オーケー(神奈川県)は10月6日、2024年前半をめどに大阪府東大阪市に出店すると発表した。関西進出をめぐっては、百貨店大手のエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府)と関西スーパーマーケット(兵庫県)の争奪戦を繰り広げたオーケー(関連記事)。悲願の関西1号店はどのような店になるのだろうか。
飛び交うM&Aの噂
オーケーとエイチ・ツー・オーによる関西スーパー争奪戦が決着したのが2021年末のこと。22年に入ると、食品小売の関係者から「オーケーが関西のローカルチェーンに接触している」という噂が聞こえてくるようになった。
22年8月にはオーケーが大阪のローカルチェーンの買収を予定しているとの報道が流れたものの、ローカルチェーン側が「オーケーとは一切関わりはない」として否定するリリースを発表。そのほかにも、オーケーの買収候補として複数のチェーンの名前が挙がっており、「何が本当なのかわからない」(ある食品スーパーの幹部)という状況だったのがこの夏のことだ。
オーケーの関西進出は自力出店ではなくM&Aか──。そうした観測が広がる中で出されたのが今回のリリースである。
オーケーが今回取得したのは、大阪府東大阪市高井田にある3626.35㎡の土地。東大阪市が保有する土地をオーケーが入札で落札したかたちだ。
場所は阪神高速道路の高井田出入口の近く、オーケー広報事務局によれば、元々は市営住宅があった土地で現在は更地になっているという。東大阪市の公示によれば、落札金額は27億4242万円となっている。
出店予定地の周辺は「ライフ高井田店」を筆頭に、「万代森河内店」「スーパーマルハチ高井田店」などが徒歩圏内にある食品スーパーの激戦区。また、東大阪市は万代(大阪府)が本部を置く、同社のお膝元であり、オーケー進出による競争激化は必至だ。
取得した土地は契約を経て11月中旬にオーケーに引き渡されるとのことで、店舗の開業は24年前半になるとしている。
オーケーではこの店舗を「関西エリアにおける旗艦店」と位置付け、関西マーケット侵攻の足がかりとする構えを見せている。この店舗が関西1号店になるかは未定とのことだが、M&Aなどがない限りはこの店舗が事実上の関西1号店と言ってよさそうだ。
関西旗艦店はどのような店になるか
では、この関西旗艦店はどのような店になるのだろうか。建物構造や平面駐車場を設置するかどうかは今後検討していくとのことだが、旗艦店であること、そして約3600㎡という土地面積を踏まえると、オーケーにとっては大型店になるとみていいだろう。
オーケー広報事務局によれば、首都圏の店舗の土地面積は1500~2500㎡ほどだそうで、小さいものでは1300㎡の土地に出店した例もあるという。
取得した物件と近い土地面積の店舗では、2019年6月出店の「調布店」(東京都調布市)が約3600㎡でほぼ同じとなる。調布店の売場面積が約450坪、90台の立体駐車場があることを考慮すると、おぼろげながら店舗規模が見えてくるだろうか。
いずれにせよ、今回の発表によってオーケーの関西進出は確実なものとなった。関西の食品小売マーケットをめぐっては、生鮮ディスカウントスーパーを展開するロピアが20年9月に関西進出を果たし、約2年間で店舗数を12まで増やしている(大阪、兵庫、京都、奈良)。
売場づくりの方向性は大きく異なるものの、同じ神奈川を地盤とし、かつ「安さ」を強みとするロピアがすでに成功していることを考えると、オーケーとしては早期に関西で店舗網を築きたいところだろう。今回発表されたリリースにも、「今後も関西エリアでの積極出店を計画しています」として店舗開発部の連絡先を載せているなど、関西出店への本気度を窺わせる。SNSの反応を見ても、オーケーの関西進出を歓迎する声が多そうだ。
満を持して関西に乗り込むオーケーを関西地盤の小売各社はどう迎え撃つのか。数年は関西小売マーケットから目が離せない状況が続きそうだ。