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究極の食事

 ゴールデンウイーク中にAMラジオを聞いていたら、「究極の食事」という企画を流していた。「死ぬ前の最後の一食として何を食べたいか」を問い、聴取者から意見を集めて紹介するというものだ。

 

 回答は、高級ステーキや懐石料理、フレンチのフルコースといった“非日常派”から、いつも自宅で食べている普通の食事という方まで、実にいろいろだった。

 

 聞きながら、自分なら、最後の一食として何がいいのかを考えてみた。

 

 自殺をするのでもなければ、死の直前にご飯など食べていられるのかという根本的な問題もないわけではないが、それはさておき。頭を巡らせるなかで、私にとっての「究極の食事」にたどり着いた。

 

 それは、温泉宿の朝食だ。

 舟盛りやすき焼きやアワビの踊り焼きなどが出てくる豪華な夕食ではなく、翌日の朝に供される食事だ。

 早朝6時くらいに起きて、ひとっ風呂を浴び、前日の宴会のアルコールを抜いた後、8時くらいから食事を始める。

 

 炊きたての山盛りご飯に、刻みネギの乗った味噌汁は外せない。

 焼き魚は、サケの切り身かアジの開きがいい。生卵に納豆、のり、ちょっとの香物…。バイキング形式ならば、パックの納豆を2つ以上は食べておきたいところだ。

 

 普段なら、朝食は抜くかバナナくらいしか食べない私も、温泉宿の朝食となると、必要以上の食欲が沸いてくる。

 きっと、これならば、たとえ重病に罹患していたとしてもしっかり1人前を平らげることができるに違いない。

 

 いろいろなものを食べ、舌鼓を打ちつつも、結局は普通の食事に帰そうとする自分は保守的なのだなあ、とつくづく思った。