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無糖RTD市場、RTDを牽引するサブカテゴリー、酒税改正後ビール類からの流入も増加

甘くなく食事に合わせやすいという特徴から、ビール類ユーザーの流入も増え、好調に推移する無糖RTDのカテゴリー。最近ではグレープフルーツなどレモン以外のフレーバーも店頭に並ぶようになり、選ぶ楽しみが広がっている。

レモンサワーに続く新たなカテゴリーリーダー

 KSP-POSデータによると、2022年10月から23年9月の無糖RTDカテゴリー全体の期間通算の販売金額は前年同期比73.0%増となった【図表】。

 RTDのカテゴリーは、一躍ブームとなった高アルコール系をはじめ、フルーティーで果実味のある果汁系、若年層でも受け入れやすい低アルコール系、ウイスキーのエントリーにも貢献したハイボール系など、さまざまなフレーバーやサブカテゴリーを生み出してきた。

 直近ではコロナ禍で一気に拡大した家飲み需要を背景にレモンサワーが大きな話題となり、メーカー各社がさまざまな商品を発売したことで酒類売場を席巻したことは記憶に新しい。

 このレモンサワーブームが落ち着いてきたところで、次に注目されているのが、「無糖RTD」と呼ばれるサブカテゴリーだ。

RTDのカテゴリーは、高アルコール系・果汁系・低アルコール系・ハイボール系など、さまざまなフレーバーやサブカテゴリーを生み出してきた。 (mint_cucumber_gimlet/istock)

 RTDカテゴリー全体の販売金額推移をみると、「キリン 氷結®無糖」が発売された20年10月から21年9月は前期比8%増、無糖RTDに絞ると前期比618%と大幅伸長。翌年以降、RTDカテゴリー全体が前年を割り込む中、無糖R T Dは前期比70%以上増と好調を維持している。

 RTDカテゴリーにおける無糖RTDの存在感は年々高まり、直近1年間の無糖RTDの販売金額シェアは、10.9%とカテゴリー全体の1割以上を占めている。

無糖RTDのコーナー化で選びやすい売場づくりへ

 無糖RTDが伸長する背景には、コロナ禍でより顕在化した健康志向とともに、酒税改正によるビール類ユーザーの流入も大きく影響している。直近の23年10月の酒税改正では新ジャンルと発泡酒の税率が一本化されたこともあり、ビール類ユーザーのRTD流入はさらに加速されると予想される。

 キリンビールでは、今夏に新フレーバーとして「キリン 氷結®無糖 シークヮーサーALC.7%」を発売したほか、今秋は基幹商品の「同 レモン」、「同 グレープフルーツ」の中味をリニューアル。

 サントリーでは「-196℃ 瞬間凍結〈無糖レモン〉」「同〈ウメ〉」のリニューアルを実施したほか、期間限定フレーバーとして「同〈無糖ゆず〉」「同〈無糖アセロラ〉」を展開する。

 サッポロビールでは数量限定発売で好評だった「サッポロ 男梅サワー ウメぇ無糖」を今秋より通年で発売。アサヒビールではジンベースの無糖柑橘サワー「アサヒ GINON(ジノン)」を東北エリア限定で発売している。

 無糖RTDは甘さのないクリアなおいしさや食事との合わせやすさから、今後も伸長が期待されるカテゴリーだ。無糖RTDの多くは既存のRTDブランドから派生しており、冷蔵ケース内でも同ブランドの商品として隣に陳列されることが多い。さらに同フレーバーの中でアルコール度数違いの商品もありパッケージも似通っていることから、来店客も商品選択に迷いが生じやすくなっている。

 店頭でもブランド横断で無糖RTDのアイテムを集積したり、レールPOPなどで視認性を高めるといった工夫で、無糖RTDカテゴリーへの関心を高めたいところだ。