近年の秋は気温の変化が激しく、販促や商品構成に柔軟な対応が求められている。従来の販促スケジュールを踏襲していては思うような成果は上げられない。総菜では気温の変動や季節のイベントに合わせた、テーマ性のある売場づくりがカギとなる。
本稿では、2025年秋の市場傾向を踏まえた戦略と、月別の具体策を紹介する。
市況分析&今秋の方向性
イベント感ある売場づくりの仕掛けが有効
近年、販促担当者から「従来型の52週販促では対応が難しくなってきており、悩んでいる」という声を聞く。理由はさまざまだが、大きな要因の一つが、異常気象による生鮮商材の供給不安定や、食生活の変化などである。
秋はもともと「収穫の秋」ということもあり旬の商材が次々と登場し、それに合わせて自然と販促の仕掛けが組み立てられていた。
しかし、近年は酷暑により、秋商材の不作や成育遅れが目立ち、食欲が回復するような気候とは言い難い。そのため、かつてのような秋の定番販促が機能しにくくなっている。だからといって、安直に夏の販促企画を引き延ばすだけでは売場がマンネリ化してしまう。
そこで注目したいのが、食関連の「フェス」だ。全国各地で年間を通じて開催されており、大盛況のイベントも多い。直近の食フェスの傾向を見ると、次のようなテーマが目立つ。
肉系:肉フェス、肉まつり、餃子、唐揚げなど
スイーツ系:アイスクリーム、かき氷
アジア+沖縄系:タイ、台湾、四川、インド、沖縄料理
ビール系:オクトーバーフェスト
このような人気テーマを、販促企画にうまく取り入れてはどうだろうか。たとえば、以下のような催事企画が考えられる。
肉フェス:餃子、唐揚げ、焼肉弁当などの定番商品+αを提案。精肉、関連調味料、酒類、サラダ野菜などと連動して展開
麺まつり:即食系の麺商品に加え、乾麺を使用したメニュー提案
エスニックフェスタ:ガパオライスなどの定番商品に加え、エスニック風のピザなどをスポット展開
また、この時期は夏休み明けということもあり、財布のひもが固くなることも想定される。それを踏まえ、「よりどり〇点」「〇〇円均一」といった仕掛けで点数や単価を上げる工夫も必要だ。
一方で、増量企画については、「サラダ2割増量」といった企画ではインパクトが弱い。最低でも1.5倍程度、ひと目で「大容量」と伝わるようなメガサイズを見せ筋として展開し、その下のサイズを売り込むというきめ細かな量目対応が求められるだろう。
「秋」がほとんど感じられなかった24年
24年の9月と10月は、観測史上で歴代1位の平均気温を記録する地域が相次いだ。総菜では、サラダや涼味系メニュー、炒め物、揚げ物、米飯類などの売れ行きが好調だった。また、暑さの影響で、9月や10月の買物の時間帯のピークが夕方以降にずれ込む傾向が見られた。
この流れが一変したのが11月後半だ。気温が一気に下がり、秋を通り越して冬のような気候となったことで、ホットメニューが売場で台頭した。
さらに、ここ数年続く原料価格の高騰に加え、昨秋ごろからは米価の一段の上昇が追い打ちをかけた。現在も米不足の状況は続いており、それに伴って麺メニューの需要が伸長した。
加えて、輸入米をうまく活用した「ガパオライス」や「ジャンバラヤ」といった商品が年間を通じてニーズを拡大している。これらのトレンドは、今年も引き続き継続すると想定したうえでの対応が必要だろう。
一方で、あらためて重要となっているのが
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