三和(東京都/小山真社長)が「スーパー三和横浜鶴見店」(以下、横浜鶴見店)を2023年12月8日にオープンした。スーパーマーケットとしては標準規模の店舗で、前編で見た生鮮4部門の売場から安定感のようなものが感じられた。後編は日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2024年6月1、2、7月1日 ※本文中の価格はすべて本体価格

日配売場にはこだわり商品も!
和日配売場は青果売場と鮮魚売場をつなぐ部分に配置している。入口側から主通路の右壁面約44尺では漬物、中華総菜、麺、練り物、佃煮を展開し、平場は約48尺で豆腐、納豆、水物、総菜、珍味を陳列している。キムチは東海漬物の商品をメインで展開し、調査日は梅干しを3割引きで提案していた。
麺はオリジナル商品「冷やし中華しょうゆ味3人用」(189円)を販売。豆腐はスペースを確保し、「鎌倉山300g」(108円)など、神奈川県厚木市で営業している富塚豆腐店の商品を軸に、「作次郎枝豆300g」(198円)など、3品目を展開する。価格訴求は東京都八王子市のむつみが製造する「木綿300g」(48円)やオリジナル商品の「いつもの豆腐300g」(48円)で実施していた。そのほか、むつみの「白無垢北海道」(158円)、「男前豆腐」など、こだわり商品も展開する。
納豆は24品目をラインアップする。「タカノフーズ・極小粒ミニ3」(68円)を軸に、山形県新庄市の篠原商店が製造する「うまい納豆50g×3」をはじめ、天狗納豆、カジノヤ、下仁田納豆の商品も扱っている。
洋日配は反対側の壁面33尺でスイーツ、果汁飲料、コーヒー、ヨーグルト、16尺で牛乳、ドリンクヨーグルトを展開している。牛乳は「北海道乳業・北海道無調整3.7牛乳1ℓ」(198円)を販売。プレーンヨーグルトは19品目を揃え、取材時は「明治・ブルガリアヨーグルトLB81プレーン400g」を138円で販売していた。価格訴求品はプライベートブランド(PB)で「プレーンヨーグルト400g」(123円)を提供している。
パンには力を入れる。調理パン、菓子パン、ロールパン、食パンでは「ヤマザキ」「Pasco」「タカギベーカリー」に加え、YKベーキングカンパニー「むぎの詩」を導入した。
和菓子にも力を入れ、定番と専用平台、冷蔵ケースで全国の銘菓やところてん、あんみつ、水ようかんといった季節商品を幅広く品揃えしている。
冷凍食品・アイスクリームは前方のゴンドラの中央部に配置する。冷凍食品はエブリデーロープライス(ELDP)ではなく、一部除外品はあるが定期的に日替わり商品の半額セールという販促企画を実施している。除外品は味の素「味の素・ギョーザ12個入り」(218円)、「ニチレイ・本格炒め炒飯450g」(268円)などの売れ筋商品であり、これらは通常価格で販売していた。
アイスクリームは、調査日の6月2日に「ハーゲンダッツ」の4割引きを実施し、「ハーゲンダッツミニカップ」は195円で販売していた。
日配売場の商品構成はこだわり商品を絡めた質感を訴求しており、商品構成のレベルの高さを感じる。
加工食品・酒・菓子売場は明確に区分
加工食品・酒・菓子売場は、前方のゴンドラに飲料と酒、後方では加工食品・菓子を展開し、売れ筋商品にこだわり商品を絡めた商品構成と明確なゾーン編成を行っている。また、米関連で麦、餅、おかゆ、包装米、釜めしの素のほか、お茶、ふりかけ、海苔でゾーンを形成している。
パスタはイタリア産の「ディ・チェコ」を10品目展開するほか、同じくイタリアメーカーの有機パスタ「アルチャネロ」を品揃えし、価格訴求はトルコ産のパスタに国産のパスタを絡めた構成となっている。
酒類は全体に絞り込んでおり、日本酒と焼酎は売れ筋商品をベースに構成している。神奈川県と東京都の地酒は180mℓのミニサイズで揃えている。
ワインは3尺3本で輸入ワインを赤・白に分離した陳列で、499~1000円の価格帯をベースに構成している。炭酸水とサワーに力を入れてコーナー展開する一方、ビール系飲料と缶チューハイは冷蔵、常温、ケース売りを行い、広いスペースを割いている。
飲料の冷蔵ケースでは、パンに関連した500mℓタイプの小容量を軸に構成している。大容量は常温で展開し、価格訴求はPBの「緑茶2ℓ」(108円)、「甲州のおいしい自然水2ℓ」(78円)で実施する。
菓子は売れ筋商品のロッテ「ロッテ・チョコパイパーティパック9個」(258円)、「不二家・カントリーマアム18枚」(198円)、「正栄デリシィ・サク山チョコ次郎ファミリーパック」(218円)など、47品目を揃える。力を入れているのが「96円均一」で、「生活志向」(6尺)、スナック、ゼリー、米菓、クッキー、珍味(12尺)の計18尺でコーナー展開している。
このカテゴリーは全体には売れ筋商品をベースに絞ったが、こだわり商品と価格訴求商品を絡ませた無難な商品構成で、レベルの高い売場である。
買いやすい配置で堅実な売場づくり
三和は「ラゾーナ川崎店」や「トレッサ横浜店」(いずれも神奈川県)のような大型繁盛店、ディスカウントスーパーの「フードワン」など多様な形態の店舗を展開している。
横浜鶴見店は商品構成も無難にまとめ、肩を張らない自然体のスーパーマーケットとも言える店舗だ。三和の基本戦略である「地域蜜着」と「ドミナント(地域集中出店)政策」に基づき、川崎と横浜を結ぶ空白地域に出店した格好だ。店舗は立地、規模、お客の生活スタイルなどを考慮し、商圏をある程度絞って、周辺住民のための店舗と位置づけている。
最近のスーパーマーケットの繁盛店は、生鮮部門と日配部門でいかに競合店との違いをアピールできるかがカギになる。
横浜鶴見店は鮮魚、精肉、総菜はセンター商品と店内加工で構成されており、鮮魚はマグロ、刺し身、丸物が店内加工であり、切り身、塩干などはセンター商品と外注商品となっている。精肉は牛肉、豚肉、鶏肉など6~7割はセンター商品だが、牛肉、豚肉の売れ筋商品や訴求品は店内加工で提供する。
総菜は寿司が店内加工で、弁当とおにぎりは店内加工とセンター商品で対応している。とくに、弁当はセンター商品と店内加工の一体感があり、両者の垣根を感じられない。この一体感が売場の強さになっている。
また、販促に積極的であるのも三和の特徴だ。カード会員「5倍ポイント」や日替わりで「鹿児島黒豚2割引き」、「ハーゲンダッツ4割引き」「干物・タラコ・明太子3割引き」「冷凍食品半額」「ワイン1割引き」「米・雑穀類・ノリ2割引き」などを生鮮売場と関連させながら販促をかけている。そして、価格訴求にもきめ細かく対応している。
「生麦」駅の隣、JR・京急「鶴見」駅前には大型店がある。ただ、お客に話を聞くと、横浜鶴見店が立地する第2京浜国道周辺には人口が多いにもかかわらず食品小売店があまりなく、住民たちは利便性を求めてスーパーマーケットの誘致を願っていたという。競合店が周辺にないと売場全体に安定感が生じ、売場に余裕が生まれる。買いやすい配置、堅実な対応で地域に溶け込むような店舗となっている。
(店舗概要)
所在地 神奈川県横浜市鶴見区岸谷3-9-1
開店日 2023年12月8日
売場面積 約400坪(歩測)
営業時間 9:00~21:00
駐車台数 約240台
アクセス 京浜急行「生麦」駅から徒歩12分
競合店 西友鶴見店、ユーコープ岸谷店