秋の鮮魚売場は「タイミング」と「提案力」が重要に

解説・文:堀内 幹夫(エバーフレッシュ研究所)
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昨今の気温上昇により、9月に入ってからも暑さが続くため、鮮魚部門の秋商材は売場で展開するタイミングの見極めが重要となる。原料不足、価格高騰が続く魚種では、安さの追求に歯止めがかかっている。

気温の変化を見極めることに加え、各種イベントや連休に合わせ、売場での提案力を強化していくことが重要だ。

市況分析&今秋の方向性

イベント・連休に対応した売場づくりが求められる

 まずは24年の同時期を振り返っておこう。24年9月は、旬のサンマが前年に比べ豊漁で大きく売上を伸ばした一方で、秋鮭は不漁で苦戦した。

 24年の生サンマの漁獲量は、全国で対前年比58%増の3万8695トンと、過去最低だった22年の水揚げ量から大幅に回復した。生サンマの家計消費支出金額(単身世帯除く2人以上の世帯)で見ても22円(22年)、17円(23年)、58円(24年)と2年で倍以上に伸びている。

サンマの刺身
サンマはアニサキス対策(冷凍処理)をしても見栄えが大きく落ちないのがメリットだ

 生秋鮭は漁獲不漁とそれに伴う原料高が影響し、売上不振であった。なかでも生すじ子は原料不足・原料高でチラシ展開もできず、北海道・北東北の食品スーパー(SM)店舗の売上に大きく影響した。

 一方残暑の影響か、ウナギに加えて、単価が上昇しつつある刺身類も好調に推移した。カツオやブリは引き続き好調だったが、生魚・近海魚は不漁による入荷不足で売上を落とした。

 10月も9月に続き、旬のサンマの水揚げ量が前年に対して大幅に増え、大きく売上を伸ばした。刺身類など即食性の高い品目も比較的動きがよかった。

 一方で、秋鮭は不漁で相場高となり苦戦した。気温が高く推移した影響で、鍋関連商材の売上が悪く、なかでも生カキは出荷が遅れたうえに高値傾向が続き不調となった。シラスなどのちりめん類は回復傾向が見られたものの、貝類や魚卵は価格高騰で苦戦が続いた。

 11月は、「食べて応援!北海道」キャンペーンの後も好調を維持していたホタテ貝柱や、相場に落ち着きが見られたマグロなどが好調に推移した。中旬以降、気温の低下とともにブリやタラなど鍋関連商材の動きがよくなった。

 一方で、

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