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なぜ“皿洗い”から始めるのか?

 まだまだBLOGは夏休み中ですが、本日も1本アップいたします。

 

「“皿洗い”から始める」という言葉がある。

 自動食器洗い機が普及した今の世の中にあっても、“皿洗い”とは料理人にとって実に大事な修行だと思う。

 

 食事から発生する洗い物とは千差万別だ。

 

 例えば、食器類でいえば、水をいれたグラスはほとんど汚れていないし、赤ワインを注いだワイングラス、漆塗りのお椀があるかもしれないし、サラダを盛り付けただけの皿とハンバーグのデミグラスソースがこびりついた皿もある。さらには、フライパンや鍋などの調理器具…、箸、シルバー類もある。

 

 そして、この時に洗う順番を間違えると大変なことになる。

 フライパンとワイングラスを一緒に洗えば、ワイングラスが割れてしまう可能性が高くなるし、グラスと油のついた皿を同じにすれば、そんなに汚れていないグラスに油が付着し、洗い物は二度手間になってしまうからだ。

 

 料理人のタマゴたちは、そんな試行錯誤を繰り返すことで、①グラス、②木製食器、③油が付着していないもの、④油もの、といった感じで洗い物をこなすプランを経験的に身についていく。

 そして、このプランを進めるために、事前に洗い物を整理し、並べる必要があることに気づく。

 たかが、“皿洗い”というなかれ、頭を使えば、効率的に綺麗になる方法を編み出せるわけだ。

 

 その一連の流れを段取りという。

「料理は段取りで決まる」という言葉もあり、熱いものを熱いうちに、冷たいものを冷たいうちに、出さねばならない料理人にとって段取りとは《いろはのい》だ。

 つまり、“皿洗い”から始めるというのは、実に実践的な修行方法であると言える。

 段取りの大事さは、料理に限ったことではないのだが、どうも我々のようなビジネスにおいてはなおざりにされがちなようなところがあり、私も仕事の中でどう伝えたらいいものなのか常に思案させられている。