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食用油市場、市場成長は踊り場へ 付加価値の高いオイルの提案が急務

順調に拡大してきた食用油市場だが、2023年は金額、物量ともに前年割れとなった。物価高騰により生活者の節約意識が高まったことに加え、市場を牽引してきたオリーブオイルの使用量減少が市場に影響を及ぼした。今後は汎用油の店頭価格をキープしつつ、付加価値の高い商品の構成比を高めていくことが必要だ。

汎用油の価格上昇が止まり、23年は金額・物量ともに微減

 2023年4月~12月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比1%減、物流ベースで同5.9%減となった。21年から続く価格改定により、店頭価格は確実に上昇しており、キャノーラ油などの汎用油の平均単価は、19年と比較して1㎏あたり129円の値上げとなった。ただ、23年下期は汎用油の価格上昇が止まったことで、金額でも前年割れとなった。

2023年4月~12月までの食用油市場は、金額ベースで対前年同期比1%減、物流ベースで同5.9%減となった(i-stock/KPS)

 カテゴリー別にみると、キャノーラ油は金額ベースで同2.8%減、物量ベースで同4.9%減、レギュラー油は金額ベースで同22.8%減、物量ベースで同29.8%減と、金額・物量ともに大きく前年割れとなった。

 汎用油で需要を伸ばしているのが低吸油。日清オイリオグループの「日清ヘルシーオフ」が中心のカテゴリーで、揚げ物の吸油量を減らせるのが特長だ。金額ベースで同8.1%増、物量ベースで同9.4%増と堅調に推移。低吸油や健康を訴求した付加価値の高い商品を提案することで、金額市場の上昇につなげたいところだ。日清オイリオグループではこの春、酸化を防ぎ、開封後も鮮度が長持ちする「日清ヘルシークリア」を新発売。酸化を抑える技術を進化させた「ウルトラ酸化バリア製法」により、つくりたてのおいしさをキープする。

 一方、こめ油は堅調に推移しており、金額ベースで同10.7%増、物量ベースで同1.3%増となった。健康感や使いやすさなどが浸透し拡大を続けている。19年対比では金額ベースで同133.8%増、物量ベースで同128.4%増。キャノーラ油の単価上昇で、こめ油との価格差が縮まったことも市場を押し上げた要因だ。

家庭用食用油2023年4月~12月の伸長率

オリーブは価格上昇で前年割れが続く

 オリーブオイルは、金額ベースで対前年同期比3.2%減、物量ベースで同23.1%減となった。オリーブオイルは主要原産国であるスペインの不作による減産で相場が高騰しており、各社では2年連続で値上げを行った。それにより、ユーザーの使用量が減少していることが予想される。スペインの生産量は回復しておらず、今年も値上げは避けられない状態だ。今後はオリーブオイルのよさを訴求して、間口拡大につなげていく必要がある。

 ごま油は、金額ベースで同1.8%増、物量ベースで同2.9%減。ごま油も同様に値上げが行われたが、炒め調理から料理の風味づけまで、幅広く家庭に定着しているため、堅調に推移した。

 体によい成分を含み、サプリメントのように毎日の摂取が推奨されるサプリ的オイルは、金額ベースで同9.5%減、物量ベースで同6.6%減。金額ベースの主な内訳は、しそ・えごま油が同28%減、アマニ油は同15.9%減、中鎖脂肪酸油(MCTオイル)が同38.3%増。一般的な食用油に比べ消化吸収がよく、エネルギーになりやすいMCTオイルは、金額・物量ともにしそ・えごま油を抜き、サプリ的オイルの軸として育ちつつある。MCTオイルを使用した加工食品が続々発売されており、日清オイリオグループのMCTオイルを使用した加工食品は延べ126アイテム(24年1月時点)にまで広がっている。