暑い時期に消費が鈍るパンの販売を盛り上げようと、専門店やメーカーがデザートのように食べられる「冷やしパン」に力を入れている。円安進行で小麦など原材料の価格や光熱費が高騰して経営を圧迫しており、存続には売り上げの維持・増進が欠かせない。各社は新しい食べ方を提案し、消費者にアピールしている。
冷凍パンの月額宅配サービスを手掛けるパンフォーユー(群馬県桐生市)は、北海道などにある七つのパン店と、自然解凍で冷たいまま食べるパンを開発。あっさりとした豆乳クリーム入り揚げパンや、オレンジが香る蒸しパンなど8種類を6月中旬までに新規で定期登録した人に届ける。
東京商工リサーチによると、2023年度のパン店の倒産件数は前年度の約2倍となる37件。パンフォーユーの提携先も、夏場の販売不振や原材料高で閉店に追い込まれた。矢野健太代表取締役は「近年は猛暑で外出が減り、初夏から客足に影響が出ている」と指摘。宅配サービスで自宅に居ながら冷やしパンを楽しんでもらう狙いだ。
パン店「ねこねこ」などを展開するオールハーツ・カンパニー(名古屋市)は、暑くても食欲をそそる爽やかなヨーグルト風味の猫型食パンを公式オンラインストアを通じ数量限定で発売。冷凍のままで食べられ、「歯応えのある食感で、ひんやり感が病みつきになる」(広報担当)という。
「くりーむパン」で知られる八天堂(広島県三原市)は昨年から、アイスクリームのように凍ったまま食べられるパンを販売。今年4月下旬にはメロン味をファミリーマートで発売した。