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第292回 ジャスコ(現イオン)がいなげや株の取得に“渋々”だった理由とは

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評伝 渥美 俊一(ペガサスクラブ主宰日本リテイリングセンター チーフ・コンサルタント)

忠実屋 高木吉友の死

 前号で、ことのあらましを詳述した不動産会社の秀和による忠実屋、いなげや、さらに長崎屋の株式買い占めによって勃発(ぼっぱつ)した首都圏のスーパーマーケット、日本型スーパーストアの再編騒動を、大店法(大規模小売店舗法)という、本来は流通・小売業界をリードし、各社間の公平な競争を促すことを期待されていたはずの法律が実のところ、手枷足枷(てかせあしかせ)となって自由な企業活動を阻害する要因になっていた側面から概観した。率直にいって、書いていて、30年以上も経たいまだからわかることをもっともらしく訳知りに綴(つづ)っているだけではないかとの居所の悪さがつきまとった。

 さはさりながら、秀和の小林茂、また彼とは太平洋戦争の戦友である縁から首都圏の流通業界再編をともに目論む格好となった関西出身でライフコーポレーションを一代で育てあげた清水信次の当時の心境に迫ろうとすることには、やはり特筆すべき動機を持てない。

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