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アイスクリーム市場、価格改定の影響は小さく、22年は天候にも恵まれ堅調に推移

夏場の猛暑と適度な残暑などの天候要因に恵まれ2022年度のアイスクリーム市場は堅調に推移した。気温に左右される商品のため、先は読みづらいが“癒しのデザート”として定着していることから大きく落ち込むことはなさそうだ。

夏場の猛暑と適度な残暑などの天候要因に恵まれ2022年度のアイスクリーム市場は堅調に推移した。(i-stock/Kana Design Image)

昨年より購入機会が「増えた」は約4割

 KSP-POSデータによるとアイスクリームの期間通算(2022年5月~23年4月)の金額PIは、2万3756円で対前年同期比1.9%増。原材料や光熱費などの高騰を受けた価格改定による影響が心配されたが、8月の猛暑や、9月の適度な残暑などの影響で、市場は微増となった。下期は早めの冬の到来で10月は同4.8%減となったが、11月は暖かな気候で同8%増と好調、12月は厳しい寒さだったものの、特別感のある限定商品などにより同6.8%増となった。

 日本アイスクリーム協会が2022年10月に行った調査では、昨年と比べアイスクリーム購入機会が「増えたと思う」と答えた人は39.3%で、「減ったと思う」の9.3%を大きく上回った。また、アイスクリームに「価格以上の価値がある」「価格に見合った価値がある」と答えた人は85.1%で、食べる最大の理由は「おいしさや甘みを楽しむ」が70.6%で、次いで「ちょっと幸せな気分になる」「自分へのご褒美」「気分転換」など、気分をポジティブにしたい理由が続く。“癒しのスイーツ”として定着しているアイスクリームなので、値上げの影響は小さいといえそうだ。

 井村屋では、クリームをたっぷりかけた「とろけるショートケーキ」がSNSで話題となっていることを受け、5月に「ショートケーキアイス」を新発売。酸味のあるフレッシュないちごソースと同社製造のケーキ生地、ミルクアイスとミルクソースを組み合わせることで、本格的なとろけるショートケーキの味わいを表現したスイーツアイスだ。

 森永乳業では、「ピノ」ブランドから濃厚な生クリーム風アイスクリームを、スポンジケーキ風味のトッピングを混ぜ込んだ甘酸っぱい苺チョコレートでコーティングした〈苺のショートケーキ〉を新発売。通常の「ピノ」よりも高い乳脂肪分9%にすることで、生クリームのような濃厚な味わいを実現した。新しいタイプのスイーツアイスはこの夏の期待の商品となっている。

アイスクリームの金額PIおよび金額PI対前年推移

プレミアム、新フレーバー 需要期に向け新商品が続々

 プレミアムタイプのアイスも好調だ。今年4月には、よつ葉乳業の「北海道アイスクリーム」シリーズから〈発酵バター〉を新発売。乳酸発酵させた生クリームを伝統的な製法で練り上げた、こだわりの発酵バターを使用したコクのある味わいに仕上げた。また、明治では、国産乳製品(北海道十勝製造)100%使用の新しいミルクアイス「明治 Dear Milk(ディアミルク)」を3月から関東エリアで新発売。乳製品のみでつくった、濃厚でコク深く後味すっきりの味わいだ。

 一方、アイスクリームはロングセラーブランドが強いカテゴリーで、なかでもフタバ食品の「サクレ」シリーズは22年も好調に推移。この春は既存品のリニューアルに加え、新フレーバーとして「サクレマンゴー」を新発売した。マンゴーの王様と呼ばれるアルフォンソマンゴー果汁を使用し、ゴロッと角切りマンゴー果肉入りで、深い甘さのあるジューシーな味わいになっている。そのほかにもロッテの飲むアイス「クーリッシュ」からは〈バナナスムージー〉を、森永乳業の「PARM(パルム)ジェラート」からは、〈白桃〉を発売。豊富なラインアップで市場を盛り上げていく。