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セブン、ヨーカ堂の上場検討=成長へ「有力な選択肢」―27年以降、株式過半売却も

記者会見するセブン&アイ・ホールディングス(HD)の井阪隆一社長
〔写真説明〕記者会見するセブン&アイ・ホールディングス(HD)の井阪隆一社長=10日午後、東京都中央区(時事通信社)

  セブン&アイ・ホールディングスは10日、経営不振が続くイトーヨーカ堂を含むスーパー事業について、株式の上場を「持続的成長のための有力な選択肢」として検討を始めると発表した。2026年2月期の黒字化に向けて構造改革を実行した上で、27年以降の上場実現を目指す。上場した場合でも株式の一部は保持し、食品開発などで協力関係を維持する。

 セブン&アイの井阪隆一社長は10日の決算記者会見で「現実的に最速のタイミングでの上場に向けて検討を開始する」と述べた。中間持ち株会社を設立してスーパー事業各社を移した上で上場させる見通しだ。井阪氏は「グループからの離脱は考えていない」とする一方、「連結にはこだわらない」とも述べ、過半数の株式を売却する可能性も示した。 

 ヨーカ堂はグループの祖業だが、10日発表した24年2月期連結決算でも純損失が259億円に上り、4期連続の赤字となった。衣料品事業からの撤退に加え、今年2月に北海道、東北、信越地方の店舗閉鎖や事業承継を発表するなど、収益改善に向けた改革に取り組んできた。

 セブン&アイは昨年、百貨店事業のそごう・西武を米投資ファンドに売却した。スーパー事業を上場すれば、主力のコンビニ事業に注力できる体制が整う。

 一方、セブン&アイの24年2月期は、売上高に当たる営業収益が前期比2.9%減の11兆4717億円、営業利益が5.5%増の5342億円。好調な国内コンビニ事業がけん引し、営業利益は過去最高を更新した。純利益は、そごう・西武売却に伴う損失計上などで20.1%減の2246億円だった。

 このほか、創業家出身の伊藤順朗専務が5月28日付で副社長に昇格する人事も発表した。