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コンビニで衣料品は売れない……定説覆したファミマ「コンビニエンスウェア」ヒットの理由

「ファミチキ」をはじめこれまで数々のヒット商品を送り出してきたファミリーマート(東京都/細見研介社長)において、新たな看板商品が育ちつつある。オリジナルアパレルブランド「Convenience Wear(コンビニエンスウェア)」だ。コンビニエンスストア(CVS)にとって鬼門とされていた衣料品において、異例のヒットとなった同シリーズはどのようにして生まれたのか。担当役員に聞いた。

「緊急需要」から「目的買い」へ

 ファミリーマートのオリジナルアパレルブランド「コンビニエンスウェア」の販売が好調だ。人気のソックスは発売開始から1年半ほどで累計販売数850万足を突破。2021年3月に全国展開を開始したコンビニエンスウェアのラインアップは今や、下着や靴下、Tシャツといった実用衣料を中心に90SKUほどに増えている。

コンビニエンスウェアの看板商品でもあるソックスは累計販売数850万足を突破。専用の什器で商品を陳列しており、売場でもひと際目を引く
ファミリーマート執行役員 商品本部長補佐(兼)日用品・雑誌部長の小竹伸氏

 コンビニエンスウェア好調の要因について、ファミリーマートの日用品部門を統括する執行役員商品本部長補佐(兼)日用品・雑誌部長の小竹伸氏は「毎日1500万人のお客さまに来店していただき、コーヒーやおむすびを買うついでに衣料品を買っていただける立地にあることが大きい」と分析する。

 もちろん要因はそれだけではない。CVSの衣料品を「緊急需要」から「目的買い」に転換することに取り組んだからにほかならない。これまでCVSの衣料品といえば、無難な色やデザインで、急に必要になった場合に購入される存在だった。そこに、ファミリーマートは改革の目を向けた。

 「従来のCVSの日用品は年間を通じてほとんど変化がなく、季節も感じられない売場だった。ここに季節感や楽しさ、ワクワク感を加えることができれば、お客さまにとってより魅力的な売場になるはずであり、大きなビジネスチャンスがあると考えた」と小竹執行役員は振り返る。ファミリーマートの平均日販に占める日用品の割合は、20年前と比べて半減している。見方を変えると、ここを活性化すれば日販をさらに伸ばすことができる、というわけだ。

 こうして、従来の「コンビニの衣料品」を目的買いされる衣料品へと変身させる取り組みが始まった。気に入って繰り返し着用されるブランドにしたいとの想いから、コンビニエンスウェアでは「いい素材、いい技術、いいデザイン。」をコンセプトとし、着心地やデザイン性、さらには環境への配慮にこだわった。デザインには、世界的に活躍するファッションデザイナーの落合宏理氏を起用。落合氏と最初に共同開発したのが、旭化成の機能素材「ペアクール®Paircool®」を利用したTシャツ類、今治タオル認定のタオルハンカチ類、そして数々の縫製技術を用いて丈夫さやはき心地のよさを実現したソックス類だ。

 中でも緑と青の“ファミリーマートカラー”をあしらった「ラインソックス」はSNSで話題を呼び、発売から9カ月で累計100万足を売り上げる大ヒット商品となっている。このラインソックスのヒットをきっかけにコンビニエンスウェアの認知が広がり、ほかのアイテムの売れ行きも伸びていったという。

限られたスペースで商品回転率を上げるには

 ただし、CVSがこのようにデザイン性や季節性のある衣料品を開発することは、在庫リスクにつながりかねない。それを回避する方法の1つが、

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