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リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!

スーパーバリュー(埼玉県/内田貴之社長)は埼玉県草加市の「スーパーバリュー草加店」(埼以下、草加店)を2023年12月16日にリニューアルオープンした。ロピアコラボ店舗」と銘打って、ロピアの売場エッセンスを採り入れていたという同店ではどんな売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2024年1月26、29、31日 ※本文中の価格はすべて本体価格

ロピアの売場づくりを取り入れた「スーパーバリュー草加店」

精肉はロピアが担当、非食品売場は分離

 ロピアの親会社であるOICグループ(神奈川県/髙木勇輔代表)がスーパーバリューを傘下に収めたのは2022年。同8月に子会社化し、最近はスーパーバリュー店舗の「ロピア化」を推し進めている。草加店は創設期の店でチェーンの成長を支えてきた旗艦店でもある。

 草加市は埼玉県南東部に位置し、南地区は東京都足立区と隣接している。人口は約25万人。店舗は東武伊勢崎線高架沿い、「獨協大学前」駅と「草加」駅の中間にあり、日光街道に近い住宅街にある。競合店は両駅前にはあるものの草加店の近隣にはなく、クルマでの来店が基本であるようだ。

 改装以前の草加店は食品と日用品、家庭用品とホームセンター商品を扱い、非食品の存在が強かったが、今回の改装により食品と非食品が明確に分離された。非食品売場は約110坪(歩測)で、ペットフード、洗剤、台所・清掃用品、紙など購買頻度の高い商品で構成。店内と店頭で約50坪(歩測)の自転車売場もある。

スーパーバリュー草加店の売場レイアウト

 食品の売場面積は約580坪で、ロピアの標準店より若干広く、売場からは余裕を感じる。配置も作業性を考慮しており、機能的だ。精肉売場は「肉のロピア」の屋号は掲げられており、完全に“ロピア式”の運営スタイルとなっている。ほかの部門はともかく、精肉をスーパーバリューに任せるのは難しいのかもしれない。ロピアにおける精肉部門は生鮮売場全体をまとめる要の存在でもある。「肉のロピア」のブランドを強調したこのスタイルは賢明であるのかもしれない。

 全体的に食品売場はロピア既存店と比較するとゆったりとした印象だ。売場面積(歩測)は青果が約80坪、精肉は約65坪、鮮魚約45坪とスペースを割いているからだろう。売場スペース構成比でも生鮮4部門が41%を占め、日配の20%を含めると61%と、生鮮を前面に打ち出した専門店スタイルとなっている。

※03食品売場スペース構成比の図表入れる

量感と価格訴求を両立した青果売場

 部門別に売場を見てみよう。食品売場の入口は狭く、加工食品で囲んで青果売場へと誘導する。

 調査日はイチゴを前列12尺、サイド14尺で展開。栃木県産「とちあいか」(1パック399円)をメインに福岡県産「あまおう」(599円)、佐賀県産「いちごさん」(2パック1000円)などを販売。週末ということもあって購入者が多かった。

青果でメインとして販売されていた栃木県産「とちあいか」(1パック399円)

 左壁面では売れ筋のほうれん草(100円)、ブロッコリー(1個129円、3個300円)、キャベツ(1個」99円)をなど訴求。お客を見ていると、自然と手が出て買物カゴに入れている様子だ。平場壁面ではバナナ(1房499円)、熊本県産「晩白柚」(1個1300円)などを陳列している。

 平台は横20尺・縦6尺で2列目はミカンが軸に、3列目でキュウリ(4本299円)、トマトやレタス(各99円)を販売、4列目では白菜(1/4カット99円、1/2カット180円)やキノコ類、ナス、ピーマンなど、5列目はジャガイモや玉ネギなど土物野菜を配置する。ゆったりとした売場で量感に価格訴求を絡めており、ロピアスタイルをうまくこなしているのがわかる。

弁当は岩槻店からの横持ちも

 生鮮部門における総菜の売場スペース構成比14%。ピザ部門がやや離れた場所にある、変則的な売場となっている。

 ピザコーナーでは「照焼きチキンピザ」「3種のきのこベーコンピザ」(780円)、「ペパロニピザ」「マヨコーンポテトピザ」(680円)など7品目を販売。よりどり2枚1200円、5枚2800円で販促をかけており購入者も多い。

 前方の平台は冷蔵・冷凍食品で、ロピアグループ会社の利恵産業の商品を軸に構成。定番商品の「海老とブロッコリーの玉子サラダ500g」(899円)、「国産ポテトと海老のチョレギサラダ」(600円)などを揃える。入口から見て右サイド18尺では冷凍食品総菜を展開。冷凍キンパ、黒酢肉団子、海鮮八宝菜、小籠包、後方エンドではミルフィーユローラーを配置する。

 左サイドは「超シュリンプカクテルサラダ」(1480円)、「ポテトサラダ」(398円)、道場六三郎監修「具だくさん卯の花」(250円)、「穂先筍土佐煮」(350円)、「タイ風パッタイ」(599円)、「台湾焼きそば」「沖縄風ソーキそば」(599円)などを扱う。

 後方の平台横20尺・縦6尺では米飯、フライ、弁当などを展開する。正面のエンドでは広告商品「手羽元あぶり焼き20個」(1111円)、「合鴨パストラ」(999円)を打ち出し、右サイドにエビフライ、焼き鳥、カキフライのほか、「ロースとんかつ」(2枚699円)、「ロピアキャベツメンチカツ2個」(280円)、さらにポークシューマイ、春巻き、酢豚、キンパなどを展開する。エンドには「ウナギ姿寿司」(12切1280円)、8切999円)や「ローストビーフ寿司16個」(1111円)を配置。左サイドでは「小林さんちの完熟トマトチキンライス」(450円)、「人気のシンガポールチキンライス」(698円)、「いなり8個」(299円)を品揃えし、利恵産業と店内加工の両方で対応している。

「ゴチマル」シリーズの「ローストビーフ寿司8個」(680円)

 弁当は外注もあるが、ベースは近隣の自社店舗の「スーパーバリュー卸売パワーセンター岩槻店」(埼玉県さいたま市)から商品を供給。「麒麟飯店」の屋号で弁当、丼、麺、総菜などを展開している。弁当は「酢豚炒飯弁当」(458円)、「鶏の唐揚げ弁当」(428円)、「天津丼」(398円)、「塩焼そば」(298円)、「肉団子の甘酢炒め8個」(328円)などを販売していた。

「卸売パワーセンター岩槻店」(さいたま市岩槻区)で調理された「麒麟飯店」の「五目炒飯」(298円)

精肉売場にロピアのノウハウが光る

 精肉売場は正面の壁面36尺で牛肉とラム肉を冷蔵平台4台で展開するロピアの標準スタイルだ。

 国産豚肉はロピア草加プロセスセンター(埼玉県草加市)からの納品で対応。調査期間中はチラシ特売の国産豚「肩・もも」(100g99円、メガパックは同79円)、カナダ産「豚ロース切り身」(100g107円、メガパックは同89円)を販売。量目に応じて価格差を付けて販売している。

 牛肉は「ブロック」「ステーキ」「焼き肉」「切り落とし」とメニュー別に陳列されている。銘柄は宮城県産「黒毛和牛」や栃木県の「適霜肉」、週末は「国内産肉質5等級黒毛和牛肩切り落とし焼き肉用」(100g当たり499円)を提供。前方の平台にはハンバーグやコロッケ、自社製加工肉、2台目は輸入豚の「メガ盛り」や鍋食材、鶏肉、3台目は鶏肉、冷凍焼き鳥、豚足、4台目は「のんべい横丁」と称してホルモン、プルコギ、味付け肉などを展開する。壁面と平台で冷凍肉を絡めて加工品を巧みに組み合わせた。この商品配置と商品構成がロピアのノウハウだ。

精肉売場で販売していた「ロピアの肉だれハンバーグ2個」(888円)

鮮魚は丁寧な商品づくり

 鮮魚売場はほかの部門と比較するとゆったりとした配置となっていり。商品構成はロピアのスタイルだが、1品1品の商品づくりは丁寧な印象だ。売場を見ると、壁面36尺でマグロ、刺し身冊、刺し身に加え、寿司、丼、巻物といった米飯を配置。刺身は「4点盛り」(1490円)、「6点盛り」(1990円)。マグロ、刺身、米飯といった高利益率の商品に力を入れている。

 平場の配置は各カテゴリー構成が明確だ。手前の冷蔵平台はメイン通路に面し、8尺で生アトランティックサーモン、6尺でブリ、左サイドは生タラ、生銀鮭の切り身と流れのある配置だ。背面にはパックの丸物が置かれ、ロピアより積極的な品揃え。この日は「石ダイ1尾」(4500円)、「真ダイ1尾」(2500円)、「スルメイカ1杯」(500円)、「真イワシ4尾」(500円)など多様な扱いがあり、こだわりを感じる。

 中ほどと後方の平台は6尺冷蔵・冷凍ケースでカテゴリー別に配置。売れ筋商品をベースに構成している。壁面と平台の組み合わせとカテゴリー別配置が機能している。

鮮魚売場が草加店の名物にしようともくろむ「タコ屋の真だこ唐揚げ」(100g当たり290円)

 後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。

(店舗概要)
所在地 埼玉県草加市栄町1-7-18
開店日 1996年7月
改装日 2013年12月16日
売場面積 食品売場約580坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 250台
構造 鉄骨造・2階建て、屋上駐車場