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岡田尚也社長が語る ビオセボンが駅ナカに出店を始めた理由

 イオン(千葉県)傘下で、オーガニック食品を中心に扱う食品スーパー「Bio c’ Bon(ビオセボン)」を展開するビオセボン・ジャポン(千葉県)。2019年3月よりスタートした、イオン岡田元也社長の長男である岡田尚也社長体制のもと積極出店を続けている。そんな同社が、新たに駅ナカでの出店をスタートした。そのねらいとはーー。

7月26日、「明治神宮前」駅構内にオープンした「ビオセボン明治神宮前メトロピア店」

 

13店舗中最小、売場面積26.6坪のエキナカビオセボン

 726日、ビオセボン・ジャポンは、東京メトロ千代田線・副都心線「明治神宮前」駅構内に「ビオセボン明治神宮前メトロピア店」(以下、明治神宮前メトロピア店)をオープンした。JR「原宿」駅や明治神宮側の改札を出てすぐの場所で、コーヒーチェーンやパン専門店が並ぶ商業ゾーンの一角に位置する。売場面積は26.6坪で、同社で最も小型の店だ。

 ビオセボン・ジャポンは1612月に、1号店の「麻布十番店」(東京都港区)をオープン。それ以降、駅チカの繁華街や、高層マンションの下層階、オフィス街などのさまざまな立地に、売場面積60160坪ほどの路面店を中心に出店してきた。そうしたなか 13店舗目となる今回の新店で、初めて駅ナカでの小型店の出店にチャレンジしている。

 

人が集まる立地に オーガニックの需要あり

店舗の特徴を説明する岡田尚也社長

 きっかけとなったのは、「東武池袋店」(東京都豊島区:18年11月開店)と「小田急藤沢店」(神奈川県藤沢市:19年3月開店)の出店だ。百貨店内に、これまでの店舗の半分ほどの売場面積約30坪の店を開業した。
 岡田社長は「小型であっても百貨店内のように人が集まる立地であれば、お客さまに利用いただけるという手応えを得た」と語る。そこで今回、1日10万人超という多くの乗降客がある「明治神宮前」駅であれば需要が見込めるとして、明治神宮前メトロピア店をオープンするに至ったという。
 岡田社長は「同駅は若い世代のほか、全国からの観光客、外国人観光客も集まる。同店の出店を機にさまざまな方にビオセボンを利用いただきたい」と意気込みを述べている。

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ようやく開発できた!岡田尚也社長悲願のオーガニック商品とは!?

デリカで売上高の約25%を稼ぐ

出入口すぐの目立つ場所に冷蔵平台を設置し、弁当やおにぎり、パックの入りの総菜など、無添加や有機食材にこだわったデリカをコーナー化している

 一方、駅ナカという立地上、利便性の高い商品としてデリカの販売を強化した。出入口すぐの目立つ場所に冷蔵平台を設置し、弁当やおにぎり、パックの入りの総菜など、無添加や有機食材にこだわった商品をコーナー化している。
 同店では店内調理スペースを設けておらず、そのため商品は100%アウトパックだ。「オーガニックにこだわる当店向けの商品を委託できるメーカーは多くない。しかし店舗数が10店を超えて取引量が増え、それにより取引先が広がり、アウトパック商品だけでも充実した品揃えを提供できるようになっている」(岡田社長)。
 デリカの取り扱いSKU数は約120(チーズ、パン、コーヒーを含む)で、全体の売上高構成比のうち25%以上を稼ぎたい考えだ。

近年、注目が高まっているとして強化しているのが「ヴィーガン」向けの商品だ。すべて植物性の食材を使用したサンドイッチや、ヨーグルトのほか、アーモンドミルクなどを揃えて「ヴィーガンランチ」を提案していた

ようやく開発できた!岡田社長悲願の商品とは・・・

 デリカとともに力を注ぐのが洋菓子の販売だ。ロールケーキや、チーズケーキ、エクレアなど約15SKUを揃える。これらもすべてオーガニックの商品だ。
 なかでも岡田社長が「ようやく開発できた悲願の商品」とするのがシュークリームだ。食品スーパーやコンビニエンスストアでは人気上位のスイーツであるが、オーガニックの商品はほとんどなく、取引先の協力を得てようやく商品化できたという。「このように取り扱いのない商品を1つずつ減らしていき、お客さまの不便を解消していきたい」(岡田社長)

販売に力を注ぐ洋菓子。手前が「シュークリーム」(税抜220円)。兵庫県の菓子メーカー弁天堂の協力を得て、ようやく商品化できたという

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気軽にオーガニックの魅力を知ってもらうための出店!そのMDの特徴は?

気軽にオーガニックの魅力を知ってもらう

 さらに、同店で拡充したのが「小型スナック」だ。レジに続く壁面には、バータイプや小袋入りの菓子を幅広くラインアップ。路面店よりも、単価の低い商品を揃えることで、気軽にオーガニック商品を購入してもらえるように工夫している。
 そのほか、ビオセボンが力を入れる青果や日配品、量り売りのナッツは、限られた売場面積ながら「ビオセボンを象徴する商品」として品揃えしている。

レジに続く壁面で売り込む「小型スナック」。なかには200円台の商品もあり、単価の低い商品を揃えることで、気軽にオーガニック商品を購入してもらえるように工夫している
ビオセボンが力を入れる青果や日配品、量り売りのナッツは、限られた売場面積ながら「ビオセボンを象徴する商品」として品揃えしている

 これまでビオセボンは、青果や日配品といったふだんの食卓のためのオーガニック商品の販売を強化し、それにより来店頻度を高める店づくりを行ってきた。
 一方で同店は、生鮮食品や日配の品揃えは最小限に絞り、手軽に購入できる総菜をはじめスイーツ、小型スナックを充実。「客単価は最も低く、来店客数は最も多い店になる」(岡田社長)と想定しており、これまでと大きくねらいの異なる店であることがわかる。

 ビオセボン・ジャポンは20年までに数十店舗体制を構築するという目標を明らかにしている。この積極出店の先にイオングループが見据えるのは、日本でのオーガニック市場の拡大だ。そんななか同店は、幅広い客層の利用が予想され、手頃な価格で商品を購入できることから、ビオセボンやオーガニック商品の認知度拡大につながりそうであり、「サテライトショップ」のような役割が期待できそうだと感じた。

 ビオセボン・ジャポンは今後、新たに駅ナカに出店する具体的な計画はまだないという。岡田社長は「サイズや立地を見極めながら、路面店にとどまらず、さまざまなかたちでオーガニックを提案できる柔軟な店づくりをしていきたい」と語る。オーガニック市場の開拓に向けてイオンは挑戦を続けている。

【店舗概要】
店舗名   ビオセボン明治神宮前メトロピア店
所在地   東京都渋谷区神宮前1-18-22 明治神宮前〈原宿〉駅構内
営業時間  平日・土7:30~22:00/日祝9:00~21:00
売場面積  26.6坪
従業員数     10人(うち正社員2人)
駐車場   なし