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「スーパー三和トレッサ横浜店」の売場から見えてきた、SC内繁盛店づくりの秘訣

推定年商70億円超と言われる三和(東京都/小山克已社長)の超繁盛店、「スーパー三和トレッサ横浜店」。同店はなぜ、お客を引き付けることができるのか。前編では、生鮮3部門の売場をレポートした。後編となる今回は、総菜・加工食品・酒類売場からその実力を探ってみたい。

※本文中の価格はすべて本体価格

中華専門店テナントで品揃えに“彩り”が加わる!

 約900坪(歩測)の売場で、正面から見て右側の壁面すべてを使って展開するのが、総菜売場だ。

 コーナーごとに見ていくと、温総菜では、「コロッケ」(58円)、「メンチカツ」(158円)、「ロースとんかつ」(358円)、「棒ヒレカツ1本」(498円)に旬の「カキフライ8個」(398円)、「海老天」「いか天」(各128円)など、売れ筋を一通り網羅した商品構成となっている。

 弁当は「自家製メンチカツ弁当」「唐揚弁当」(398円)、「自家製ヒレカツ丼」(378円)、「グリルチキン弁当」498円)などインストア製造とアウトパックをうまく組み合わせた商品構成となっている。おにぎりは、「鮭」「生たらこ」(98円)、「いくら」158円)など自社製品13品目を販売する。

弁当コーナーではアウトパック商品を充実させている

 力を入れていると思われるのが寿司で、調査日の週は「ご馳走北海握り寿司9貫」(698円)をポイント販促で売り込んでいた。そのほかにも「4種まぐろ比べ寿司」「北海にぎり寿司(各598円)、「海鮮丼」(498円)、「手巻寿司」(5本580円)などをラインアップ。バラエティーに富んだ品揃えでお客を引きつけている。

 トレッサ横浜店では直営総菜売場だけでなく、中華料理専門店「麗彩桜」も導入しており、中華系メニューはすべてこのテナントに任せている。「中華弁当」(498円)、「八宝采丼」(330円)、「中華セット」(860円)などボリューム感と値ごろ感のある中華食材を揃えており、総菜全体の品揃えに“彩り”をもたらしている。

中華総菜はすべて中華専門店テナントに任せている

 また、総菜売場の隣、店舗入口付近にはおそらくテナントと思われるインストアベーカリーを設けている。スペースは狭いものの、機能的な配置となっており、「ホテル食パン」(560円)、「塩パン」(120円)、「お米パン」(260円)などを提供していた。

各ゴンドラエンドでテーマ別販促を実施!

 続いて、酒類売場を見ていこう。「ビール系飲料」は“量感”を重視した陳列としてなっており、「アサヒビール・スーパードライ350mℓ24本」(4392円)、「サントリー・金麦350mℓ24本」(2380円)などケース売りの販売に力を入れている。

 ワインは、高級ブランドも一部扱うが、398~2500円の価格帯を充実させており、1000円前後の商品をとくに重視しているようだ。焼酎は定番の甲類のほかに、「森伊蔵」「佐藤」「百年の孤独」といったプレミアム焼酎の扱いもある。日本酒は神奈川県の地酒である「湘南」(熊沢酒造)、「相模灘」(久保田酒造)などを品揃えする。

 広めのスペースで展開する飲料売場は、冷蔵ケース、500mℓ、大型ペットボトル、ケース販売、と商品の形状別にゾーンを形成している。「コカ・コーラ1.5ℓ」、伊藤園「お~いお茶2ℓ」(各148円)、サントリー「伊右衛門500mℓ」(69円)などナショナルブランドの定番を価格訴求しつつ、日替わりの目玉商品を本数限定で提供している。

 加工食品売場では、各ゴンドラエンドでテーマ別の販促を実施しているのが目を引く。各地域の銘品を集めた「道の駅の人気商品を集めました」に始まり、「洋風メニュー」「おかずメニュー」「お好み焼き」「ホットケーキ」「新製品提案」といった具合でエンド毎にポップを添えてテーマに添った商品をアピールしている。

 かつてはどのチェーンの売場でもこうした販促手法が見られたが、実施している企業は少なくなった。筆者の経験から述べると、こうしたエンドづくりには男性スタッフが不可欠である。実際にトレッサ横浜店では、売場で多くの男性スタッフを見かけた。この男性の機動力のある売場づくりがトレッサ横浜店の加工食品売場の魅力を下支えしていると思われる。
加工食品、菓子、日本酒、飲料に共通しているのは、各部門のゾーニングを明確にしている点だ。どの売場も生鮮・日配と巧みに連動させており、お客にとっては非常に買いやすい売場であろう。

スーパー三和トレッサ横浜店の売場レイアウト

実は少ない!? “大箱”を埋められる食品スーパー

 かつてのショッピングセンターは、百貨店、あるいは総合スーパーを核に据えるのを基本としていたが、これらの業態が衰退傾向にあることもあって、最近は食品スーパーに大型専門店を絡めた構成が主流となっている。

 ただ、大型ショッピングセンターという“箱”に耐えられる食品スーパーはそれほど多くない。自社でショッピングセンターを開発するイオン(千葉県/岡田元也社長)グループの企業は別として、首都圏では三和やロピア(神奈川県/高木勇輔代表)などに限定されてくる。

 なぜ、この2社はショッピングセンター内という“大箱”で繁盛店をつくることができるのか。これら2チェーンに共通しているのは、「ディスカウント」の意識が根底にあることだ。ディスカウンターの売場には、独特の“粗さ”がある。多少の“粗さ”がなければ、800坪~1000坪のスペースを食品売場で埋めるのは難しい。トレッサ横浜店においても、この“粗さ”によって、約900坪のスペースで魅力ある売場がつくられている。

 前編で解説したショッピングセンター自体の集客力も相まって、顧客を強烈に引きつけているトレッサ横浜店。同店は今や、三和の企業としての存在感を示す店舗に成長しており、その店づくりは注目に値すると言えるだろう。

店舗概要
所在地 横浜市港北区師岡町700
売場面積 3031㎡
開店日 2008年3月27日
駐車台数 1300台(ショッピングセンター共用)
営業時間 10:00~22:00