平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)の精肉部門は、競合他社がマネできない「差異化」をコンセプトにした商品政策(MD)を打ち出している。プライベートブランド(PB)の牛肉、豚肉などに力を入れるほか、それらを加工した半調理品も充実した品揃えで展開。また、プロセスセンター(PC)と店内加工、それぞれの強みを生かした供給体制を構築している。
「差異化」を軸にしたMDを展開
平和堂は近畿、東海、北陸エリアで総合スーパー(GMS)と食品スーパー(SM)を展開している。GMSの「アル・プラザ」、SMの「フレンドマート」という主力2業態によりドミナントエリアを構築、とくに本社を構える滋賀県で強い支持を獲得している。
しかし近年、商圏では競争が激しくなっている。東海、北陸エリアでは生鮮食品を強化したドラッグストア(DgS)、またディスカウントストアといった価格に強みがある業態が勢力を増している。関西でも同様で、生鮮食品を圧倒的な安さで販売するロピア(神奈川県/髙木勇輔代表取締役)は、「アル・プラザ香里園」(大阪府寝屋川市)の真横に関西1号店を開業。また本拠、滋賀県でも他県から生鮮強化型のDgSが進出し、急速に店数を増やしているのだ。
そんななか、平和堂の精肉部門では「差異化」をテーマにした品揃えを強化している。「差異化」とは、競合他社がマネできない商品を開発することで、新たな市場を創造することを指す。たとえば、生産者との独自契約のもと展開する「あじわい牛」や「あじわい豚」「健美味どり」といった精肉PBが、差異化をめざすMDの代表例だ。配合飼料や肥育期間にもこだわることで、高品質の商品を安定的に供給できる体制を築いている。
また平和堂が現在、推進する中期経営計画においては、「健康」「子育て」「高齢者」という3テーマのもと、各種商品、サービス等を充実する。同方針のもと精肉部門でも、ユニークな品揃え、売場づくりを行っている。
ここ数年の同社精肉部門の業績に目を向けると、2023年2月期は、1月初旬までの実績で対前期比2%増で推移。精肉部門の売上高構成比(以下、21年度)は、生肉を含む「精肉」78.1%、ギフト1.6%、ハム・ソーセージ17.7%。そのうち精肉は、牛肉31.1%、豚肉29.2%、鶏肉29.2%、半調理品の「ミートプラス」4%、ローストビーフはじめ「生食」が4.2%となっている。
コロナ禍で、消費者ニーズは大きく変化していて、平和堂の精肉部門の販売動向もその影響を受けている。かつて平和堂にとって精肉部門は収益を確保する部門の位置づけだった。だが「最近は、
・・・この記事は有料会員向けです。続きをご覧の方はこちらのリンクからログインの上閲覧ください。