店舗間競争が激化し、来店を獲得するための施策として重要性を増すポイント販促。食品小売企業は他業界に先駆けてポイントサービスを導入してきた背景がありながら、その取り組みは工夫の余地が大きいという。先進的な業界であるドラッグストア(DgS)を事例に、食品小売企業が押さえるべきポイント販促の要旨を専門家に聞いた。
押さえておきたい期待される効果
近年、各社の独自ポイントに加えて、「楽天ポイント」や「dポイント」などの共通ポイントも付与する「ダブルポイント」が広がっている。
さらに政府によるキャッシュレス決済の推進に伴って、クレジットカードやQRコード決済、電子マネーなど、キャッシュレス決済サービスが多彩に増え、その大半にもポイントサービスが付帯している。これによって消費者は商品・サービスの購入に対して、①その店の独自ポイント、②共通ポイント、③キャッシュレス決済サービスのポイントと、いまや最大でポイント3重取りができる「マルチポイント」の時代に突入している。
食品スーパー(SM)を中心とする食品小売業界は、店舗間競争が激しい業態がゆえにポイントサービスを他業界に先駆けて導入してきた。しかし、だからこそ従来の手法やシステムから脱却できていない面が散見される。
本題の前にまず、ポイントサービスに期待される本質的な効果を押さえておきたい。1つは買い上げ金額の増加だ。来店客が、購入金額に応じておまけで付与されたポイントを貯め、それを使ってついで買いや、普段よりも高価格帯の商品を購入する代金の一部に充てることで、購入単価の上昇につながる。
また、顧客との関係性の深化も挙げられる。ポイントによって店へのロイヤリティが高まり、さらに購入履歴の蓄積によって、ワントゥワンのポイント施策も可能になる。
ユーザーのメリットを体系化して示す
SMやDgSは、生活必需品を扱い日常づかいされる存在であり、ポイント販促と相性のよい業態と言える。しかし、
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