メニュー

緊急事態宣言ついに発令 イオン、セブン&アイ、ライフ各社の具体的な対応策は?

47日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、安倍晋三首相により緊急事態宣言が発令された。対象地域は、感染が急激に拡大している東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、大阪府、兵庫県、福岡県の7都府県。カラオケやゲームセンターなど感染拡大の温床となり得る娯楽施設が休業要請の対象に入る一方、最低限の生活を維持するために必要な食料品など生活必需品を取り扱う小売店は営業を継続する。主な企業の対応策をまとめた。

イオン、イトーヨーカ堂は商業施設内の専門店を休業

 流通・小売業界最大手のイオン(千葉県/吉田昭夫社長)は、緊急事態宣言の対象地域で展開する「イオンモール」「イオンショッピングセンター」合計57施設内に入居している各専門店を当面の間臨時休業することを決定した。なお、各施設内で展開する直営の総合スーパー(GMS)、食品スーパー(SM)は、生活必需品を提供するため営業を継続し、以下の感染防止策に取り組む。

・お客が直接手を触れる箇所とお買物カートのアルコールによる拭き上げの実施
・総菜のばら売り、試食販売の中止
・店舗の出入口を開放するなどし、店内換気の実施
・体調チェックリストを活用し、従業員の体調管理を徹底
・従業員の手洗い、うがいの励行とアルコールによる消毒の実施
・食品担当者と接客部門担当の従業員のマスク着用
・感染拡大防止についての店内放送を実施

 

 セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイHD)傘下のイトーヨーカ堂(東京都/三枝 富博社長)も、イオンと同様の対策を実施する。緊急事態宣言の対象地域内で展開するショッピングセンター(SC)「アリオ」「グランツリー」、GMSのイトーヨーカドー内にある専門店を、一部を除き休業する。また、これら商業施設内の直営の食品売場やSMの「イトーヨーカドー食品館」は営業を継続するが、緊急事態宣言の対象地域に加え北海道で展開する120店舗では、閉店時間を20時に短縮する。感染防止対策は以下の通り。

・出勤前の検温等、店舗従業員の体調管理 
・マスク着用の励行と手洗い、手指の消毒、うがいの実施
・店内の清掃、指定箇所の消毒を実施
・試食の中止
・食品売場レジで、床にテープを貼り、一定の間隔を空けて並んでもらう取り組み

イトーヨーカ堂はSCやGMS内の専門店を休業。直営の食品売場や「イトーヨーカドー食品館」では閉店時間を短縮して営業を継続する

 同じくセブン&アイHD傘下のセブン‐イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長)は、感染リスクの低減や人命・安全を最優先に、各店舗の状況に合わせて可能な限り営業を継続する。また、本部社員は原則在宅勤務とし、不要不急の打合せや会議等は中止する。重要なものに限り、WEB会議ツールなどを活用し実施する考えだ。店内での取り組みは以下の通り。

・従業員は出勤前に検温を実施し、熱が 37.5℃以上ある時は出勤を停止
・業務中にはマスクを着用し、感染拡大を防止
・多頻度での手洗い、手指の消毒、うがいの励行
・人の手が多く触れる場所のこまめな消毒(レジまわり、トイレまわり等)
・カウンターでのファストフード提供時は常に清潔な器具を使用し、手洗いと消毒の実施

ライフはキャッシュレス決済を推奨

ライフコーポレーションは閉店時間の短縮やキャッシュレス決済の推奨に取り組む

 店舗展開エリアの大半が緊急事態宣言の対象地域に含まれているSM最大手のライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)は、一部店舗を除き、閉店時間を21時または22時に変更する。また、3月下旬から取り組んでいたチラシ配布の自粛を継続する。店内での取り組みは以下の通り。

・レジ前待機列の間隔確保
・一部商品の販売点数の制限
・レストスペース他、店内一部設備の使用制限、もしくは中止
・現金以外の決済手段(クレジットカード、電子マネー、スマホ決済)の推奨

 今回の緊急事態宣言の発令で、いよいよ小売各社の対策が本格化してきた。店内で働く従業員が感染する例も増えているため、小売各社は従業員間の感染予防により一層力を入れている。一方、レジ列でのお客同士の間隔確保に努める企業が増えていることにも注目したい。すでに日本よりも感染拡大が深刻化している欧米各国の小売店では、2メートル以上など具体的な数値でお客同士の間隔を設定しているところも少なくない。緊急事態宣言が出されたことで緊張感が増し、今後日本のSMGMSでも同様の取り組みが広がっていくとみられる。