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衣料用洗剤市場、除菌・消臭や部屋干し用など、高付加価値品にチャンス

衣料用洗剤の市場は昨今の技術革新により、少量でしっかりと汚れを落とす高濃縮タイプの液体洗剤が伸長。また部屋干し特有の生乾き臭に対応した商品や、大容量品のニーズも高くなっている。

週末のまとめ洗いや部屋干しのニーズが増加

  KSP-POSデータによると、2023年6月から24年5月の衣料用洗剤(衣料用合成洗剤)カテゴリーの期間通算金額PIは、対前年同期比6.0%増の3548円、数量PIは同6.8%減の8.66となった。

 月別の動向を見ると、金額ベースではすべての月で前年に対しプラスで推移【図表】。一方、数量ベースで見るとすべての月が微減で推移しており、値上げの影響に加えて、より高い機能を持つ付加価値品や大容量品への移行が見て取れる。

昨今の技術革新により、少量で汚れが落ちる高濃縮タイプが伸長。生乾き臭に対応した商品や、大容量品のニーズも高い(写真はイメージ、iStockよりshironagasukujira)

 衣料用洗剤を取り巻く環境を見てみると、少子高齢化による世帯人数の減少に加え、有職女性や共働き家庭の増加、ドラム式洗濯機の登場など、ライフスタイルの変化から洗濯の回数やスタイルも変化が生じている。

 特に近年は共働き世帯の増加に伴い、週末にまとめ洗いをする人が増えている。また、長雨やゲリラ豪雨など相次ぐ天候不順により天日干しが難しいことから、部屋干しのニーズも高まっているようだ。

 これらを踏まえ「週末にまとめ洗いをするため、大量の洗濯物でもしっかりと汚れを落としたい」、「計量など洗濯の手間をできるだけ省きたい」、「部屋干しによる生乾き臭を解消したい」など、消費者の衣料用洗剤に対するニーズも多様化している。

 さらに昨今の物価上昇の影響から大容量品のニーズも高まっており、以前はECやホームセンター等での取り扱いが中心だった大容量タイプの詰め替え用も、総合スーパーやドラッグストアでの取り扱いが増えている。

少量でもにおいや汚れが落ちる、液体濃縮タイプが伸長

 衣料用洗剤は技術革新によりさまざまなタイプの商品が開発されているが、近年特に好調なのが高機能の液体洗剤だ。

 花王「アタックZERO」は4月に改良新発売。新規開発成分がバイオフィルムの主成分となるEPS(細胞外多糖)の結晶構造を緩めることで、洗浄成分のバイオIOSがバイオフィルム内部に浸透し分散除去。この働きによりニオイ戻りの原因のひとつであるバイオフィルムを根本洗浄し、除菌・抗菌洗剤を超えた無菌レベルの消臭力を実現している。

 また「アタックZERO」は片手に持ちプッシュするだけで簡単に計量ができる「ワンハンドプッシュ」ボトルの採用やドラム式洗濯機専用品、次世代型発泡パウダーを搭載したスティック形状の衣料用洗剤「アタックZERO パーフェクトスティック」の展開など、これまでの衣料用洗剤にはない価値を提供し、好調に推移している。

 衣料用洗剤は高い汚れ落ちや消臭効果に加え、部屋干し用、ドラム式洗濯機向け、計量不要のポーションタイプと、時代の変化に合わせて細分化されてきたカテゴリーだ。

 また洗剤本体のほかにも漂白剤や柔軟剤、香り付けの仕上げ剤など関連する商材も多いことから、売場の工夫次第で売上の拡大が見込めるだろう。

 エンドやプロモーション棚では洗剤本体とともに関連商材を組み合わせて提案することで消費者に気づきを与え、ユーザー数の拡大とバスケット単価の向上につなげたいところだ。