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実店舗にも必須! AmazonやInstagramに学ぶ「発見型」の購買体験

みなさんはECで商品を購入する際、どのように目的のものを探しますか? ほしい商品を検索窓に入力し、検索結果の中から理想のものを探す人も少なくないでしょう。しかし最近では、検索せずとも自動的におすすめされた商品の中から発見して選ぶという購買体験が広がっています。今回は、この「発見型」の購買体験についてお話しします。

Male hand is browsing an online shop on digital tablet which is selling shoes.

検索はもはや“手間”に

 小売業界では、顧客の購買行動を基にした莫大なデータを分析・活用する動きがますます大きくなっています。これによりAI化がさらに進行し、顧客が興味を持ち、購入してくれそうな商品を自動でおすすめできるようになりつつあります。SNSでも、TikTokなどをはじめとして能動的な検索機能は端に追いやられており、基本的には自分が好きなものが流れてくるタイムラインを受動的に見ることが当たり前になっています。そして、このような習慣が一般的になると、必要なものや欲しいものをわざわざ自分で検索・選択するという行為自体がなくなる可能性が高くなります。

 たとえば、ZOZOが運営するファッションECZOZOTOWN」で服を購入する際、これまでは検索してサイズやカラーを絞り込み、ページをどんどん下っていくという探し方をしていました。しかし、その購入体験自体が相対的にあまりよいものではなくなってきているのです。

 わざわざ自分が欲しかった商品を思い出してから、購入のために「Tシャツの色は黒でサイズは」と条件を絞り込んでいくのは意外と手間がかかります。このような検索による「目的買い」は以前は当たり前でしたが、実は現在における買物体験上では顧客に負担をかけているのです。

タイムライン型の買物体験が広がる

 消費者に対して、タイムライン型で必要なものをオススメしていく発見型の買物体験は、米国ではアマゾン(Amazon.com)をはじめとしてすでに始まっています。UI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス:顧客体験)の観点から、「探す」という行為はベストではなくなりつつあります。そのため、検索機能自体は残しつつも、自分が購入した商品だけでなく、他のユーザーが同じカテゴリーで選んでいる人気が高いものをタイムラインに流すことによって、買物に『発見』という変化を生み出しています。

 従来の目的型の買物には検索という手間が掛かるため、UXを向上させるうえではやはり限界があります。一方で、「そんな商品があったのか」という発見型の買物は楽しさがあり、可能性も無限にあるため、世界の小売業界では発見型の購買体験を提供する動きが活発になっています。身近なところではInstagramに実装されている「ショッピングタブ」なども発見型に近く、興味のある関連項目であれば飽きることなく楽しみながら見続けることができます。

実店舗でも「発見」はつくれる

 一方で、自分で検索して探す場合、すぐに理想的な商品が見つかればそこで終わりです。逆に、なかなか目的に合致した商品が見つからない場合は諦めてしまうため、あまり長い時間見られることもありません。たとえば、黒いTシャツがほしくて「Tシャツ 黒」と検索すると、実は気に入る可能性がある赤いTシャツは検索結果に表れず、Tシャツ以外の商品も基本的には見つかりません。しかしタイムライン型であれば、ずっと見続けているなかで靴を見つけ、「そういえばシューズも欲しかった」などの可能性が広がるのです。

 実はこのタイムライン効果は実店舗でも表現することができます。店舗にTシャツを買いに行った際、つい他のものも買ってしまうことはよくあります。このように時流を捉えれば、売れ筋の商品や定番商品だけを棚に並べるのではなく、「顧客にとっての発見性」をいかに店内につくることができるかが重要になるでしょう。まさにここには、オンラインにはできない実店舗ならではの可能性が眠っているのです。

 

プロフィール

望月智之(もちづき・ともゆき)

1977年生まれ。株式会社いつも 取締役副社長。東証1 部の経営コンサルティング会社を経て、株式会社いつもを共同創業。同社はD2C・ECコンサルティング会社として、数多くのメーカー企業にデジタルマーケティング支援を提供している。自らはデジタル先進国である米国・中国を定期的に訪れ、最前線の情報を収集。デジタル消費トレンドの専門家として、消費財・ファッション・食品・化粧品のライフスタイル領域を中心に、デジタルシフトやEコマース戦略などのコンサルティングを手掛ける。
ニッポン放送でナビゲーターをつとめる「望月智之 イノベーターズ・クロス」他、「J-WAVE」「東洋経済オンライン」等メディアへの出演・寄稿やセミナー登壇など多数。