5月22日、イトーヨーカ堂(東京都/山本哲也社長)は新たな総菜ブランド「YORK DELI」(以下、ヨーク・デリ)を立ち上げ、「イトーヨーカドー」や「ヨーク」店舗での展開を開始した。ヨーク・デリでは、販促物や容器を統一するほか、使用する素材にこだわった総菜を展開する。総菜市場が拡大するなかで、どのようにブランドを確立し、差別化を進めていくのか。
総菜のブランド化による「食」の強化
セブン&アイ・ホールディングス(東京都/井阪隆一社長:以下、セブン&アイ)は、2030年にめざす像として「『食』を中心とした世界トップクラスのリテールグループ」を掲げている。
そうしたなか、収益性に課題のある、食品スーパーや総合スーパーからなるスーパーストア(SST)事業については、抜本的な改革を進めている。
主な改革の1つめは、イトーヨーカ堂のコア事業を「食」と明確に位置づけ、この分野に経営資源を集中させることだ。
2つめは、首都圏で展開するSST事業会社の統合再編だ。23年9月には、イトーヨーカ堂とヨークとの経営統合を行った。
これにより、最も注力するエリアである首都圏のSST事業におけるシナジーの最大化を図る。
3つめは、今後の競争における重要カテゴリーである総菜を強化するための、プロセスセンターやセントラルキッチンといった製造インフラへの戦略的な投資だ。
この一環として24年2月には、セブン&アイグループ初の共通のセントラルキッチンで、プロセスセンターの機能も併せ持つ「Peace Deli(ピースデリ)千葉キッチン」(千葉県千葉市)を稼働開始した。
店内加工作業の一部を同キッチンに移管することで、店内調理オペレーションの生産性向上や、季節に応じたメニューの提供など、これまで以上に商品開発を加速し、総菜の販売を強化できる体制を整備した。
そして次なる施策として、今回立ち上げたのが、新たな総菜ブランド「ヨーク・デリ」だ。
ヨーク・デリは、イトーヨーカ堂で販売する総菜の認知度と品質の向上を図り、商品価値を顧客により訴求する目的でつくられたブランドである。
山本哲也社長は「品質、品揃え、オリジナリティによって圧倒的な差別化を図ることで、総菜市場で独自の地位を確立する」と力強く語った。
総菜の売上高構成比、25年度には15%へ
ヨーク・デリではブランドを確立することで、競合との差別化と収益面での成長を図る。その実現のために
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