気分(=自分事として考える)になれたら素晴らしいですね!

 これこそ真の顧客視点からの接客。間違いなくお客様はあなたのファンになることでしょう。ぜひあなたがお客様役になり、スタッフからの接客を受けてみてください。そして、「現状把握」「潜在ニーズの掘り起こし」に分けて質問を考えさせてください。それを繰り返すうちに、スタッフの質問力が鍛えられて見立てる力も自動的に養われていきます。

 これまでは商品を飾って、お客様のタイミングでお客様が欲しいモノを買えば店の運営は成り立っていました。しかし、今の時代はネットや近隣の激安店の煽りもあって思うように売上が伸びなくなりました。さらに地方であれば過疎化し人口も減ることで売上減が深刻な店が多々あります。従業員も減らす一方で現場の人手不足は深刻化し悪循環の店が増えています。こんな店に私はあえて言いたいことがあります。それはSTEP15をマスターするべく人材教育をすることで、お客様になくてはならないスタッフに成長することができる、ということです。

 今までは安売りで大型店舗ということだけで珍しがられ、あなたの店はお客様から無条件に受け入れられてきました。しかし、今では飽きられつつあるのです。もう過去のやり方で稼ぐことはできない時代です。今一度自店舗のあり方を振り返って、これから先の20年間稼ぎ続けるためにも、新しい売り方、すなわち接客による付加価値創造型運営に切り替えていきましょう。

 オペレーションの効率化だけで売る、というスタンスを今一度見直して、お客様にどうしたら選ばれ続けるのか?を考えてみてはいかがでしょうか。

 次回は、「あなたは成約率・客単価・顧客満足度のうちどこに力を入れて売上を最大化しますか?」についてお話をします。あなたなら三つのうちどこに力を入れるか考えて次号を待っていてください。

 

 

なりた・なおと
19歳でABCマートアルバイト個人売上日本一を獲得。マネージャーになり昨年度対比1位、2位の原動力となる。その後、PC専門店PCデポに入社し、7ヶ月で個人売上1億円を達成。翌年、「良い」よりも「成果が出る」をモットーに小売・サービス・飲食業専門コンサルティング会社「株式会社FamilySmile」を創業。現在は、一部上場企業を中心にコンサルティング・研修・講演を手がけ多くの店舗で昨年度対比120%を達成。中には、3年で売上2倍になる店も続出するほどコンサルティングには定評がある。その功績が認められ日本三大褒章の一つ中小企業のノーベル賞と言われる「東久邇宮文化褒章」を受賞。セミナー講師ナンバーワン決定戦「S-1グランプリ」初代グランプリを獲得。