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楽天ファッションが「スタッフスタート」と連携! コーデ投稿機能が実装へ

楽天グループ(東京都/三木谷浩史会長兼社長)はファッション通販サイト「楽天ファッション(Rakuten Fashion)」において、バニッシュ・スタンダード(東京都/小野里寧晃社長)が提供する販売員向けオンライン接客支援アプリ「スタッフスタート(STAFF START)」のコーディネート投稿機能の連携を始めた。

楽天グループの松村亮 上級執行役員コマースカンパニー ヴァイスプレジデント(左)とバニッシュ・スタンダードの小野里寧晃社長

自社ECサイトと楽天ファッションに同時投稿

 今回の連携によって、楽天ファッションに参加していてスタッフスタートを利用しているブランドショップの販売員は、これまで自社ECサイトに投稿していたコーディネートの画像を、同時に楽天ファッションのサイトにも投稿できるようになる。また今後は、ブランドショップが自社ECサイトにコーディネートの画像を投稿すれば、楽天ファッションのサイトにも自動的に表示されるようになるという。

 楽天ファッション上には、すでに「ビームス」「ユナイテッドアローズ」「ジャーナルスタンダード」「アーバンリサーチ」をはじめとした200ブランド以上、9600人のスタッフコーデ(コーディネート画像)がアップされている。

 ブランドショップ側からすれば、これまで自社ECやSNS(交流サイト)を通じて顧客とつながっていたものが、楽天ファッションで購入する顧客と直接つながることができ、ビジネスチャンスが飛躍的に広がる。販売員は両サイトに別々の手順で画像を投稿する手間が省け、業務負担が軽減できる。

 バニッシュ・スタンダードの小野里社長は「今後は楽天側が持つ顧客の行動データを使って相性が良い顧客を割り出してお薦めする高精度なレコメンドが実現でき、楽天ファッションが販売員の評価もしてくれるようになればうれしい。またこのアプリは、コスメや家具、家電などの業態にも広がっているので、将来は『楽天市場』でも共同の取り組みができればいいなと思う」と楽天側にラブコールを送る。

画像投稿アプリで急成長するバニッシュ社

 ファッション業界では販売員が店舗で接客するだけでなく、自社商品を使用したコーディネート提案の画像を自社ECやSNSにアップすることで、共感したお客が店舗やECで購入するというオンライン接客が大きな潮流となっている。

 バニッシュ・スタンダードはこの画像投稿アプリで急成長しているスタートアップ企業。2011年に設立され、16年からスタッフスタートの提供を開始。「ユニクロ」「ZOZO」など一部を除き、大半の大手企業がスタッフスタートを利用している。

スタッフスタートは単なるオンライン接客ツールであるだけでなく、顧客満足度を高め、販売員をきちんと評価し販売員満足度も高める仕組みを築いている

 同アプリのコーディネート投稿機能は、販売員が撮影したコーディネート画像に商品情報などとひも付けてECサイトやSNSに投稿する機能で、その投稿を通じて商品紹介やコーディネート提案などの接客対応ができる。

また、販売員の投稿を通じて達成されたEC売上は可視化され、販売員個人や所属店舗の評価に利用されている。利用ブランド数はファッションや化粧品ブランドを中心に現在1700を超え、同アプリ経由の年間流通総額は21年暦年で1388億円に上る。

 スタッフスタートにはこのほか、販売員が商品についてのコメントを投稿できる機能(スタッフレビュー機能)、商品の使用感や使用プロセスなどを撮影した動画に商品をひも付けて投稿できる機能(PLAY機能)、自社ECサイト上でテーマ設定から記事などのコンテンツを作成できる機能(まとめ機能)などがあるが、今回の連携対象にはなっていない。

ファッション領域を強化する楽天グループ

 楽天ファッションは楽天グループが運営するファッション通販サイト。2013年に買収したファッション通販サイト「スタイライフ」の事業を15年4月に継承。19年10月にはファッション領域に本格的に取り組むため「楽天ブランドアベニュー」サイトをリニューアルし、「楽天ファッション」にリブランディングした。流通総額は非公表だが、19年に三木谷会長はグループにおけるファッション関連事業の流通総額を約6000億円だと明かしている。

 20年6月に立ち上げた専用アプリのダウンロード数は1000万に達した。当初は国内ナショナルブランドを中心に扱っていたが、この1~2年でラグジュアリーブランドや国内外のデザイナーズブランドにも幅を広げ、今年3月にはコスメの販売フロアも新設した。

楽天ファッションは今年3月にブランド化粧品を販売する「Rakuten Fashion COSMETICS」を開設するなど扱い商品の幅を広げている

 ファッション業界では過去は路面店とファッションビルなどの館ごとに顧客や販売員、在庫がばらばらに運営・管理され、ECでも同様に自社ECとモールでは顧客と在庫が別個に管理されていた。ただ最近はデジタル化の進展によって、販売チャネルの垣根を越えたクロスボーダーな動きが見られ、①顧客のクロスチャネル化、②販売員のメディア化、③在庫の統合管理―の方向に進んでいる。

 これに対し楽天グループでは、楽天ファッションを軸に楽天ユーザーをアパレル企業の実店舗に送客、AI(人工知能)を活用し顧客の分析・発掘を進め、ECと実店舗の在庫を一元管理するなど出店企業への支援を進めてきた。

 今回のバニッシュ・スタンダードとの連携は「スタッフコーデによる接客の場として楽天ファッションを提供。実店舗やECなどの販売チャネルを横断し販売員の活躍の場を広げるものだ」と楽天グループの松村亮 上級執行役員コマースカンパニー ヴァイスプレジデントは位置付けている。

 今後はさらにデータ活用によるユーザーとのマッチングを強化。将来的には販売員が顧客(フォロワー)に向けて、接客販売できるツールなどを提供することを検討している。